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長崎県議・野本三雄の『長崎 夢、確かなカタチに!』

今月のトピックス

2010年 6月

口蹄疫の脅威・10年前の経験がなぜ活かせなかったのか

4月20日に発生が公表された宮崎県の口蹄疫の流行は、その後終息することなく長期化の様相を呈している。これを論じる前に、まず、大切なことを確認しておきたい。口蹄疫に感染した疑いのある家畜の肉が市場に出回ることはないし、万々が一ヒトの口に入ることがあったとしても、それによって感染することはない。このことを踏まえた上で、以下をお読みいただきたい。

口蹄疫とは、主に偶蹄目(豚、牛、羊、鹿など蹄が2つに割れている動物)の家畜などが感染するウイルス性の急性伝染病である。感染率が高く幼獣の致死率が高い。感染が確認された場合、他の家畜への感染拡大を防ぐために患畜は発見され次第殺処分される。また他地域の家畜への感染を防ぐため、地域・国単位で家畜の移動制限がされるので、広い範囲で畜産物の輸出ができなくなる。

日本での発生事例の直近は2000年で、それが92年ぶりの発生だったという。この時は迅速な対応によって宮崎県の農家3戸・北海道の1戸の発生のみで終息している。その経緯は家畜衛生試験場口蹄疫対策本部から『日本における92年ぶりの口蹄疫の発生と家畜衛生試験場の防疫対応』と題して詳細に報告されており、農水省他の担当部局はそれを緻密に勉強しているはずだ。その時出来た対応が、なぜか今回全然活かされていないのだ。

3月末にまず、感染が疑われる水牛が発見されたが、それが口蹄疫であったとの判定は4月23日を待たなくてはならなかった。当初の数頭について、口蹄疫特有の症状が発現せず、検査でもウイルスを発見できなかったためなかなか判断がつかずに、正式報告が遅くなったのは不幸なことだったと思う。しかし、その時間差ひとつをとって「宮崎県サイドの対応が悪い、国に落ち度はない」と言わんばかりの発言が赤松農水大臣から出たのは驚きだった。4月20日に口蹄疫の発生が公表されて以降、最高責任者である赤松大臣はカリブ海に視察旅行に出られた。そして休み明け、思い出したように報道された内容は、国民を大いに驚かせたのだ。

マスコミは2007年のイギリスの対応を取り上げ、発生当日には素早く国家的な取組体制がとられたことを高く評価した。イギリスの対応が素早かったのは、その前の2001年の大流行時の教訓を活かしたためである。2002年に調査機関から詳細な報告がなされ、「政府の危機管理の失敗」として、初動対応の遅れやワクチン接種を見送ったことなどを挙げている。イギリス政府はこの指摘を真摯に受け止め、その後、感染の早期発見体制の確立や感染発生時の政府の権限強化などを進めた。2007年の発生時には政府が即座に移動禁止措置を導入し、ほぼ1カ月で感染を終息させること成功したのである。

その大流行の前の年には既に、日本ではしっかりした封じ込め作戦が成功していた。その経験が活かされずにここまで事態を悪化させてしまったのは、政府の対応の遅さが原因だと言わざるを得ない。発表と同時に現地入りした宮崎県選出の衆議院議員、自民党の江藤拓氏は、自身のブログで切々と訴えている。『政府の認識の軽さ、現場さえ見ようとしない姿勢。初動の遅れに大きな責任があります!』と。江藤氏が、私が自民党員だから、民主党の政府を非難するのではない。現場を知る者が、知ろうとさえしない者に訴えているのだ。補償金は確かに重要だが、金をもらったからと言ってとり返せないものが、今、刻々と失われつつある。

「喪が明けた農家がやってきて、『なにもいない畜舎を見ると寂しい……。組合長、オレはこれから何をすればいいんだ?』と言う。涙がポロポロ出てきて。本当に生き地獄のような1カ月だった。職員も平静を装っていますが内心は動揺しています」。JA尾鈴の黒木友徳組合長は悄然とした様子だった。「どうだ?がんばれるか」。隣席では河野康弘副組合長が組合員からの電話に大声で応じていた。「喪が明けた」とは、いうまでもなく殺処分と埋却、消毒が終わったということ。身内を送ったも同然の農家の心情を察して余りある言葉だ・・・。[農業協同組合新聞・2010.05.28記事より引用]

この傷ついた人々が、嵐の過ぎた後、また牛を、豚を、慈しみ育てようと思えるようにすること。日本の食を守ること。その責任感が、今の政府には感じられない。
(冒頭の動画は、5月12日に関西テレビの『スーパーニュースアンカー』の口蹄疫対策に関する放送がYoutubeに投稿されたものです。)

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