誰も来ないHP

 HPを始めた頃、HPのアクセス数を増やす方法の書かれているHPをいくつか見た。そこにはテーマを明確にすることとか、一目で何のHPであるかわかるようにするとかいったことの他に、悪い見本として男性の日常などを書いたものなどは誰も読まないといったことが書かれていた。

 正に僕のHPはこれに当たるわけで、そういわれてしまえばそんな気もしたが、もともと他人のためではなく、自分のために作り始めたものだから、まあいいかとそのままいったのである。

 当時、僕は失業していて、その心情を記録しておきたいと思い、HPを始めたのだけど、そういった系統の掲示板などを見ていると、あまりに悲観的な書き込みが多く、失業していてもそう悲観的にならず、のんびりやっている人間もいますよと、少しでも失業している人たちの慰めにでもなればという部分もあった。

 そのうちポツポツとメールが来たり、同じ系統のHPの管理人さんと懇意になったりして、多少なりとも広がりが出てきた。アクセス数は少ないが、‘誰も来ない’などということはなかったのである。これはネットの大きな特色であると思われる。

 例えば一般の中年女性のヌードを載せているページがある。一般に、体形の崩れかけてきた中年女性の裸など誰も見ないと思われがちであるが、このページは大そうな賑わいである。需要のなさそうなものでも、興味を持ってくれる誰かは必ずいるのである。

 テレビでは、一般的でないとか、需要がないとかで、切り捨てられてしまうものが、ネットの中では生きることができる。それは中年男性の日常でも、中年女性の裸でも、興味を持つ誰かがいるからである。

 テレビの中では正論しか言えないが、ネットの中では自分の思っていることが何でも言える。そして、それに反発を覚える人もいれば、共感する人もかならずいるものである。このHPも当初は送られてくるメールは男性がほとんどだったが、僕が仕事を見つけ失業系でなくなったくらいから、男女半々くらいの割合になり、それまで全くなかった十代の人からもメールを貰えた。

 ネットに関しては、一般論は全く用をなさない。誰も来そうにないHPでも、興味を持ってくれる人はいるものである。(2010.9.26)




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