アナログ放送終了告知の酷さ

 テレビのアナログ放送終了まであと二十日余となり、アナログ放送を見ていると、画面の左下に結構な大きさで「アナログ放送終了まであと○○日」という表示がコマーシャルのときを除いて出続けるようになった。目障りで仕方ない。早く、地デジへ移行しろ!と催促されているようで、いや実際に催促しているのだろうけど、気分が悪い。

 この表示を見ていて、以前に読んだ本を思い出した。確か「マイクロソフト帝国裁かれる闇」という題名だったと思う。Windowsの前の世代のOSとしてMS-DOSが広く使われていた頃、別の会社がMS-DOSと互換性のあるDR-DOSというOSを発売する。MS-DOS上で動くアプリケーションは、DR-DOS上でも動くわけである。これに脅威を感じたマイクロソフトは自社のアプリケーションをDR-DOS上で動かした場合、‘MS-DOS上で動かしてください’というメッセージを表示するようにしたのである。DR-DOS上でもアプリケーションは正常に動作するが、警告メッセージが表示されるため、DR-DOSを使っていたユーザーは心理的に威圧感を覚えるようになり、MS-DOSにシフトしていき、DR-DOSは消えていった。

 正に、アナログ放送終了の表示は、マイクロソフトが競合他社を潰すために用いた汚い手段と同じである。アナログ放送終了の字幕をテレビの画面に表示し続けることによって、視聴者に心理的圧迫を与え、一刻も早く地デジに切り替えるように仕向けている。何故なら、地デジ切り替えが遅れることによって、テレビを見ることができなくなる世帯が増えることは、テレビ局にとって困ったことになるからだ。テレビの本質は宣伝であり、宣伝を見る人が減れば当然、企業の売り上げに悪い影響が出て、それが広告料に跳ね返ってくるというわけだ。

 7月24日正午をもってアナログ放送が終了することを知らない人はいないと思われる。したがって、告知ということに関しては、あのような目障りな表示をする意味はほとんどないはずだ。アナログ放送終了の表示によって、テロップの読めなくなる時もあるし、もういい加減、字幕を消してもらいたい。そこまで、心理的圧迫を加えなくても、移行しようと思っている人はするだろうし、僕みたいにグータラな人間はぎりぎりまで放っておくだろうから…。(2011.7.2)

PS:やはりアナログ放送終了の告知が酷過ぎると話題になっているそうである。記事によるとデジタル化はまだ三十四万世帯が未対応となっており、さらにそれ以上の世帯がアナログテレビのままだという。




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