爺さんのブログ 2

 いじめ問題パートWは、「擁護しないし批判もしない…しかし捜査に協力する」という題名である、この記事は滋賀県警が中学校及び市役所へ家宅捜索に入った後、書かれたものである。したがって、題名だけで判断すると、いじめ事件の捜査に協力するとよめ、やっと爺さんも反省したのかと思って記事を読んでいくと、その期待は見事に裏切られ、激しい怒りに変わることになる。

 このブログに侮辱’‘名誉棄損’‘脅迫まがい’のコメントをしたり、明らかに犯罪行為と判断されるブログを書いている人間を、一掃するため警察に協力するというのである。「ブログを悪用して違法行為をしている犯罪者を一掃することは、私の理念とする問題解決と一致することから、擁護もしないし批判もしないという信念に加えて、捜査に協力し、いじめと全く関係ない新たな犯罪の被害者を救うことにした。よって、今日は時間があるから、寄せられたコメントを精査し、犯罪行為とみられるコメントは、証拠として捜査機関に提出することにしようと考えている」コメントした読者への憎しみの伝わってくる文章であるが、それはさらに加速していく。

 「俗に言う「ブログおたく」と呼ぶ人種が存在し、さしたる能力もないのに、他人のブログに、「あほ」、「バカ」、「死ね」、「殺人者」等のコメントだけで、理論的に文書を作成できない無能力者がいることに気付いた」
 「尽きるところ、社会から見放され、世間から相手にされない弱者が、自宅か借家の一室に閉じこもり、インターネットの世界で、他人を批判することのみに生き甲斐を覚えて、違法、迷惑な行為を繰り返していることに気付いた。悲しい限りであり、こうした一部の「悪おたく」が生活保護費等を騙取しているのでないかと思う」

 もう、ここにあるのは、もう憎悪でしかない。自身の書いたブログを三回にわたって批判され、頭に血が上り、自身を客観的に見ることができなくなってしまったらしい。一番悲しいのは、あなただと言いたくなる内容である。

 ブログの炎上ということは、たまにあることだが、炎上したブログの主が自らを省みることなく、読者との対決姿勢をここまで先鋭化した例はないような気がする。普通、ブログが炎上するとブログの主は、ことを鎮静化するため、不適切さを謝罪し、ブログの記事を削除したりするものだが、この爺さんは逆で炎上したブログにこれでもかというくらい油を注ぎ込んでいる。彼は自分は全て正しく、悪いのは「まともな文章も作れない」読者と考えているのであろう。当然のことながら、また、1000件近い批判のコメントが連なることになる。

 次の記事はもういじめ問題とは全く関係なくなり、読者との対決姿勢をさらに鮮明にしたものになる。有言実行「ブログの解析結果」という題名で、自身の記事に否定的なコメントを寄せた読者への脅迫といっていい内容である。

 まず、記事をアップするのが遅れた理由として、コメントの解析をしていたからだと述べられている。そして、「コメントを分析し、犯罪となるコメント内容とホスト名を証拠として捜査機関に提出し、捜査に協力するために、大いに活用した」ということになるのである。

 「夜更かし」をしてまでパソコンと向き合い、「犯罪と認められるコメントを選別」し、そして、今日、大津警察署に行き、捜査幹部と会ってきたというのである。しかし、話の内容は、「省略」となっている。

 記事の中で、コメントした人間が「小学校の低学年程度の文章作成能力」しかないからと稚拙(ちせつ)や成熟(せいじゅく)などといったさして難しいとも思えない漢字に、フリガナを送るなど、読者をバカにしきっている。そして「昨日から、寄せられたコメントは、相変わらず低俗、低能、無知、感情的なものがあるが、特定の個人名を名指して、殺人者呼ばわりする犯罪コメントが少なくなった。難問解決の立場から喜ばしいことであるが、やはり逮捕されるのが怖いのだろう。(失笑)」と記事は結んでいる。

 ここまでくると、もう呆れるとしかいいようがなくなってくる。しかも、この記事を書いているのは警察に四十二年間も勤め、現在は大手病院の安全管理室に天下っている爺さんである。何故、ここまで挑発的になれるのか?周りが一切見えなくなっているのだろうか?この記事には、1000件を超えるコメントが寄せられたが、ブログの主を憐れむといった内容のものも見受けられた。

 しかし、さらに新展開が待っていたのである。爺さんは以前のブログを全て消してしまったのだ。やや冷静さを取り戻し、その内容の酷さに今更ながら気づき、恥ずかしくなったのであろう。だが、まだ懲りていないらしい。最新の記事は「とんで火に入る夏の虫」という題で、今度は弁護士批判をしている。

 自身の勝手な想像で、物語を創作しているが、これまた読んでいて胸の悪くなるような内容である。
「少年の親を前面にだし、警察の落ち度を訴え、読者を扇動する。最も安全な報道手段である。(文句が来ない)この訴訟の損害賠償請求額はしらないが、法曹関係者には、仮に請求額が7000万円としたら、裁判で勝訴すると、概ね850万円から1000万円の報酬が手に入る。敗訴したら報酬は0円である。汗しないで、飛んで火にいる夏の虫(マスコミ関係者、ブログで熱くなっている者、脅迫状を送りつけて逮捕されている者など、踊らされている蛾は多種に及ぶ。)を冷静に眺めているようでならない。私が両親なら、最愛の子供の命を7000万円とはしない。両親も言われるまま従っているのだろう。地球より重い命に値段をつけないが、法曹界とはこんなところである」

 何故、この爺さんは被害者やその弁護士にこうも敵意を剥き出しにするのだろうか?分別のある大人の行為とは、とても思えない内容である。警察に四十二年間勤務していたということは、常に一方の立場でしか物事をみてこなかったということなのかもしれない。(2012.7.19)




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