山下雅司さんが作っておられる小学校低学年と保護者向けの俳句入門です。
第75回からは内容をリニューアルして掲載しています。(連載中)   第1回〜74回、75〜86回は入門のページのリンクからどうぞ。



おやこの俳句教室(87)
 「おやこの俳句教室」は、毎回テーマを決めて毎月、開催します。作品づくりにかかせない季語の説明をはじめ、親子で俳句を楽しんでもらうための俳句クイズも入れてみます。おやこの俳句鑑賞にもご参加ください。甑島のトシドンとバレンタインの俳句大会は引き続き開催します。よろしくお願いします。

4月:平成26年度の新企画!
 新年度は年間を通じた俳句づくりを目指して春、夏、秋、冬、新年の投句を募集します。
 投句の期間は、それぞれ立夏(5月5日)、立秋(8月7日)、立冬(11月7日)、立春(2月4日)の前日までの1ヶ月と限定します。新年はトシドンの俳句と同時募集で1月7日、バレンタインの俳句は2月末の締切とします。四季折々の作品を待っています。
 「春の俳句」は今回すでに募集したため、新企画は「夏の俳句」からの募集とします。7月7日〜8月6日が投句期間です。

[特集・春の俳句]は別に掲載しました。 入門のページまたは こちらからご覧ください

 ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

 空よりも水田にあふれ春の星 今瀬剛一

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事

 そこで、4月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )

◇おやこの俳句鑑賞
花散るや夕日もつとも太るとき  鍵和田ゆう子(ゆう・・・禾に由の字です)


【投句コーナー】
[特集・春の俳句]の作品。


【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載します。

今月はお休みです。

【俳句ニュース】
鹿児島県南九州市で開催されている青の俳句大会。その母体で「福永耕二顕彰の会」のホームページが開設されました。みなさん、検索してみてください!

クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(88)
5月:歳時記

 歳時記(さいじき)は、俳句の季語を集めて分類・解説した本で、時候、天文、動物、植物、地理、年中行事などを書きしるしたものです。
 先日、図書館で借りた「南日本歳時記」は、南日本新聞社から昭和58年の11月20日の発行で、編者は俳人の西村数先生と大岳水一路先生です。
 編者のことばの最初に「一、この歳時記は一般の季題、例句のほかなるべく南日本の特色のあるものを採録しようとしたものである。」と記されています。地方の歳時記は貴重な文化財なのです。
 南日本歳時記を読み進むうちに、医師の平田清先生の「往診の道すがら見ししんきろう」が出てきました。「蜃気楼」の作品で、南日本の特色がこの俳句にはあります。鹿児島県は離島が多く、へき地医療が大変、重要です。その時代を俳句は伝えます。
 「としどん」もまた下甑島の伝統行事です。としどんの俳句が全国の歳時記にも残ることを願っています。そのためには、多くの俳句を作り続けなければなりません。
 歳時記は、俳句を作るためには大切なものです。今年もみなさんと一緒に、一つでも多くの季語を勉強しましょう。


 ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

 親しさの別れ黒穂で打ち合ひぬ 宮田蕪春

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事

 そこで、5月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )

◇おやこの俳句鑑賞
薊咲き午後は眠たき海の紺 中村世紀


【投句コーナー】
今回はお休みです。

【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載します。

[特集・春の俳句]にm多くの選をいただきましたので、特集ページに掲載させていただきました。 入門のページまたは こちらからご覧ください

【俳句ニュース】
第53回全国俳句大会ジュニア俳句を募集中です。対象は小学生、中学生、高校生で未発表作品1人2句以内。募集期間は4月16日から6月15日まで。詳しくは、俳人協会ホームページをご覧ください!

*選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
通年の投句コーナーへのご参加もお待ちしております。(真帆) こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(89)
6月:吟行(ぎんこう)
 四季折々の俳句は、吟行こそが純度の高い作品だとも言われています。俳句を作ることを目的に、その土地を歩きます。その場所でしか感じることができないものがありますね。五感で作品づくりをすることができます。
 10年も前になります。ふるさとの下甑島へ20名ほどの吟行を企画しましたが、季節はずれの台風の影響で大荒れとなり、フェリーが欠航。串木野新港をあとに、近くの羽島での吟行となりました。気象はどうすることもできませんが、雨の日の作品も自然との出合いです。
 翌年、下甑島への吟行が実現しました。車1台に5人の窮屈な旅でしたが、2泊3日の吟行で3回もの句会を開きました。その時の清記用紙は、記念にもらい俳句ノートに貼り付けてあります。その行程を追ってみましょう。
  一日目:串木野新港→長浜→青瀬・瀬尾観音滝→手打(泊)
  二日目:歴史民俗資料館→釣掛崎灯台→牧場→片野浦→しんきろうの丘→瀬々野浦(泊)
  三日目:内ノ内川→鹿島→長浜→串木野新港

 下甑島への吟行がきっかけで、その年の11月からの俳句教室が始まりました。次回は特別企画「夏休み俳句教室」の予定です。これからもよろしくお願いします。(吟行については、あすなろ俳句教室22も参照してください)

 ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

目には青葉山ほととぎす初鰹 山口素堂
 (めにはあおばやまほととぎすはつがつお やまぐちそどう)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事

みなさんも6月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )

◇おやこの俳句鑑賞
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

梧桐に少年が彫る少女の名 福永耕二
(あおぎりにしょうねんがほるしょうじょのな ふくながこうじ)


【投句コーナー】

投句・山下雅司

父子してトスバッティング栗の花
雀きて風を生みたる枇杷は実に
梅雨兆すブルーベリーは固き実に
青葉風ひつきりなしの送迎車
牧場に山羊の声や風かおる


【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載します。

先月に引き続き、「特集・春の俳句」選句と選評(2)として特設しました。
入門のページまたは こちらからご覧ください


【俳句ニュース】
「トンボロ芸術村」の作品募集
年間を通じて、薩摩川内市里町の「トンボロ芸術村」作品コンテストでは、俳句の募集中です。今年も募集要領を確認されて、ご投稿ください!


※今回より、例句と作者にふりがなをつけています。声に出して作品を味わってください。

クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(90)
7月:句会
 句会についてお話します。句会場に各人が持ち寄った俳句を無記名で出して、自分がこれと思う作品を選び出します。例えば、7作品を投句して5作品を選ぶという具合です。
 選者はそこに参加された方全員ですが、○○選の発表で自作が読み上げられた時はうれしいですね。俳句でほかの人にも感動してもらえたわけです。残念ながら、得点の入らなかった作品もあるでしょうが、一字を直すことで良い作品になると句会の先生に教わったり、仲間の意見も聞くことができます。
 次回「夏休み俳句教室」は、模擬句会を試みたいと思います。
※前回のおわび…前回の本文で、次回は特別企画「夏休み俳句教室」と掲載してありましたが、8月の誤りでした。

 ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

夏山と熔岩の色とはわかれけり 藤後左右
(なつやまとらばのいろとはわかれけり とうごさう)

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事

みなさんも7月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )

◇おやこの俳句鑑賞
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

家長われ土用鰻の折提げて 山崎ひさを
(かちょうわれどよううなぎのおりさげて やまざきひさを)


【投句コーナー】

投句・古崎真帆

父の日や昭和の父に献杯す
祝杯のOle´,Ole´!と生ビール
ぎしぎしと階段昇る夏至の影
梅雨の猫ころがりながら背を伸ばし
爪先をみぎはに濡らし蛍呼ぶ


【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載します。

青葉風ひつきりなしの送迎車 山下雅司

よく晴れて気温も高いけれど、ときおり青葉風の吹く過ごしやすい日和も味方して、大盛況の会場へ次々と送迎車が発着する。何の催しでどんな人たちが乗り降りしているのか、想像が膨らむ。(真帆)

【俳句ニュース】
「トンボロ芸術村」の作品募集
「第16回南九州市かわなべ青の俳句大会」の募集要項が発表されました。締切は9月12日(金曜日)です。みなさん、ふるってご応募ください。詳細は南九州市ホームページで。

※「夏の俳句」の募集について
投句は5句まで、締切は8月7日です。よろしくお願いします。
こちらのフォームからご参加ください。


クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(91)
8月:夏休み俳句教室
  〜模擬句会〜

 今回は2004年の下甑島吟行作品110句から35句を引用して、模擬句会を行います。選者名を記入し、作品番号でお答えください。選評は自由です。

選者:「     」
選句:( )( )( )( )( )
選評:

【作品】

01.殉教の碑の立つ峠青すすき
02.ワイヤーの翼めく橋春惜しむ
03.滝道の名残りの花に憶ふこと
04.さやさやと岩肌奏で滝落ちる
05.一の滝みえず二の滝三の滝
06.大歯朶のぜんまいに負け吾が拳
07.赤潮の帯をひつくり返し航
08.大滝のみえて音無き森の景
09.夏帽子鳥籠下げて乗る渡船
10.灯台に摘みし虎杖噛んでみる
11.寄す波に足を浸して海猫の昼
12.島の里けだるく匂ふ花蜜柑
13.卯の花や海光広き番所跡
14.親牛の緑雨に立ちて人睨む
15.若葉風とろんと牛の眼かな
16.雉子鳴くや座す牧牛の岩めきぬ
17.聖五月草鞋履きして資料館
18.寄せ棟の多き浦里花海桐
19.竹走る廃家の庭の白丁花
20.山もまた毛の生え変るごと新樹
21.往診の句碑を動かぬなめくぢり
22.山を背の島の校庭鯉幟
23.断崖は天然の波止磯つぐみ
24.乱鶯や素足に軽き宿の下駄
25.海見えぬ高き堤防夏つばめ
26.密貿の語り部卯波の沖へ眼を
27.無住寺といへど清めてつつじ燃ゆ
28.宣教の歩みにふるる暮春かな
29.浦凪の畑に朝より藷植うる
30.浜昼顔ほうそう墓に悲歌いまも
31.磯薊盛り上る座の屋敷跡
32.しきみ咲き竹林囲む隠れ耶蘇
33.鶯や石を崇める屋敷内
34.波明りまとひて島の青岬
35.黒南風や記念に拾ふ島の石


 下甑島吟行句会では5人×7句=35投句で、各人5句を選びましたので、今回の模擬句会でも5人の方に選句をお願いしました。

【選句】

 選者:「イムちゃん」 選句:(2)(8)(13)(26)(34)
 選者:「こうじさん」 選句:(9)(25)(27)(28)(34)
 選者:「真帆さん」 選句:(2)(11)(18)(22)(34)
 選者:「みうさん」 選句:(1)(12)(22)(27)(35)
 選者:「フラガールさん」 選句:(9)(15)(19)(20)(22)


【集計】

各人の5選句を集計してみました。3点、2点、1点が入った作品は35作品中18作品でした。このようにして、高得点を得た作品もあれば、選句にもれた作品もありますが、全てかけがえのない俳句です。

3点句× 2作品= 6
2点句× 3作品= 6
1点句×13作品=13


【選評】

みうさん選評:どの句も島の情景が鮮やかに描かれていて迷いましたが、私の中で物語が浮かんだ句を選んでみました。

01.殉教の碑の立つ峠青すすき
信仰に生き、殉教の道を選んだ人々の心根は若いススキのように清々しかったのでしょう。さやさやとなる葉擦れの音は祈りの言葉に似ているでしょうか。

12.島の里けだるく匂ふ花蜜柑
潮を含んだ島の暖かな空気(少し蒸し暑い?)は、甘い蜜柑の花の香りに満ちていて、ゆっっくりと散歩しながら深呼吸してみたくなります。

22.山を背の島の校庭鯉幟
少子化の時代、島ならばさらに子どもは少ないと思います。そんな状況でも、子どもを慈しみ育もうとする島の人々の気持ちを感じます。

27.無住寺といへど清めてつつじ燃ゆ
無住のお寺が大切に守られているということは、地域の人々がふるさとを愛し、日々の暮らしを丁寧に営んでいる証左に思えます。その想いがつつじとなって咲いているようです。

35.黒南風や記念に拾ふ島の石
拾った石は、波に洗われ丸くすべすべになった石でしょうか、それとも、変わった形・色をした石でしょうか。黙したままの石が雄弁に島の思い出を語ってくれます。


真帆さん選評:

02.ワイヤーの翼めく橋春惜しむ
整然と張られたワイヤーが翼のように見えたのでしょうか。「春惜しむ」の季節感がいいなと思いました。

11.寄す波に足を浸して海猫の昼
波打ち際の風景を丁寧に描写しています。海も穏やかで、のどかな雰囲気。

18.寄せ棟の多き浦里花海桐
私の親の故郷は漁師町でした。海に沿った家屋はどこも寄棟。花海桐の素朴な感じもぴったりです。

22.山を背の島の校庭鯉幟
島なので、平地のすぐ裏は山なのですね。校庭の鯉幟が小さい学校ながらも元気な子供たちの姿を彷彿とさせます。

34.波明りまとひて島の青岬
空から見たかのような大きな景をいきいきと描いています。「波明り」は造語でしょうか。裳裾のようにまとっているのですね。

※俳句作品の作者名は改めてご紹介できればと思います。今回の選句と選評は、作者にお届けします。
句会へのご参加に心から感謝します。次の機会もよろしくお願いします。

※「夏の俳句」の募集について
投句は5句まで、締切は8月7日です。よろしくお願いします。
こちらのフォームからご参加ください。


【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載します。

祝杯のOle´,Ole´!と生ビール  古崎真帆

掲句のオーレは掛け声。W杯(ワールドカップ)開催中のビールだ。俳句は漢字と平仮名ばかりでなく、カタカナやローマ字表記も斬新と感じました。HAIKUは世界に羽ばたいています。「おやこの俳句教室」の愉快な新作です!

今回はクイズはおやすみです。