リレー小説

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読みづらい登場人物名

 前刀傑(さきとうすぐる) 垣内瑠香(かきうちるか) 京美紀(みやこみき) 
畔柳赳夫(くろやなぎたけお) 保科梨花(ほしなりか)


2005年6月7日分 執筆者N島

前刀は思考を続けながら・・・

ふとメール送信後の携帯電話を眺めた。
表示されている日時は、12月19日の日曜日、時刻は11時。

明日は定例会議。


幸いにも週末には仕事を終えている。
このまま自宅で一日を過ごすもの辛気臭い。

折角、時間があるのだから・・・・

外出をするのもいいかもしれない。


このまま、考えていても堂堂巡りを繰り返すだけのような気がした。

Tシャツにジャケットという比較的前刀にしてはラフな衣服に身を包むと、602号室の自室の扉の鍵を閉めた。

見ると、隣人の長髪の青年が溜まったゴミを出そうとしていたところだった。

表札を見る限り、煤賀(すすが)という苗字であろうこの青年はビッグなミュージシャンを目指しているのか、実は毎晩のように、隣室からはギターの音が聞こえる。

しかし、最低限度の常識は身につけているのか・・・
12時を超えてからはその音が聞こえることはない。

だから、前刀はこの青年に対して、嫌悪感は持っていなかった。


「こんにちわ」

前刀は声をかける。


青年はチラリとこちらを見ると・・・

「ああ・・・こんにちわ。」

隣人と認識したのか、社交儀礼的に返事を返した。
しかし、それまでだった。

前刀は一足先にエレベーターで1階に降りると・・・
マンションのエントランスドアを開けた。

気温は寒いが、いい天気だ。
宝石のように角張った光線が、前刀の顔に降り注ぐ。

「いい天気だな・・・」

ぼそりと呟いた。

前刀は目的もなく、駅の方へと向かった。
いつも買い物をするコンビニオーソンの先の交差点を左に向かう。


駅前までくると・・・・
前刀は「辰屋」のある西口の方で見慣れない風景が目に付いた。


出店のような形で出店している販売員の姿だ。


たまたま駅前で、プリペイド式携帯電話の販売キャンペーンを行っているようだ。


目立つ赤い半纏を着た、スタッフが大声で客寄せをしている。
前刀はなんとなく、その出店へと近づいていった。

すると・・・・
待ってましたと言わんばかりに、販売員が声を掛けてきた。

「プリペイド式携帯電話にご関心はございますか?」

「プリペイド式携帯電話とはどういうものなのですか?」
前刀の知識にはプリペイド式携帯電話というものが存在しなかったため、尋ね直した。

すると・・・
わが意を得たりといったように販売員が説明を始めた。

それによると・・・


プリペイド(pre-paid)とは、直訳すると…pre(あらかじめ)+paid(支払い済みの)=「先にお金を払ってある」ということで、プリペイド携帯電話とは料金前払い式の携帯電話のことを言い、カードを購入し、特定の番号に電話を掛けて、そのカードに記載されている番号を打ち込むことで、料金分の通話が可能になるらしい。

そして、その端末の機械は非常に安価で、税抜きで3桁の数字といった価格である。
カードは別売りで、通話分によって異なる。

コンビニでもカードを購入できる手軽さが好評な物だそうである。
そして、当然・・・

受信には費用がかからないため、受信専門にすれば、料金は発生しない。

前刀は説明を聞くうちに・・・


瑠香のことを思い出した。


何か連絡手段というものがあったほうがいいかもしれない。

だが、一方で「他人」である前刀がそんなものを渡してしまうのは、肉親にとって土足で家庭内に上がりこまれるかのような不快さが残る可能性もある。


それに病院は携帯電話は禁止の可能性が強い。


そう考えて、前刀は決断を保留することにした。
出先から戻ってきて、まだ販売員がここにいるようなら再度考えよう。


前刀は検討する旨を販売員に伝えると、定期券で改札を通った。


なんだか、無性に誰かと会話がしたい。
先ほどからそんな変な衝動に駆られている。

行き先は・・・・

お気に入りの喫茶店「さぼわーる」だ。
落ち着いて物静かな、マスターと会話がしたかった。

何も休みの日に会社の近くまで行く事は無いが・・・
オフィス街が休みでないと「さぼわーる」のマスターも忙しく、前刀の相手をしているわけにもいかない。

「さぼわーる」は年中無休でやっているので、休日に行くと丁度いい。

前刀はホームでいつもの会社行きの電車が到着するのを待つことにした。


続・・・・