ネクスト光の勧誘に騙されかかる

 妻は夕食の準備をしていた。僕は、ソファーに座ってテレビを観ていたが、夕食の出来るまでには、まだ、しばらくかかりそうだったので、二階にいって片づけをすることにした。何となく、夕食を作っている妻に気兼ねしたのである。片づけもだいたい終わったので、一階に戻ろうとしたとき、電話が鳴った。時間的に、ペルーの妻の母からの電話だと思い、受話器を取った。

 相手は、二十代だと思われる若い男性だった。ただ、電話に出た当初は、勧誘だとは思わなかった。これは、相手の話の進め方による。まず、au光の利用者だということを確認され、au光の利用者にお得なプランがある、月々1500円ほど安くなるし、速さも2ギガになるので変更しませんか?といわれた。僕は、てっきりau光の新プランへの単なる移行だと思ってしまった。

 しかし、話を詳しく聞いて行くと、おかしなところがいくつか出てきた。まず、今まで月額7000円前後の費用のかかっていたところが、4980円になるという。何故、これだけの価格を実現できたのかというとso-netと提携しているからだといった。さらに、光電話の番号が変更になりますが、電話番号にこだわりとかありますか?と訊いてきた。so-netと提携して…ということは、so-netがプロバイダということになるのだろうし、何故、同じauなのに電話番号が変わるのだろう?と疑問が浮かんだが、電話番号にはこだわりはないと答えてしまった。

 すると、相手はモデムのことを言い出した。モデムも今まで二台だったのが、一台になり、さらに無線LANまでついていますと説明された。しかし、正確にいえば、ONU(光回線終端装置)とホームゲートウェイと呼ばれているルーターである。何となく胡散臭さを感じたが、相手がどんどん話を進め、質問をしてくるため、それに答えているうちに、いつしか‘移行’を承諾したような形になっていた。

 「何か質問はございませんか?」と訊かれたので、「工事代金はいくらですか?」と訊くと、「工事代金はかかりません」と言い切った。そんなはずはないなと思いながら、「プロバイダはどうなるのですか?」と訊くと、「プロバイダはもう必要ないんです」という。「現在プロバイダは、BIGLOBEですが?」と訊くと、「メールでもやっていますか?」と訊いてきたので「ホームページやブログをやっていますけど」というと、「その辺りは、BIGLOBEに相談してください」といい、質問のもうないことを確認するとのちほど工事担当者から電話がありますので、といって電話は切れた。

 間抜けなことに、電話が切れてからしばらくして、これはauの新プランへの移行などといったものではなく、auとは全く関係ない光回線の勧誘ではないかと気づいた。したがって、申し込むとなると、BIGLOBEのau光コースは解約ということになってしまう。しかも、どうやら僕は契約を了承してしまったらしい。困ったことになったな…と思っていたら、再び電話がかかって来た。

 電話に出ると、ネクスト光の工事担当者だった。年齢は先程の相手より、やや上な感じがした。「ご説明、わかりました?」と訊かれたので、「全くわかりません。検討するのでパンフレットを送ってください」というと、「パンフレットはないので、ネットで調べてください。ネクスト光で検索すれば、出て来ます。検討が終わったら、ご連絡ください」といいあっけなく電話は切れた。とりあえず、契約は解除ということになったと理解した。

 その後、ネットで調べてみると、これは、so-netのNUROに乗り換えさせるものだったようである。それにしても、全く酷い勧誘の仕方だ。au利用者ということを意識させ、さらにはauのスマートフォンを二年以上使っているかなどということも訊き、あたかもau利用者にさらにお得なプランへの移行を勧めるような話振りをし、しかし、実際は全く違うものへ乗り換えさせる勧誘だったのだ。架空のものを売りつけるわけではないから、詐欺とまではいえないが、かなり悪質なことは確かである。後で苦情が出た場合は、ちゃんと説明したが、あなたが理解しなかっただけでしょうとでもいうつもりだったのだろうか?

 電話での勧誘には、くれぐれも気をつけたいと思った。まずは、話を聞いただけで契約しないことである。よさそうに思えても、必ず「検討します」といい、パンフレットや資料の請求をした方がいい。必要ないと思ったら、「間に合っています」と電話を切る勇気を持ちたい。(2018.4.25)




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