山下雅司さんが作っておられる小学校低学年と保護者向けの俳句入門です。
  第1回〜74回、75〜86回、87〜91回、92〜98回は入門のページのリンクからどうぞ。



おやこの俳句教室(99)
4月:みんなで俳句!

 俳句って何だろう?。そう思っている方は多いのではないでしょうか。そこで新年度は、俳句をやさしくお話しできればと思います。
 まずは、俳句のかたちです。5・7・5の17音から成り立っています。「ふるさとを・おもいださせる・さくらかな」。さくらの花をみてふるさとを思い出しています。「さくら」が作者に、この季節を教えています。
 季節のことばが俳句の中心になっています。それが季語です。春夏秋冬がある日本で生まれた俳句は、17音という制約の中で、季語が5音ほど占めます。残りの12音ほどで俳句のできあがりです。
 初めて俳句を作る時、17音と季語だけは頭に入れておきましょう。絵を描くように対象物をじっくり見ることが大事です。まずは一句、春の俳句を作ってみましょう。


◇ミニ吟行のご案内◇

 おやこの俳句教室では、初めてのミニ吟行を開催します。親子での参加に期待します。お一人での参加も可。雨天時も吟行します。

日時:平成27年5月2日(土)
場所:鹿児島市甲突川緑地帯の「春の木市」会場周辺
会費:無料

※集合は午前10時に大久保利通銅像の前です。投句締切は12時です。当日の作品は、おやこの俳句教室(100)で掲載します。


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

首長ききりんの上の春の空 後藤比奈夫
(くびながききりんのうえのはるのそら ごとうひなお)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも4月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞

次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

まがりても花のあんずの月夜道 上田五千石
(まがりてもはなのあんずのつきよみち うえだごせんごく)


[おやこの季語集]

今回より、各月の季語を列挙します。1つでも多くの季語が使えるようになりましょう。

 @時候…四月、のどか、うららか
 A天文…春日、春の星、おぼろ月
 B生活…入学、えんそく、ぶらんこ
 C地理…春の海、、春の山、春の川
 D植物…さくら、、チューリップ、パンジー
 E動物…おたまじゃくし、ちょう、はち
 F行事…エイプリル・フール、はなまつり、昭和の日


◇年間の投句・選句掲載予定

 4月
 5月春の俳句発表
 6月春の俳句選句
 7月
 8月夏の俳句発表
 9月夏の俳句選句
10月
11月秋の俳句発表
12月秋の俳句選句
 1月トシドンの俳句発表
 2月バレンタインの俳句発表
   冬・新年の俳句発表
 3月冬・新年の俳句選句


※春の俳句の締切は5月5日です。よろしくお願いします。

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おやこの俳句教室(100)
5月:自然にふれて

 野外での俳句づくりは、のんびりとした雰囲気で身も心もリフレッシュできます。作品のよしあしではなく、自然にふれて今日の作品を作ることが大切です。今回は、ミニ吟行作品を掲載します。

ミニ吟行

日時:平成27年5月2日、10〜12時
場所:鹿児島市甲突川「春の木市」会場周辺

藤棚に憩ふひととき気のままに 芳泉
救はるる老の心根花つつじ 芳泉
友垣の絆清らに若葉風 芳泉
苗木市火山灰と日避けのテント張り 冬児
苗木市まづひととおり往復す 冬児
火山灰よけて楠の大樹を傘にせん 冬児
火山灰踏みて春の木市に遊びけり 百子
小手毬の花に火山灰降る河畔かな 百子
苗木市ささえる人の朝早き 百子
葉桜の影の舗道に鳩あそぶ 雅司
選定の指南うけをり苗木市 雅司
苗木市躍る値札もありにけり 雅司


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

仕送りの荷の隙に足す新茶かな 緑川美世子
(しおくりのにのすきにたすしんちゃかな みどりかわみせこ)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも5月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

風船の影を失ふ高さまで 古崎真帆
(ふうせんのかげをうしなうたかさまで ふるさきまほ)

[おやこの季語集]
5月の季語を列挙します。1つでも多くの季語が使えるようになりましょう。

 @時候…ごがつ(五月)、しょか(初夏)、なつめく(夏めく)
 A天文…なつぞら(夏空)、なつがすみ(夏霞)、うのはなくたし(卯の花腐し)
 B生活…ちゃつみ(茶摘)、ころもがえ(更衣)、なえうり(苗売)
 C地理…うなみ(卯波)、うえた(植田)、おはなばたけ(お花畑)
 D植物…はざくら(葉桜)、わかば(若葉)、たけのこ(筍)
 E動物…めじろ(眼白)、たこ(蛸)、とびうお(飛魚)
 F行事…こいのぼり(鯉幟)、こどものひ(子供の日)、ははのひ(母の日)


【投句コーナー】
春の俳句

春土砕くみみずの顔を確かめる イムさん
満開のさくらがこぼす青い空 イムさん
指開き空うばいあう若かえで イムさん
若葉充ち昨日の空を埋めゆく イムさん
余花の風忘れた時間追いかける イムさん

懸命に生き抜くあかし桜咲く 雅司
そよ風にいろ薄れゆく藤の花 雅司
茎立や出勤いそぐ人ばかり 雅司
新聞にルビの二文字春深し 雅司
葉桜や低き石垣通る風 雅司

ほどほどに漏らす本音や万愚節 真帆
二本目のさくらに楽器置き去りに 真帆
花筏浮かぶでもなき鯉の口 真帆
起立して校歌斉唱フリージア 真帆
かすみ草はらはらこぼし見送らる 真帆

※次回は春の選句をよろしくお願いします。
こちらのフォームからご参加ください。


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おやこの俳句教室(101)
6月:季語の分類

 季語は、時候、天文、生活、地理、植物、動物、行事に分類されています。よく似た季語があり、分類するのに少しとまどうことがあるのではないでしょうか。
 今回は、時候と天文について、梅雨を例にあげてみましょう。
○時候…梅雨入り、梅雨寒、梅雨晴、梅雨明け
○天文…梅雨、梅雨の星、梅雨闇、梅雨の雲
 このように並べてみると、よくわかります。梅雨を時候と思いがちですが、梅雨だけでは、時候ではなく天文です。お便りをだすのに、時候文があります。時候とは、四季折々の気候、その時々の陽気です。
 梅雨は、夏休み前ぐらいまでの長い雨の季節です。雨が少ない空梅雨もあります。農耕には恵みの雨であってほしいですね。大雨洪水がないことを祈るばかりです。

 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

荒梅雨や山家の煙這ひまはる 前田普羅
(あらづゆややまがのけむりはひまはる まえだふら)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも6月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

激浪のごとく梅雨雲流れ行く 山下雅司
(げきろうのごとくつゆぐもながれゆく やましたまさじ)

[おやこの季語集]
6月の季語を列挙します。1つでも多くの季語が使えるようになりましょう。

@時候…ろくがつ(六月)、つゆさむ(梅雨寒)、あつし(暑し)
 A天文…かぜかおる(風薫る)、つゆ(梅雨)、さみだれ(五月雨)
 B生活…くさとり(草取)、なつぼうし(夏帽子)、なつぶとん(夏布団)
 C地理…なつの(夏野)、うえた(植田)、でみず(出水)
 D植物…とけいそう(時計草)、あじさい(紫陽花)、あまりりす(アマリリス)
 E動物…うなぎ(鰻)、かたつむり(蝸牛)、かめのこ(亀の子)
 F行事…ときのきねんび(時の記念日)、ちちのひ(父の日)、なごし(夏越)


【選句コーナー】
春の俳句
イムさん選
茎立や出勤いそぐ人ばかり 雅司
出遅れてはならじとばかりに茎立つ菜の花、出勤の人々の景色そのものに見え、活気あふれた春の出足が伝わってきます。
かすみ草はらはらこぼし見送らる 真帆
かすみ草をはらはらこぼしながら立ち去る思いは、忘れがたい日々をひとつひとつ捨てこぼしながら、純白に浮き出し鮮明に甦る、人生の節目の大切な作品に感じられました。

真帆選
満開のさくらがこぼす青い空 イムさん
空の色が強くて花吹雪になるという句を作ったことがあるが、同じ場面をイムさんは、こぼれるのは青い空の方で、こぼすのは満開のさくらととらえている。 たしかに咲きほこる満開のさくらには、そんな生命力があると思った。
茎立や出勤いそぐ人ばかり 雅司
収穫を終えた後たまたま残ったのか、採種用に残したのか、畑につんつんと立っている花の茎。新年度を迎え慌しくも溌剌と出勤していく人々との取り合わせがいい。応援したくなる一句だ。

雅司選
余花の風忘れた時間追いかける イムさん
「忘れた時間追いかける」とは、謎めいている。満開の桜の下では、こうはいかないだろう。季節は初夏になって、残花ではない。
花筏浮かぶでもなき鯉の口 真帆
花筏とは、水面に散った桜の花びらが筏のようにみえることから。水面すれすれの鯉の口。「浮かぶでもなき」と表現して絶妙だ。


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おやこの俳句教室(102)
7月:夏の特集
「一日一句」残そうよ!

 俳句の積み重ねも、毎日を大切にすることから始まると思います。一日一句は、その日に自分が体験したこと、目にしたことが主な記録になりがちです。それでも俳句にしておきます。
 毎日となると、何回も同じ季語を使ってしまうかもしれません。同じ季語でも新しい発見ができれば、毎日がたのしくなると思います。ともかく、17音にしておきましょう。  ここで、私の一日一句の季語のみをご紹介します。同じ季語を多く使っています。それでも同じ内容ではありません。この中から、新聞や俳句雑誌にも投稿しています。欲張らず、一日一句だけにするのが、長く続けられることになるかもしれませんね。

   一日一句/平成27年4月で使った季語
01(水)さくら02(木)春03(金)新学期04(土)桜咲く05(日)月おぼろ06(月)四月07(火)チューリップ08(水)大桜09(木)花の昼10(金)花は葉に11(土)初音12(日)春の雨13(月)新緑14(火)春夫の忌15(水)四月16(木)四月17(金)春深し18(土)若葉萌ゆ19(日)葉桜20(月)茎立21(火)あたたかし22(水)暮春23(木)春空24(金)四月25(土)春夕焼26(日)車輪梅27(月)春便り28(火)四月29(水)昭和の日30(木)四月尽

 このように季語を並べると、俳句が生まれる気がしませんか。ちなみに、1日の「さくら」は、4月の「おやこの俳句教室」の原稿句です。俳句教室のおかげでできた俳句です。俳句は作ろうとしなければ、一句もできません。そして、作品を直すこともできません。何よりも、作者の心のささえです。


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

海に降る火山灰をさびしむ大暑かな 大岳水一路
(うみにふるよなをさびしむたいしょかな おおたけすいいちろ)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも7月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

鼻唄のきのうと同じ胡瓜揉み 黛まどか
(はなうたのきのうとおなじきゅうりもみ まゆずみまどか)


[おやこの季語集]
7月の季語を列挙します。1つでも多くの季語が使えるようになりましょう。

 @時候…しちがつ(七月)、はんげしょう(半夏生)、たいしょ(大暑)
 A天文…なつのつき(夏の月)、かみなり(雷)、ゆうやけ(夕焼)
 B生活…とざん(登山)、ゆかた(浴衣)、かいすいよく(海水浴)
 C地理…なつのやま(夏の山)、なつのかわ(夏の川)、どようなみ(土用波)
 D植物…ゆりのはな(百合の花)、ねむのはな(合歓の花)、とまと(トマト)
 E動物…かぶとむし(甲虫)、こがねむし(黄金虫)、なつのむし(夏の虫)
 F行事…なつまつり(夏祭)、ぱりさい(パリ祭)、ろくがつどう(六月灯)


☆「夏の俳句」の募集について 投句は5句まで、締め切りは8月7日です。

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おやこの俳句教室(103)
8月:夏休み俳句教室〜推敲(すいこう)

推敲とは、自分が作った文章や詩歌、俳句などの字句をねり直すことです。
 今回は、春のミニ吟行の冬児さんの推敲をとりあげます。
 原句は「火山灰避けて楠の大樹を傘にせん」。句意はよくわかりますが、「楠の大樹」が季語になるかです。「楠若葉」ならば問題なく季語になります。
 そこで推敲後の俳句がこれです。「火山灰避けて信号待ちの楠若葉」。
 季語の楠若葉と具体的に信号待ちとしたことで説明的な感じもとれていますね。
 吟行では、すなおに思ったままを記しておき、後から作品に仕上げることもできます。推敲により俳句がよくなった一例です。


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

学校が好き朝顔に水をやる 津田清子
(がっこうがすきあさがおにみずをやる つだきよこ)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも8月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

孤児も父となりて祈るや原爆忌 下村ひろし
(こじもちちとなりていのるやげんばくき しもむらひろし)


[おやこの季語集]
8月の季語を列挙します。1つでも多くの季語が使えるようになりましょう。

 @時候…はちがつ(八月)、はつあき(初秋)、ざんしょ(残暑)
 A天文…あまのがわ(天の川)、ながれぼし(流れ星)、いなびかり(稲光)
 B生活…ぼんおどり(盆踊)、ぼんやすみ(盆休)、ぼんしばい(盆芝居)
 C地理…あきでみず(秋出水)、ぼんなみ(盆波)、あきのつち(秋の土)
 D植物…すいか(西瓜)、あさがお(朝顔)、ほうせんか(鳳仙花)
 E動物…ひぐらし(蜩)、ほうしぜみ(法師蝉)、ふよう(芙蓉)
 F行事…はかまいり(墓参)、ぼんじたく(盆支度)、とうろう(燈籠)


【投句コーナー】
夏の俳句

体操の朝がはじまる夏やすみ イムさん
炎天の朝を転がすミキサー車  〃 
冷房の音を纏って錆びるビル  〃
蝉猛て地球の声となってゆく  〃
ごきぶりが光になって夏を飛ぶ 〃

大西日どの子の影も大人びて 真帆
残像を打ち消してまた揚花火  〃
尾を振りて猫すれちがふ日雷 〃
ゆるゆると波線描き水を撒く  〃
一匹も見つからぬ間に蝉時雨 〃

父の日や箱に詰まりしメロンの香 雅司
学校のチャイムが鳴つて梅雨の暮 〃
夏の夜の寝床替はれば寝の浅き  〃
熱帯夜丑三つ時の水を飲む  〃
新聞を読む朝蝉の鳴き始め  〃
※次回は夏の選句をよろしくお願いします。


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