更新情報 | ブログ | トピックス | 県政研究 | 一問一答 | 活動報告 | 議会質問検索 | これまでの記事

長崎県議・野本三雄の『長崎 夢、確かなカタチに!』

今月のトピックス

2008年 5月

ちまき 甘いかしょっぱいか
長崎の『唐あくちまき』に食の安全を思う

長崎の唐灰汁(とうあく)ちまきと中華ちまき
(▲写真:長崎の唐灰汁(とうあく)ちまきと中華ちまき)

この季節になると、和菓子屋やスーパーに並ぶ唐あくちまきを食べたくなる。長崎のちまきは、唐あくに漬け込んだもち米を細長い晒し木綿の袋に詰めて煮たものだ。糸でぎゅっと巻き絞って切り分け、砂糖や黄な粉、黒蜜等をつけて食べる。独特のえぐみやにおいがあるので、端午の節句の菓子といいながら、主人公の子供たちにはあまり好まれないかもしれない。

このえぐみとにおいの正体が唐あくで、ちゃんぽん・皿うどんの麺のかんすいとして使われるものと同種の薬品だ。ちゃんぽん麺に使用される唐あくは劇物指定されていて取扱いには資格が必要なため、製造できるのは長崎にも4社しかない。しかし、ちまき用の唐あくは別ものだそうで、氷砂糖に似た「ちまき用唐あく」が袋入りで売られているので家庭でも作ることができる。

粽(ちまき)は元々、戦場での携帯保存食として考案されたようで、日本のちまきは餅や団子を笹やわらに包んだものもあるが、あくで保存性を高める長崎ちまきは最も原型に近いもののようだ。砂糖や黄な粉をつけて甘くして食べる。これに対して中国のちまきは、肉や野菜などを炊き込んだおこわで、しょっぱいものになる。

端午の節句にちまきを食べる習慣は、中国戦国時代の楚の名臣で詩人の「屈原(くつげん)」の故事に由来する。名家の出で頭がきれ、詩文の才にも恵まれた屈原は王に重用されていたが、同僚の嫉妬や大国・秦の謀略で左遷され、楚の将来に絶望して汨羅江(べきらこう)という川に身を投げた。民衆が鎮魂のために、魚が屈原のなきがらを食らって傷つけないようにと端午の節句の日に笹で包んだ米の飯を川に投げ入れたのが起源とされる。

屈原の因縁話からすると、中国ちまきを食べる方が端午の節句には適しているのかもしれない。しかし唐あくは、漢方薬の世界ではからだの邪気を払うといわれているそうで、同じく邪気を払うという菖蒲湯の習慣などからすると、日本の端午の節句には唐あくちまきがしっくりくるなと、口の周りの砂糖をなめながら思う。

さて、その中国ちまき。昨年の中国国内のニュースになるが、賞味期限を2年も過ぎた冷凍ちまきを新しい葉で包装し直して、端午の節句向けに出荷した大手冷凍食品メーカーが摘発されるという事件が起きた。ちまきはすでにどろどろに腐敗し、強烈な悪臭を放っていたという。愛国の情に満ちた詩を残し、潔癖な人柄であったという屈原はさぞかし嘆いているだろう。保存に優れる唐あくの長崎ちまきだってそんなにはもたない。

餃子事件のショックで影が薄れた感があるが、昨年は国内産の食品に偽装・改ざんの嵐が吹き荒れた。中国側に事件の真相解明についての真摯な姿勢を求めるのはもちろんだが、ことは中国だけの問題ではない。食の安全を監視する消費者の知恵について、子供たちと語り合うきっかけにちまきを食してみてはどうだろう。

今月のトピックス
毎月1日に更新しています。
地元・長崎の話題を中心に、季節の話題から行政の話まで、肩のこらない読み物にしたいと考えています。
▼過去のトピックスを読む

更新情報 | ブログ | トピックス | 県政研究 | 一問一答 | 活動報告 | 議会質問検索 | これまでの記事