更新情報 | ブログ | トピックス | 県政研究 | 一問一答 | 活動報告 | 議会質問検索 | これまでの記事

長崎県議・野本三雄の『長崎 夢、確かなカタチに!』

県政研究

2009年10月

ながさき森林環境税3年目! 5カ年の時限税の実績と課題

平成17年長崎県資料『森林保全に関する税創設についての基本的な考え』より (↑写真:平成17年長崎県資料『森林保全に関する税創設についての基本的な考え』より)

ながさき森林環境税は平成19年度より施工された5年を時限とする特別税で、今年度がちょうど中間の3年目にあたる。課税の公平性、徴税コストを考慮して、県民税均等割額に加算して納めていただく超過課税方式を採用しており、納税者一人当たり年額500円が徴収されている。今回の県政研究は、この税についてもう一度考えたい。

森林の役割 〜 県民一人当たり年額45万円の恩恵を受けている!?

森林は、木材生産のほか、水源かん養・山地災害防止・地球温暖化防止・生活環境の保全・保健・レクリエーション・文化機能など、都市部の住民をはじめ私たちが無意識のうちに受けている生活に欠かせない多くの働きを持っている。日本学術会議の試算によれば、森林の持つ機能を貨幣評価すると、日本全体で70兆円、長崎県で換算すると年額約6,700億円となり、県民一人当たり毎年約45万円の恩恵を森林から受けていることになるそうだ。

森林が間伐などの手入れをせずに放置すると、日光が遮られることにより下草などがなくなり林地が荒廃し、その結果、県民生活にさまざまな影響が及ぶ。具体的には、@林地が裸地化することで雨水の浸透能力や保水能力が大きく低下し、水源のかん養機能が損なわれる、A森林の土壌が流失し、土砂災害が起こりやすくなる、B地球温暖化防止京都議定書における我が国の温室効果ガス削減目標6%のうち、3.9%を、適正に管理された森林のCO2吸収量で確保するとしており、森林整備が進まなければ目標達成が困難、C林地が裸地化すると、野生生物の生息環境が悪化し生態系のバランスが崩る、などの問題が生じる。

ながさき森林環境税制定の背景

長崎県の森林は県土面積の約6割を占め、その9割が民有林でありほとんどが零細である。「山を持っている」というと昔はお金持ちの代名詞だったが、近年の安価な輸入木材の増加による木材価格の低迷、山村地域の過疎化・高齢化、代替資材の普及による森林と人々の関係の希薄化などの社会経済情勢の変化により、経営は零細化し、手入れ不足の森林が増加している。

森林はこれまで、所有者の木材生産を中心とした経済活動としての手入れ作業を通して、また、薪炭材の採取など地域住民の暮らしとの関わりの中で整備保全されてきた。しかし、税創設検討の当時、40年以上育てたヒノキ丸太が一本250円程度でしか売れないという実態が報告され、所有者のみに負担を強いる森林整備策だけでは森林保全は困難となった。県民全体で森林を支えていく取り組みが急務となり、税として徴収することで経済的な支援を行うとともに、県民各人が参加意識を持って森林保全の必要を考えるために、本税が設定されることとなった。

ながさき森林環境税の使途

ながさき森林環境税は、@森林の保全整備活動の資金、A県民全体が森林を支えていくという意識づくりの活動資金、という2つの使い方がされている。具体的には、@「水源の森」の整備、樹木の生育を妨げる竹の伐採、台風などで倒れた森林の整備、作業路など森林の手入れを促す環境づくりなどの保全作業と、A森林環境学習の支援、里山など身近な森林の利活用、森林ボランティア活動支援、間伐材などの利用促進、地域の森林づくり支援…などの資金となった。

ながさき森林環境保全事業の19年度事業の成果検証報告によれば、県民参加の森林づくりや作業路整備については計画通りの運用ができているものの、他の保全事業については森林所有者との施業協定締結が難航し、思うように事業展開ができていないと報告されている。20年度事業の報告が間もなく出る予定なので、2年目の成果に期待したい。

今後の課題

環境事業に投じる予算としてではなく、特別な税として県民から徴収することにより、県民ひとりひとりに参加意識を持ってもらうという当初の目的は達しつつあるように思う。森林保全にしろ意識づくりにしろ、5年を過ぎても続けていくべき事業であるから、5年の時限内で更に県民への周知を図るとともに、その後の事業への成果継承をスムーズに行う体制づくりが必要だと考える。

また、森林所有者との施業協定締結が難航する背景には、深刻な林業経営意欲の喪失があることは明白である。この税を本当に活かすためには、林業経営の活性化策の整備が急務であると考える。

県政研究
毎月1日に更新しています。
県議会や委員会で質問した内容のほか、さまざまな県政に関する課題を検討しています。
皆さまのお声を、ぜひお寄せください。
▼過去の県政研究を読む

更新情報 | ブログ | トピックス | 県政研究 | 一問一答 | 活動報告 | 議会質問検索 | これまでの記事