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長崎県議・野本三雄の『長崎 夢、確かなカタチに!』

県政研究

2012年 10月

松ヶ枝埠頭の3バース化の意味を考える

長崎港物流戦略検討調査事業資料より 『県が長崎港長期構想で計画する松が枝ふ頭の3バース化をめぐり、三菱重工長崎造船所が反対している』というニュースは、関係者以外あまりピンとこないものかもしれない。今回はその必要性について考えてみたい。

長崎港物流戦略

長崎県は平成23年8月に長崎港物流戦略検討会議を設置し、東アジアとの地理的優位性を活かした『長崎港における新たな物流モデルの構築』ついて検討してきており、その検討結果を今年3月27日に『長崎港における新たな物流モデルの構築に向けた提言書』として石塚副知事に手渡した。

その提言書の中で、長崎は上海との間の物流拠点として想定されており、週3便の定期貨物船の運行が可能となる港湾整備を進めるものとしている。上の図で見るように、下関・博多と分担して中国との間に一日一便の運航を確立する狙いだ。

長崎は地域活性化の起爆剤として、東アジア圏の物流の一大拠点となるべく物流特区化を検討している。幹線道路や市中心部に近い松ヶ枝埠頭は現在、1バース(船が接岸できる場所)しかないので、大型客船2隻と上海航路1隻が同時接岸できるよう3バース化を構想した。現在の海岸線の約80メートル先まで埋め立てるとしている。

長崎方式・シームレス物流とは

この物流ルート整備にあたって、提言書は『長崎方式』と称する高速船(RORO船またはフェリー)を用いた国際複合一貫輸送による先駆的なシームレス物流を提唱している。シームレスとは「継ぎ目が無い」という意味だが、ここで言うシームレス物流とは「コンテナ輸送を積み替え無しに行う物流」を意味する。

コンテナの海上輸送は、例えば中国から日本への輸送の場合、中国のトラックで運んだコンテナを港で船に積み替え、船で日本の港に運び、日本のトラックに積み替えて目的地に運ぶのが現状の方式である。これを、中国のシャーシ(コンテナを載せる車台)ごと船に積んで運び、日本のトラックはヘッド(運転席の部分)だけで迎えに来て中国のシャーシごと目的地に運ぶ、またはフェリーで中国のトラックごと船に載せ、日本ではそのまま中国のトラックで目的地に運ぶ…といったことをシームレス物流と称している。

海運を長崎の未来の主軸とするために

現在、東アジア圏の物流は、中国の上海・韓国の釜山・シンガポールなどをハブ港としている。ヨーロッパでは近海物流に既にシームレス物流が採用されており大きな成果をあげているが、これはいろいろな制約をユーロ圏として撤廃していることが大きい。東アジア圏ではシャーシが国ごとに違っていたり、運転者が相手国でそのまま運転するような場合に制約がある。長崎はそれを特区申請によって克服しようとしているのだ。

今後東アジア圏でもシームレス物流化が進むものと考えられるが、それを長崎が他の港町に先駆けて取り組んでいくことは、人・物・カネの経由地としての長崎の未来像を具現化するために必要不可欠なのだ。長崎の造船業にとっても、近海輸送の貨客船に特化した工夫が求められることで、需要の拡大が見込まれることは大きなチャンスになるに違いない。

三菱長崎造船所が反対する理由

狭い長崎港に位置する三菱長崎造船所は、船台が勾配を利用し船を滑走させて海に浮かべる仕組みになっている。対岸の松ヶ枝埠頭までの距離は590メートル。慣性で進む船を海底に敷設したチェーンを引きずらせて停止させるという、高度な技術を用いて対岸にぶつからないようにしているが、過去、松ヶ枝側に新造船が乗り上げてしまった事故も起きている。埋め立てが実施されるとその距離が80メートル分も近くなってしまい、危険であると言うのが反対の理由になっている。

9月6日、県は南端の上海航路用の1バースについて、埋立てを半分の40メートルにとどめる修正案を提示した。船台との距離は550メートル、これならば安全だろうということだが、三菱造船所側は「安全かどうかは県に判断できない。進水した船が対岸の大型船に衝突すればどちらも沈没する」と反発している。もっともな話だ。

県は更に三菱造船所側との調整を進めるとしている。双方に十分な安全確保を考慮した上で、ぜひ長崎港の整備に協力し合う体制を構築していただきたい。

かつて坂本龍馬は維新後明治政府に身を置くつもりはなく、自身の未来を海運業に夢見ていた。彼が生き延びていたら長崎を中心に勇躍していただろう。龍馬の遺志が時を経て、長崎の若者達に受け継がれることを祈りたい。三菱創業者の岩崎弥太郎も喜んでくれるに違いない。
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