僕は用心深い方である。ネットでも、「君子危うきに近寄らず」で何となくヤバそうなものは避けて通るようにしている。しかし、今までに二回、地雷を踏んでしまったことがある。 僕がネットを始めたのは1999年だった。ネットでいろいろなサイトを閲覧していたが、やはりある一定の割合でアダルトサイトを見ていた。とはいっても悪質なサイトのあることは知っていたので、個人が趣味で作ったものに限っていた。 しかし、どうにも物足りなくなり、課金にならない一歩手前くらいまでいってみようと、会員制らしいアダルトサイトにアクセスし、サンプル動画を見ることにした。サンプルは無料で閲覧できることになっていたのである。 それが間違いだった。サンプル動画を見ようと、クリックすると、別のアダルトサイトのウィンドウが開き、それを閉じようとするとまた別のウィンドウが開きと、次から次へとウィンドウが現われ、収拾のつかない状態になった。恐怖を感じた僕はネットへの接続を切った。当時はダイヤルアップだったのである。 接続を切ると、ダイヤルアップのダイヤログが現れた。しかも、それはいつも接続しているプロバイダではなく、全く知らない名称と電話番号のものだった。サンプル動画をクリックすると、新しい接続先が追加される仕組みになっていたらしい。追加されてしまった接続先を消去し、何事もなく済んだが、あのまま気づかずに接続していたら、後から高額な電話料金の請求が来ていたかもしれない。 二回目は最近のことである。最初のことがあって以来、僕は今まで原則をさらに徹底させた。つまり、エッチな画像を見る場合は、個人で運営しているサイトに限った。そのうち、個人以外に誰でも?知っているような大きな会社のものも大丈夫ということがわかり、そちらの方も見るようになった。 そんなことをしているうちに、自分に課した原則が甘くなっていった。ある有名女優のテレビ事故画像というのに誘われた。どうも、テレビで水着姿になったその女優さんの乳首が、何かのはずみに見えてしまったらしい。高まる期待感に、ついついあまり確認もせず、動画の画面をクリックしてしまったのである。 まず、あなたは18歳以上ですか?という画面が出て、僕が18歳以上の方にチェックを入れると動画の画面になった。それをスタートさせようと、クリックするといきなり‘ご登録ありがとうございます。入会手続きを完了しました’と表示され、入会金として70000円の支払いを求められ、さらに払わなかったときは…と脅迫まがいのことが書かれていた。所謂、ワンクリック詐欺である。 慌てた僕は、すぐにでも支払いを求めるメールが来るのではないかとメールチェックをしてみたが、それらしいメールは来ていなかった。冷静になって考えてみると、業者はどうやって僕のメールアドレスを知り得るのだろうということに気づいた。 IPアドレスがわかったとしても、それだけである。そこから個人を特定するには、プロバイダに情報開示の要求をしなければならないが、こんな悪質業者にプロバイダが個人情報を教えるはずもなく、何の心配もいらないのである。プロバイダに個人情報の開示を求められるのは、警察の犯罪捜査権だけであり、個人やいかなる団体にもその権利はない。 そもそも、クリックだけで、成立する契約など違法なのだ。したがって、ワンクリック詐欺の対処法は、一切無視することである。退会しようとして、業者にメールを送ったり、電話をかけたりすると、自ら個人情報を与えることになるので、絶対に連絡してはいけない。とにかく無視することである。 それにしても、どうして男は、いや僕は‘お宝’‘流出’‘事故’‘無修正’等のキーワードに弱いのであろうか?(2011.12.1) |