山下雅司さんが作っておられる小学校低学年と保護者向けの俳句入門です。
第75回からは内容をリニューアルして掲載しています。(連載中)   第1回〜74回、75〜86回、87〜91回は入門のページのリンクからどうぞ。



おやこの俳句教室(92)
9月:今年も青の俳句にチャレンジ!!

 「第16回南九州市かわなべ青の俳句大会」の作品募集中です。応募できるのは小学生から高校生までの12年間で、学年では後にも先にも1回だけです。
 俳句は時候、天文、生活、地理、植物、動物、行事などの1つを選んで作ります。夏祭りに行くと、出店がいっぱい並んでいます。「うちわ、金魚すくい、かき氷、ゆかた、涼風、花火…」など全て俳句の題材になりますね。俳句は作ろうと思わなければ、一句も残りません。
 今年も青の俳句にチャレンジしてください。誤字のないように今一度見直してみましょう。作品の締め切りは9月12日です。ファクスでの応募はできなくなっていますのでご注意ください。

 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

台風がわすれていった青い空
 (第15回南九州市かわなべ青の俳句大会小学3年生作品)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも9月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞

次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

虫の夜の星空に浮く地球かな 大峯あきら
(むしのよのほしぞらにうくちきゅうかな おおみねあきら)

【投句コーナー】
*夏の俳句

太陽にカンナの赤は負けないよ イムちゃん
木々たちが騒いでいるよ夏がきた イムちゃん
空高く飛べたバッタのキチキチ語 イムちゃん
絵日記の海豚は空をはみ出てる イムちゃん
にじのたね撒いて明日の雲になる イムちゃん

少年に長き釣竿夏休み みうさん
ブルーベリー摘む手も口も夏の色 みうさん
青きまま薙ぎ倒されしトマトかな みうさん
蝉の声めがけて網を振り回し みうさん
鶴を折る願いはひとつ原爆忌 みうさん

ふる里にいのち尊ぶこどもの日 雅司
海原は瑠璃色梅雨の空晴れて 雅司
先祖墓ひとり屈むや鹿の子百合 雅司
亡き人の分まで蝉の鳴きにけり 雅司
蝉鳴くや朝日いよいよ照りつけて 雅司

街暑し日時計の如くビルの影 真帆
鬼灯に魂吸はるるやうに寄る 真帆
髪洗ふ草の香りの泡立てて 真帆
耳鳴りかモーター音か蝉声か 真帆
夏休み団地に子等の声響く 真帆

【選句コーナー】
*今回はお休みです。
次回は、夏の俳句から1作者ごとに1句選をお願いします。

【水墨画展のご案内】

 来年は国民文化祭が鹿児島県で開催されます。俳句をはじめ、多くの分野で多彩な文化交流が期待されます。今年はプレ国民文化祭が行われています。
 平成26年9月9日から9月15日まで、鹿児島市立美術館では「第15回鹿児島墨龍会水墨画展」が開催されます。
 芝龍郎先生の今年の作品は「花宴」。F50。水墨画教室の会員のみなさまの作品を楽しみにしています。

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おやこの俳句教室(93)
10月:俳句教室と水一路先生

 昨年春で終了した「あすなろ俳句教室」は、平成16年11月のスタートでした。その中で、母校での俳句教室は、楽しい思い出の1つです。子どもたちに体育館で作ってもらった俳句に、一句づつ寸評をつけて送りました。
 子ども俳句は素直で明るいものでした。作品を整理して、俳句雑誌「湾」主宰の大岳水一路先生に、各学年の作品を見ていただきました。先生の選は子どもたちのはげみになったことでしょう。
 子ども俳句にも情熱を注がれた先生でしたが、9月11日にお亡くなりになりました。3ヵ月前までお元気で俳句会に出ておられました。
 今回は、この季節の先生の作品を例句と鑑賞句にとりあげました。もうすぐ出水にはツルも飛来します。モズ、タカ、ツルなど鳥の俳句を多くのこされた先生のごめいふくをお祈りします。

 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

鵙高音水張つて締む桶の箍 大岳水一路
(もずたかねみずはつてしむおけのたが おおたけすいいちろ)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも10月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞

次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

天はいま宴の如し鷹柱 大岳水一路
(てんはいまうたげのごとしたかばしら おおたけすいいちろ)

【投句コーナー】
*今回はお休みです。
秋の俳句は11月6日が締め切りです。一人5句となっています。ふるってご投句ください。
こちらのフォームからご参加ください。

【選句コーナー】
*夏の俳句

イムちゃん選
○青きまま薙ぎ倒されしトマトかな みうさん
*何気なく見捨てられそうな青いトマト、よく見ると詩情がたっぷりなんですね。食べてみると、新鮮な香りが口いっぱいに広がってきます。
○亡き人の分まで蝉の鳴きにけり 雅司
*力いっぱいに鳴く蝉の声は、宇宙へ届くのかと思う程ですが、亡くなった方の心の奥深くからも鳴いているのですね。
○鬼灯に魂吸はるるやうに寄る 真帆
*かわいいひと粒の鬼灯ですが、その赤さの美しさは幼い頃からの願望をも飲み込んでいる様で、吸い込まれれるように近づいてゆくのですね。

雅司選
○太陽にカンナの赤は負けないよ イムちゃん
*真っ赤な太陽とカンナの燃えるような赤。太陽に負けないカンナの色を強調した作品だ。このような純朴な心を持ちたい。
○蝉の声めがけて網を振り回し みうさん
*蝉の声がたよりの昆虫採集だ。蝉は木の枝に鳴いている。振り回す子どもの心理状態がよくわかる。親子の姿もよみとれる。
○街暑し日時計の如くビルの影 真帆さん
*ビルの影を日時計と捉えた。比喩の効いた作品だ。ビルの影は誰もみる光景だが、うだる暑さの街で直感的な手腕が光る。

真帆選
○にじのたね撒いて明日の雲になる イムちゃん
*挨拶句を有難うございます。あしたにはモクモクと空を彩る雲になる、そんなサイトに育っていくといいなと思っております。
○少年に長き釣竿夏休み みうさん
*少年には今は長すぎる釣竿なのかもしれないが、夏休みが終わるころには、少年は少し大人びているのだろう。少年にとって夏休みもまた「長」いものだから。
○先祖墓ひとり屈むや鹿の子百合 雅司
*主人の実家の墓を思い出した。一族の墓群の中にはどの分家筋のものかわからないのもあるが、家長は丁寧に合掌する。鹿の子百合から墓所の雰囲気を想像できる。


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おやこの俳句教室(94)
11月:旅の俳句を残す

 自然の中を歩き俳句を作る吟行。吟行は純度の高い俳句作品が生まれるとよく言われます。旅もその一つですが、かつて、社員旅行で地名を多く用いた俳句を作りました。少し問題もありますが楽しい旅でした。
 誰もが知っている固有名詞はともかく、そうでなければ使わない方がよいと言います。17音しかない俳句は、固有名詞を入れることで損をする場合があります。例えば、法隆寺や奈良、阿蘇、桜島と言えば多くの人が知っています。その名詞で作品が不動のものになるでしょうが、そのために言いたいことが伝わらないのでは俳句になりません。地名などを使う時は細心の注意が必要でしょう。
 俳句は、その土地へのあいさつの意味合いもあります。思い出を残すことにもなるでしょう。一句でも作品として残れば、これにまさる喜びはありません。みなさんもぜひ、チャレンジしてみてください。

 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

稲架立ちて雲の高さを糸魚川 久留主梵翠
(はざたちてくものたかさをいといがわ くるすぼんすい)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも11月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞

次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

マリモ棲む湖底の秋も人の世も 山下雅司
(まりもすむこていのあきもひとのよも やましたまさじ)

【投句コーナー】
*今回はお休みです。
秋の俳句は11月6日が締め切りです。一人5句となっています。ふるってご投句ください。
(ご協力有難うございました)

【選句コーナー】
*夏の俳句

金剛選
○絵日記の海豚は空をはみ出てる イムちゃん
*海豚は海をはみ出てるとならず、絵日記らしさが十分に伝わります。
○青きまま薙ぎ倒されしトマトかな みうさん
*収穫前の作物が台風によって倒れるのをよく報道であります。甚大なだけに心が傷む思いです。
○蝉鳴くや朝日いよいよ照りつけて 雅司
*「いよいよ」で暑い一日を決心し、今日はどんな日程になるでしょう。
○髪洗ふ草の香りの泡立てて 真帆
*夏場は特に髪の手入れが重要です。よい洗髪剤をお使いですね。

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おやこの俳句教室(95)
12月:第6回「甑島(こしきじま)のトシドン」俳句募集  トシドンは、鹿児島県の下甑島に伝わる行事です。昔は正月行事の一つとして行われて来たそうです。現在は大みそかの夜に行われています。
 トシドンは、小さな子どものいる家を回り、一年間の行いを子どもから直接聞くのです。「名前は何と言うか、年はいくつか、約束は守ったか、親の手伝いもしたか…など」。しっかりと返答ができる幼児になってほしいとの先人の深い思いがあるのです。6、7歳頃までの躾(しつけ)の大事さをトシドンが教えています。
 ユネスコの無形文化遺産に登録された年から始めたトシドンの俳句募集。今回も俳句作品と俳句鑑賞にご投稿ください。募集要項は次の通りです。

季語:トシドン
投句:一人3作品まで
締切:平成27年1月10日(募集は終了しました。)
発表:平成27年2月上旬
※住所、氏名、学年等を記入してください。投句された氏名(ペンネームても可)で一句を掲載します。
※俳句鑑賞は、これまでに掲載されたトシドンの作品より一句を選び、110字程度でお寄せください。



 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

雪催ふ琴になる木となれぬ木と 神尾久美子
(ゆきもよふことになるきとなれぬきと かみおくみこ)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも12月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

薄日さす窓を横目に炬燵猫 緑川美世子
(うすびさすまどをよこめにこたつねこ みどりかわみせこ)

【投句コーナー】
秋の俳句

金色に朱の一時のあきのあさ   イムさん
天高くこいでぶらんこ宇宙見る  イムさん
ランドセル少し古びて落葉ふむ  イムさん
青空を金色にぬりいちょうちる  イムさん
ねこじゃらし光と風になってみる イムさん

引き戻す術なき月日秋の旅 雅司
葛咲くや在りし日の山けふの山 雅司
月今宵ひとり葉擦れの庭に立つ 雅司
月面の光り薄れてゆく寒露 雅司
ひとすぢの俳句道あり千草濃し 雅司

草の花紙ヒコーキのよく飛んで 真帆
秋寒し板書の度にチョーク折れ 真帆
ひよの群打ち寄せる如空を占む 真帆
脳トレに俳句勧める秋うらら 真帆
黄色なき歩行者信号そぞろ寒 真帆

【選句コーナー】
今回はお休みです。


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おやこの俳句教室(96)
おやこの俳句教室(96)

1月:トシドンの俳句発表

 あけましておめでとうございます。ひつじ年を皆さまには健やかにお迎えのことでしょう。本年もよろしくお願いいたします。
 大晦日から元日にかけては全国的に大荒れとなりました。トシドンの下甑島を関東から訪ねられた方があったと聞きます。元日付の南日本新聞の一面にはトシドンの写真が掲載されていました。
 では、本年もさっそく寄せられたトシドンの作品を発表します。

(トシドンの俳句)

トシドンの慈愛に満ちた声響く  勝也

来年も幸せトシドン様来る  さやか

こわいなあトシドンが来るおおみそか  梓(あつさ)

いにしえに思い巡らす能面か  金剛

餅抱へトシドン来る去年今年  邦英

トシドンや家族に見守られてゐて  真帆

トシドンに誓ひトシドン餅もらふ  雅司


(トシドンの一句鑑賞)

年の晩もてはやされて子は受難  金剛

この作品は、上五中七の優しい言い回しを受けて、下五で「子は受難」と言い切った。受難は災難ではない。幼児にとって怖いトシドンは、良いことはほめ悪い行いは戒める。幼児はトシドンに良い行いを約束するのだ。年の晩でトシドンと判る。(まさじ)

 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

青天のどこか破れて鶴鳴けり 福永耕二
(せいてんのどこかやぶれてつるなけり ふくながこうじ)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも1月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )

◇おやこの俳句鑑賞

次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

 初あかりそのまま命あかりかな 能村登四郎
 (はつあかりそのままいのちあかりかな のむらとしろう)

【投句コーナー】
※「冬、新年の俳句」の募集について
投句は5句まで、締切は2月4日です。

こちらのフォームからご参加ください。

【選句コーナー】

秋の俳句

イムさん選
葛咲くや在りし日の山けふの山 雅司
時間の経過がけふの山に重なって見える。ふしぎな魅力の作品ですね。遠い昔の秋に咲いた葛の花が現実の花として咲いているのです。作者の脳裏に咲く花は、この世の花にまして美しいことでしょう。
草の花紙ヒコーキのよく飛んで 真帆
だれに気付かれることもないような小さな草の花にも拡がる宇宙は広い。手折りの紙ヒコーキが機嫌良く飛んで、果てしない宇宙を目指す。ほんの小さなひろさでも、精一杯の憧れの広さが見えます。

雅司選
天高くこいでぶらんこ宇宙見る イムさん
秋の澄み切った大空の果ての宇宙。ぶらんこをこいでではなく、天高くこいでと、作者の高揚した思いが「ぶらんこ宇宙見る」にあふれている。「はやぶさ2」が宇宙探索に飛び立つ前の秋だ。
脳トレに俳句勧める秋うらら 真帆
俳句は右脳によいと聞く。まさしく、その脳トレを周囲のみなさんにも勧める作者なのだ。季節もよい秋うららかな絶好機。素直な作品で、初心者にも俳句ができそうと思わせるだろう。

真帆選
ねこじゃらし光と風になってみる イムさん
秋の白っぽい光を受けながらキラキラと光るねこじゃらしの様子が目に浮かんできます。ねこじゃらしが(あるいは、作者自身が)光となり、風となっているという不思議な体感が、確かにそんな感覚だと共感しました。
葛咲くや在りし日の山けふの山 雅司
「年年歳歳花相似たり」といわれますが、人は年齢を重ねていきます。その時々で同じものに接しても思うところは違っているかもしれません。在りし日も今日もそこにある山に咲く葛という決して華やかではない花はそれだからこそ作者の日常に寄り添っているのでしょう。鑑賞からは逸れますが、大岳水一路先生が「毎年、季節ごとに、何度でも、同じ場所を吟行するとその時々の発見がある」と仰っていたのを懐かしく思い出しました。


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おやこの俳句教室(97)
おやこの俳句教室(97)

2月:バレンタインの俳句募集

 今年もバレンタインの俳句を募集します。2月14日の思いを一句にしてみませんか。
 バレンタインデーは、愛のこもった光景を目にします。今年も続けられると思いますが、ある専門学校の前では、女学生が安全運転を呼びかけます。何年か前、偶然にその場所を通りかかったのでしたが、バレンタインデーが近くなると命の大切さをかみしめています。
 俳句は17音で多くを詠むことは出来ません。だからこそ、一字一句が大事です。自分の心をぜひ作品に託してみてください。皆さんの俳句が、多くの人に感動となって伝わると思います。

 【募集要領】

季語:バレンタイン、バレンタインデー
投句:1人3句以内(作者名はペンネームでも可)
募集:平成27年2月14日から2月24日まで
発表:おやこの俳句教室3月予定


では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

勇気こそ地の塩なれや梅真白 中村草田男
(ゆうきこそちのしおなれやうめましろ なかむらくさたお)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも2月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

恋猫の皿舐めてすぐ鳴きにゆく 加藤楸邨
(こいねこのさらなめてすぐなきにゆく かとうしゅうそん)

【投句コーナー】
冬・新年の俳句

星示すライトひと筋耕二の忌   イムさん
耕二忌を越え受賞者の真向い来 イムさん
ゲーム機を逸れた瞳を奪う凧  イムさん
毬つきの音を零した日の地球 イムさん
初みそら休むロケット発射台  イムさん

集落の古りし家にも石蕗明かり 雅司
明けそめぬ一番鐘の小晦日 雅司
読初の「鳥語」の一句鑑賞す 雅司
列正し老若男女破魔矢受く 雅司
火の島に灯のとびとびの二日かな 雅司

駅までの薄氷のみな踏まれをり 真帆
欧風の顔だちもゐて雪だるま 真帆
早梅に辿り着けない道しるべ 真帆
受験子の鉛筆削り揃えたり 真帆
生きるとはかすかに苦し七草菜 真帆

【選句コーナー】
今回はお休みです。 ※冬・新年の選句は、2月14日から2月24日まででした。
※「おやこの俳句教室」は本年5月で、100回となります。秋には国民文化祭かごしま2015が開催されます。この機会に親子で俳句を作ってみましょう。

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おやこの俳句教室(98)
おやこの俳句教室(98)

3月:第9回バレンタインの俳句発表

  スーパーに並ぶチョコ見て急ぎ足 菊丸

○お目当てのチョコの棚へ?それともレジに?あるいは別の用件を思い出したのかもしれない。作者も、愛も、早春も、なんとなく急かされている。
▽急ぎ足と名詞止めの作品。それも「スーパーに並ぶチョコを見て」と、具体的に描写して、作者の心の動きまでも想像できそうだ。

熱籠もるバレンタインの掌 イムさん

○熱が籠もるということで、ぐっと緊張で握りしめた手を想像した。どんな告白をなさったのだろうか。お相手にもダイレクトに伝わったはずだ。
▽掌(たなごころ)はてのひらのこと。俳句ではよく目にする。作者の若き日の温もりとも取れるが、「熱籠もる」に情熱を感じる。

バレンタイン忘却の端甦る イムさん

○忘れていたと思っていても、何かをきっかけに鮮明に蘇る経験というのは私にもあって共鳴できる。それを「忘却の端」としたのは作者の感性の鋭さ。バレンタインの喧騒ゆえか。
▽忘却の端?忘却とは忘れ去ること。これこそ回想のはじめなのだろうか。甦るほどの愛の灯りが…。イムさんの心は若い。

滞るバレンタインの愛の列 イムさん

○長い列が遅々として進まない。ちょっとイライラしたり、どうしようかと迷ったり。でも、バレンタインだから愛を伝えることを諦めないで並んでいる。
▽とどこおる愛の列。バレンタインの列だから、恋人に贈り物を買い求めるための人の列だろう。あなたの思いだけは滞ることなし。

バレンタイン花屋のブログ明るくて 雅司

○実際の屋外よりも少し季節を先取りした華やかな花々。端末のディスプレーだから尚更透き通るような明るさだっただろう。バレンタインギフトなのですね。
▽フラワーバレンタインをお花屋さんのブログをみて知った。女性がチョコを、男性がフラワーを贈る。春到来で明るさがことさらだった。

犬二匹連れて散歩のバレンタイン 雅司

○二匹というのが、ほほえましい。首輪やリードから自由に、飼い主とつかず離れず小走りに歩いている姿は「バレンタイン」という季語によく合っていると思った。
▽犬の散歩は一匹が多い中、二匹の散歩に出会った。オスとメスだかは?子犬であった。飼い主との幸せな光景だった。

バレンタイン赤い椿の道をゆく 雅司

○赤い椿、が絶妙。妖艶さ、潔さ、激しさ、凛々しさ・・・。読み手の持つ赤い椿のイメージは様々でも、どれも大人の恋にふさわしい。
▽バレンタインは人事。六十路になった小生も、何度となく口にするバレンタイン。季節は早春。赤い椿がのこる。赤い椿の道中だ。

愛の日や玩具のやうなチョコレート 真帆

▽バレンタインは愛の日。女性から男性にチョコを贈ることが習慣になっている。そのチョコがおもちゃのようなだと作者は喩えた。
○チョコレート売り場に行くと、動物やら乗り物やら、なんだか玩具の様だと思ったのが第一印象。送り手や受取り手を想像すると、「愛」って何だろうと、ちょっと斜に構えてしまった。


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

伊吹嶺に残る雪あり着任す 淵脇護
(いぶきねにのこるゆきありちゃくにんす ふちわきまもる)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも3月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞

次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

みちのくの伊達の郡の春田かな 富安風生
みちのくのだてのこおりのはるたかな(とみやすふうせい)


【投句コーナー】
春の俳句を募集します。(5月5日締切)
次回に投句先リンクを開設しますので、俳句の準備をお願いいたします。(真帆)

【選句コーナー】

冬・新年の俳句

イムさん選

読初の「鳥語」の一句鑑賞す 雅司
福永耕二若き日の処女句集「鳥語」が、初読には輝いて見えます。小鳥までが「新年おめでとう」と祝福し合っているかのようで、おもわず微笑んでしまいます。

駅までの薄氷のみな踏まれをり 真帆
誰も薄氷の冷たさなどいっていられない、足早にすすむ駅前の雑踏はそれぞれの目標に向かって進んでいるのでしょう。それにしても尽く踏み砕かれた薄氷は人々の熱い思いに降参してしまったことでしょう。

雅司選

毬つきの音を零した日の地球 イムさん
まりつきの音、その音をこぼした日、その日の地球となる。地球を詠んでいる。まりつきで音が生まれるのだが、音をこぼしたと捉えた感性。

欧風の顔だちもゐて雪だるま 真帆
日本人が作った雪だるまなのだが、ヨーロッパ風の顔だちをした子どもたちの雪だるまがあった。その風貌をみて、思わず笑みがこぼれる。俳句は楽しい。

真帆選

初みそら休むロケット発射台  イムさん
これは本当にそれを見る機会がないと、想像だけでは作れませんね。「発射台」という未来や希望を想起させる装置も、空に長いアームを伸ばしてお正月休み。面白い句です。

列正し老若男女破魔矢受く 雅司
日本人は、どんな場面でも整然とお行儀よく並ぶと海外でも評判なのだそうです。この句では、お正月の粛々とした空気と共に、境内のにぎわいも感じられます。

★おやこの俳句教室ミニ吟行の案内★

日時:平成27年5月2日(土)
場所:鹿児島市甲突川緑地帯の「春の木市」会場周辺
会費:無料

※集合は午前10時に大久保利通銅像の前です。投句締切は12時です。当日の作品は、おやこの俳句教室(100)で掲載します。

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