四季の投句作品コーナー



2014年4月
特集・春の俳句
 HP「にじのたね」の開設10年おめでとうございます。
 今回、「おやこの俳句教室」では、10年を記念して「春の俳句」を募集しました。寄せられた俳句は感動の作品ばかりです。
 「おやこの俳句教室」は、皆さんに支えられ、俳句の輪が広がることを願っています。これからも、よろしくお願いします。


お日さまを乗せて走るよ春の川 イムちゃん
青い空突き上げ土筆ここにいる イムちゃん
青い地球の春を畳んでいる渚 イムちゃん

高千穂の遠かすみなる春の朝 こうじさん
夜明けにはまだ間のありぬ春嵐 こうじさん
蒼天の開聞岳に春の雪 こうじさん
屋久島の全景とらえ春うらら こうじさん
佇めばなべて春色なりにけり こうじさん

春の宵子の寝姿ののびやかさ みうさん
雛飾る母古き歌口遊み みうさん
スカーフの優しき軽さ風光る みうさん
ままごとやすみれたんぽぽ盛り合わせ みうさん
わが夢を笑わば笑え万愚節 みうさん

新入学親より遠くの見える丈 真帆
沈丁花欠けゆく月の香を零し 真帆
踏青の髪書き上ぐる風おもて 真帆
花筏ソウルメイトと言はれても 真帆
畦越えて次の春田へ鳥語伸ぶ 真帆

なにもかも新しくなる桜かな 雅司
春光や高速船は異国へと 雅司
船もまた同じ旅人春の風 雅司
春風やバスケの子等の弾む声 雅司
清明の還暦祝ひありがたう 雅司


※ご投句ありがとうございました。次回[夏の俳句]も、ご参加を宜しくお願いします!
 
2014年5月
特集・春の俳句」の選句と選評(1)
 2014年4月「特集・春の俳句」は一句選をお願いしました。5月と6月の掲載となります。ご投稿ありがとうございます。


選句と選評(1)

こうじさん選

○青い空突き上げ土筆ここにいる  イムちゃん
小さな土筆が、青空にまけない大きさ感じます。

○雛飾る母古き歌口遊み みうさん
*雛飾る時、なつかしい思い出の中 ふと口遊む、静かに聞いてしまいそうです。

○新入学親より遠くの見える丈 真帆さん
*今年の春もひとり立ちに向かう子どものいきおい、成長を感じます。

○清明の還暦祝ひありがたう 雅司さん
*素晴らしい日に新しい人生の始まり、感謝の一句感じます。


みうさん選

○青い空突き上げ土筆ここにいる イムちゃん
*土筆は、いかにも一生懸命に顔を出しました、という様でいじらしくなります。土筆が見た青空は、どんなに明るく美しかったことでしょうね。

○夜明けにはまだ間のありぬ春嵐 こうじさん
*夜更けの寝床の中で聞く風雨の音は実際より激しく聞こえて、怖ろしく感じます。安全に身を守る場所があることに感謝しながら明るくなるのを待つ気分を思い出します。

○沈丁花欠けゆく月の香を零し 真帆さん
*沈丁花の甘いのに愁いを感じさせる香りは、月光が似合いますね。謎めいた美女が登場しそうなドラマティックな絵が浮かびます。

○春光や高速船は異国へと 雅司さん
*長く島人の足として親しまれた高速船シーホーク、皆に見送られながら南の国へ旅立ちましたね。感謝と別れの寂しさと新天地へのエールを感じます。


ほうえい選

○青い地球の春を畳んでいる渚 イムちゃん

○佇めばなべて春色なりにけり こうじさん

○わが夢を笑わば笑え万愚節 みうさん

○花筏ソウルメイトと言われても 真帆

○船もまた同じ旅人春の風 雅司


金剛選

○お日さまを乗せて走るよ春の川 イムちゃん
*自転車で走行中でしょうか。アイディアがあります。

○蒼天の開聞岳に春の雪 こうじさん
*つい最近、山川にでかけましたが、あいにくの雨天で薩摩富士は方向さえわからず、うらやましい句です。

○スカーフの優しき軽さ風光る みうさん
*春の訪れを感じます。

○新入学親より遠くの見える丈 真帆さん
*すべて親を越えてほしいと思います。

○春光や高速船は異国へと 雅司
*韓国の惨事を教訓に、無事故を願います。


雅司選

○青い地球の春を畳んでいる渚 イムちゃん
*「春を畳む」とはベテランの技。青い地球のスケールの大きさに加えて、春の季節感を存分に作品にされた。白い渚に引き込まれる。

○蒼天の開聞岳に春の雪 こうじさん
*薩摩富士とよばれる開聞岳。めったに雪を仰ぐことはない。作者は仕事で移動中に春の雪をみることができた。ラッキーの一語に尽きる。

○春の宵子の寝姿ののびやかさ みうさん
*子育てのお母さんだ。作品はのびやかさと寝姿を一句にされている。至福のひとときは休日の春の宵だろうか。はしゃいだ後の寝姿である。

○花筏ソウルメイトと言われても 真帆
*まずは電子辞書で「ソウルメイト」を引くことだった。カタカナ表記でインパクトが強い。私も文芸が取り持つご縁に感謝するばかりだ。


真帆選

○青い地球の春を畳んでいる渚 イムちゃん
*地球は水の惑星。大海の縁である渚を「春を畳む」ととらえた。宇宙規模の大きな景と、細波の繊細さを兼ね備えた不思議な句。

○高千穂の遠かすみなる春の朝 こうじさん
*高千穂は天孫降臨の地。頂がかすみに隠されているのも畏く貴い。そして山を遠く見ながら人々の春の1日が始まる。

○雛飾る母古き歌口遊み みうさん
*自分の母親の面影を思い出した。何の歌?と聞くと歌うのをやめてしまいそうで、今となってはタイトルもわからないけれど。なつかしくて、少し切なくなった。

○なにもかも新しくなる桜かな まさじさん
*「なにもかも」という措辞が、桜という季語の効果でふくよかなイメージとなった。今年もまた、惜しむ時間もないほどに急ぎ足で春は過ぎていった。


2014年6月
特集・春の俳句」の選句と選評(2)
  イムちゃん選

○屋久島の全景とらえ春うらら こうじさん
*「屋久島の全景とらえ」の表現、鹿児島南端ならではの景ですばらしいですね。

○わが夢を笑わば笑え万愚節 みうさん
*万愚節の季語がよく生かされた作品ですね。楽しい夢なのでしょう。

○花筏ソウルメイトと言はれても 真帆
*真帆さんの五句どれも新鮮な発見と表現があって楽しいです。特にソウルメイトはおもしろいですね。

○船もまた同じ旅人春の風 雅司
*旅人と共に船もまた新しい港へと旅立つ、時を行脚する事物としての、深い洞察力の伺える作品ですね。


フラガールさん選

○青い空突き上げ土筆ここにいる  イムちゃん
*春を見つけたと感じるもので土筆と言うことが共感出来ました。小さく見落としやすい春ですが、見つけるとここから春が始まっていると主張している風景が思い浮かびます。

○屋久島の全景とらえ春うらら  こうじさん
*屋久島に呼ばれて屋久島に行くと聞いたことがあります。全景が目にはいったときのどかな春のような温かさを感じたのではと思いました。

○ままごとやすみれたんぽぽ盛り  みうさん
*幼少の頃を思い出しました。お皿の上に絵を描くように色とりどりの花を並べる。春ならではの楽しみのような気がします。

○新入学親より遠くの見える丈 真帆

○なにもかも新しくなる桜かな 雅司
*なにもかもが春のスタートと心機一転の気持ちにさせてくれる感じがしました。春は新しいスタートライン!


十四子さん選

○お日さまを乗せて走るよ春の川 イムちゃん
*青い空のお日さまの映ってる川面の景が見えます。自分が走るとお日さまもついて来る楽しさも想像出来ます。

○夜明けにはまだ間のありぬ春嵐 こうじさん
*早く夜が明けないかなあとの不安感が感じられます。

○スカーフの優しき軽さ風光る みうさん
*風光るの季語が生きています。

○畔越えて次の春田へ鳥語伸ぶ 真帆
*げんげの咲きはじめた田んぼの鳥の声に焦点を絞って春田の季語が一句の中にしっかり座っています。

○春光や高速船は異国へと 雅司
*「異国へと」で夢のある句に感じました。