リレー小説

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読みづらい登場人物名

 前刀傑(さきとうすぐる) 垣内瑠香(かきうちるか) 京美紀(みやこみき) 
畔柳赳夫(くろやなぎたけお) 保科梨花(ほしなりか)


2005年9月6日分 執筆者N島

京は無言で荷物を隣の椅子に置いた。

いくら、前刀が仕事が終わるのが早かったといっても、当然受付嬢はそれよりもずっと早い。

たまたま、百貨店でウィンドウショッピングを楽しんでいた京に電話をかけたところ、幸運にも捕まえることができた。

さすが、会社の顔ともなる受付嬢である。
その洗練された服装は上品さを感じる。

よく私の誘いに応じたものだと、前刀は思う。

今日も、その上品さを維持するための努力をしていたと考えられるのかもしれない。

それにしても・・・・

世の中は思っていたよりも狭いものだ。

前刀は現在入社4年目でこれから入社5年目となる。
一方、京嬢は今年入社3年目。

前刀から1年遅れて入社してきたことになる。

実は前刀は大学受験に一度失敗をしている。

入学したいと思う大学しか受けない。

その浪人覚悟で受けた大学は、高校生の前刀に初めての大きな挫折を与えた。

多くを望まなくなったのはその時からかもしれない。

人にはそれまで生きてきた中で培った器がある。
その器からはみ出るような物と言うのはその人物には手にできない。

まるで老人のような悟りに、前刀はもう少し青年らしい欲望をもつべきではないかと考えることがある。

思えば・・・・
サスーンの仕事と真央という2つの物を掴んで離さないで済むほど・・・

当時の前刀の器は大きくなかったのかもしれない。

丁度・・・・

燕のヒナたちが成長して、成長の途中で居場所を失い巣から落ちて失われるヒナがいるように・・・・

真央という存在も前刀という器に収まりきらずに・・・

こぼれ落ちていってしまった。



さて、その前刀の浪人が、京と前刀は2歳の年齢の開きがあるのにもかかわらず、社会人経験の差を1年に縮めた。


そして・・・

京入社後に知るのだが・・・・

前刀の交際相手の真央と京は同じ高校の同じクラス出身なのだ。

そして、仲の良い友人でもあるらしい。

前刀という名前は珍しく、京は入社後すぐの新入社員歓迎会において、前刀に領家真央(りょうけまお)という女性を知らないかという話を振ってきたのだ。

本当に世の中は広いようで狭いものだ。

真央と別れて以来・・・

何か後ろめたいタブーのような感が拭えず、京とその話題には触れないようにしてきたが・・・

あれから2年以上経つ。

思い出話にするには丁度いい頃合かもしれない。


京は窓の外で降る雪をを眺めながら、口を開いた。

「どうして・・・・急にそんなこと聞くんですか?」

そこには非難めいた感情がこもっていた。

何故・・・・気になるのならもっと早く、行動をしないの?

そんな風に受け取れた。

「・・・・・・」

前刀は言うべき言葉を失った。

そして・・・・


続・・・・