リレー小説
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読みづらい登場人物名
前刀傑(さきとうすぐる) 垣内瑠香(かきうちるか) 京美紀(みやこみき)
畔柳赳夫(くろやなぎたけお) 保科梨花(ほしなりか)
2005年8月14日分 執筆者N島
年内の社内会議が終わったため、仕事が落ち着いた前刀は19時にサスーンを出ることにした。
オフィスの自動ドアを開けると・・・
チラホラと白い物が舞い落ちる。
羽毛のように柔かそうなそれは、雪だった。
雪を久し振りに見た気がする。
12月に東京で雪が降ったのはいつ以来だろう。
毎年降っているのかも知れないが・・・
前刀には12月の雪の記憶がなかった。
退社時刻が早かった前刀は、折角だから寄り道をしようと駅前のバー「サンセット」に向かうことにした。
ここなら、雪が酷くなってもすぐに駅に逃げ込める。
こんなに早く会社を出ることができた前刀は、すぐに自宅に帰ってしまうのはもったいない気がしていた。
「サンセット」のドアを開けると、前刀は先日とは異なり、2階のガラス張りで外を眺めることのできるカウンターへと腰を下ろした。
コートの肩にかかった雪をハンカチで払い、近くのコート掛けに掛ける。
店員にブラックトップのダブルを注文し、お気に入りのジュークボックスで今日もビートルズの曲をかける。
本日は「Cry Baby Cry」を選曲した。
散り際の桜の花びらのように舞う雪を見ながら、前刀は前刀と同席する喫煙者用のジッポライターを握り締める。
S.Sと前刀のイニシャルが彫られているそれ。
これが前刀の所有物となってから5年の月日が経つ。
贈り主の真央は今ごろどうしているだろうか・・・
前刀は先ほど届けられた注文の品の氷をコロコロと転がして、冷気をその琥珀色の液体に浸透させると、グラスに唇をつけた。
そうしてから、また降り続ける雪を眺める。
真央と別れたのも・・・
こんな風に雪が降る日だった。
3年ほどの交際はたった一文のメールで終止符が打たれた。
ごめんなさい。もう・・これ以上は・・・・別れましょう。
あっけない終わり方だった。
仕事で帰りがいつも遅く、なかなか会うことができなかった前刀はそれを引き止めるだけの権利を持っていないと感じていた。
もし、あのとき・・・・
続・・・・