明るく陽気な政を

 日本テレビで火曜日の夜9時から放映されている世界番付という番組の中で、世界の卒業式が紹介されていた。台湾のミンダオ高校の卒業式では世界的にヒットした映画「アイアンマン」の格好した人物が登場し、大盛り上がりしていた。それも、そのはずでアイアンマンの着ぐるみを着ていたのは、校長先生だったのである。しかも、その着ぐるみはダンボール紙で作られた手作りのものだった。明るく楽しい雰囲気が伝わってくるいい卒業式だった。

 それに比して、先日、日本の高校で起きた口元チェックの卒業式はあまりにも暗い、暗過ぎる。片や校長がアイアンマンの扮装で大盛り上がり、片や校長が国家斉唱時の口元チェックを指示、どちらの卒業式を望むかと問われれば勝敗は明らかである。誰だって陽気で開放的な卒業式を望むだろう。暗く陰湿な式典など真っ平である。そして、この元凶を作ったのが、橋下市長だ。

 彼は、敵を作ってそれを叩くことによって、人気を得ているといわれている。しかし、厳密にいうと敵というより、攻撃対象を作り、それを一方的に攻撃することによって、市民の憂さを晴らし、人気を得ている。彼の攻撃対象は常に市民から、よく思われていない団体である。公務員、教育委員会、電力会社、そしてパチンコ業界などである。

 さらに彼の攻撃対象は発信力のないものがほとんどである。公務員にしろ、教育委員会にしろ、反論する場が与えられていないものばかりである。したがって、いつも彼の一方的な勝利に終わり、それを見て市民は留飲の下がる思いがして、よくやってくれると勘違いしてしまう。

 彼のやろうとしている政策は切り捨てと強制である。彼から見てムダなもの、ダメなものは切り捨て、自分の美学を押しつける。結果の出ない学校を廃校にする政策が、どのような事態を招くのか、イギリスやアメリカの先例をみればわかりそうなものである。大阪維新の会の国政進出が取り沙汰されているが、出来ればごめんこうむりたい。彼らに権力を握らせたら、戦前の特高が蘇るような気さえしてくる。

 政治は市民を明るく陽気にするものでなければいけない。暗くて陰湿な政治は監視と隠蔽体質を蔓延らせ、世の中を陰気にして、市民を委縮させる。政治は政=祭り事なのだから。(2012.4.1)




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