爺さんのブログ 1

 本編で、大津いじめ殺人事件の加害者とされる三人の少年のいろいろな情報が、ネット上に公開されていると書いた。そのひとつに加害少年の祖父のブログとされるものがある。このブログの主が加害少年の祖父なのか、どうかは、現時点ではわからない。ただ、この人物の現在の勤務先が、無関係であると公式に発表している。その詮議は置いておくとして、ここではそのブログの内容自体をみていきたいと思う。

 まず、このブログの主は今回の事件が公になったのを受けて、「擁護しないし、批判もしない…」という題で文章を書いている。大まかに内容をいうと、被害者の両親は責任を他者(学校、警察、教育委員会等)に転化するなということが書かれている。「最近の親は、自分の責任を他に転嫁して、しかも英雄気取りの常識のない行動をとる」被害者に対しての、この文章が、読者の怒りを買い、ブログには批判のコメントが1000件近くに寄せられ、炎上した。

 自分の子供を亡くし悲しみのどん底にいる両親に対して、‘英雄気取り’とは全く酷い言い方である。加害少年の祖父という情報を合わせて、ブログが炎上するのは当然であり、子供を失った親の気持ちなど、まるで考えていないようである。

 読んでいて腹の立つブログであるが、一歩引いてみると、これはこれで一つの意見ではある。自分の考えとは全く違うが、こういう考え方をする人もいるんだと呆れながらも、思える内容である。しかし、読者からの批判は凄まじく、それによってこのブログは、とんでもない方向へ行くことになる。

 読者からの批判を受けて、このブログの主は「ブログへの反応に驚愕」という文章をアップした。‘ブログの反応に驚愕’となっているが、これは実感だったと思われる。というのも、ブログの主は、いじめ問題についての記事を書いた後、全く関係ない記事を書いている。読者からの反響の大きさを想定していなかったのである。反響の大きいことが、わかっていれば予め最初の記事をフォローするものを用意していたはずである。

 さて、いじめ問題パートUの内容は、一言でいってしまえば、コメントを寄せた読者への優しい恫喝とお決まりのマスコミ批判である。読者のコメントを‘侮辱’‘名誉棄損’‘脅迫まがい’と断じ、そういったことをするなら、覚悟しなさいよということが書かれている。「多くのブログファンはご承知だろうが、インターネットはアクセスすることにより、相手方に情報を提供することになり、偽名を使ってもすぐに判ること、そしてメールやブログへのコメントは記録として残るから、犯罪行為とみなされたときは、証拠となることを自覚する必要がある」これは明らかに、コメントを寄せた読者を恫喝している。まさに火に油を注ぐ結果となり、ブログはさらに炎上する。

 それを受けてブログ主さんは、いじめ問題パートV「心ある大人は少年心理を正しく理解しよう」という記事を書く。まずは自身のブログのアクセスランキングが十一位になったことが書かれていて、驚愕しているとしながらも、その裏に得意気な表情が透けて見えるようである。前半部はどういう意図があるのかわからないが、埼玉県のいじめ事件で自殺をした少女の両親が敗訴になったことを述べている。そして、前回同様に読者のコメントとマスコミの批判が続く。そして、記事の後半は題名の少年心理に関してのものである。その中に、ブログ主さんが電車の車内で目撃したことが書かれている。

 「特定の1人の少年が、他の多くの少年から乱暴(ボクシングを真似た拳骨を用いて顔面こそ殴らないが腕や背中に暴力を加える。)するものの、その被害を受けている少年は、さほど苦痛な表情をするでなく、むしろ、自身の主観かもしれないが、ライオンの子供がじゃれあって、他のライオンを噛むような光景であって、仲間意識を満たしたような喜びにも似た表情であった」そして、この行為を「外形的に見ると、集団暴行(いじめ)そのもの」と書いている。結局、いじめを判別するのは難しく、事実を正確に判断してからでないと、問題の本質を誤ってしまうということをいいたかったらしい。

 いじめ問題パートVの内容は前半部はともかく、後半の部分はそれなりに納得できる内容だと僕は思う。しかし、この記事も、前半部の埼玉県の事例を挙げた面妖さと後半部の意味不明なところが、読者の批判を浴び、ブログはまた炎上ということになってしまうのである。そして、この後から、爺さんのご乱心が本格的に始まるのである。2につづく…(2012.7.15)




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