「春のミニ吟行」の選句と選評



春のミニ吟行作品に、一句選と寸評をいただきました。作者にとり、これ以上の喜びはありません。ありがとうございました。
 ○は吟行作品、( )は選者名です。



○救はるる老の心根花つつじ 芳泉

☆咲きほこるつつじは老の心根を燃え立たせてくれたことでしょう。どこか掻き立てられるような情熱の老の心根は美しい表現ですね。(イムさん)


○友垣の絆清らに若葉風 芳泉

☆絆という力強さを感じさせる語に若葉風を取り合わせたことで、濃密過ぎないほどよい関係が窺われます。垣と若葉も工夫されたのでは。「清ら」は前後に掛かるのでしょうが、なくてもわかるのではないかと思います。(真帆さん)

☆…(邦英さん)

☆…(十四子さん)


○藤棚に憩ふひととき気のままに 芳泉

☆90歳とお聞きしました。さすが品格があります。(金剛さん)


○苗木市まづひととおり往復す 冬児

☆特に買う目的の苗木がある分けではないけれど、まず往復する市は春を満喫させてくれる心豊かな時間の流れを感じさせてくれています。(イムさん)

☆ひととおり往復す、ということで苗木市の広がりと賑わいが伝わって来ます。通路沿いにどの樹木がいいか見繕いながら、慌てずに納得するものをと思う半面、戻ってくる迄に売れてしまわないかと、少し早足になっているかもしれませんね。(真帆さん)

☆近くですので会場にはよく行きますが、自分も同じ思いです。一昨年の春に黒人のグループと出会い、何でか握手しました。(金剛さん)

☆…(邦英さん)


○苗木市火山灰と日避けのテント張り 冬児

☆…(十四子さん)


○苗木市ささえる人の朝早き 百子

☆春をゆたかに満喫させてくれる苗木市。しかしこれを支える人々はまさに一年をかけての努力の発表の場、朝速い意気込みが伝わってきます。(イムさん)


○火山灰踏みて春の木市に遊びけり 百子

☆…(十四子さん)


○小手毬の花に火山灰降る河畔かな 百子

☆様々な要素が盛り沢山なのですが、印象が分散していないのは、実際に見て作っているからですね。小手毬に積もった火山灰という繊細な目配りで、実はダイナミックな自然界の営みを詠んでいます。小さな花の塊が、とても可憐で健気に思えてきますね。(真帆さん)

☆白色の小花に降るのは雨でもなく雪でもなく、火山灰であるところが旬になります。(金剛さん)

☆…(邦英さん)


○苗木市躍る値札もありにけり 雅司

☆苗木市のにぎわいに添えて、値札までが躍り出てくる、ユーモラスが春の楽しさを伝えているようです。(イムさん)

☆多種多様な苗が並んでいるのを、木の様子ではなく値札に着目したのが面白いですね。針金等で括られた札は踊るようにあちらこちらを向いています。細紐が風に揺れているのかも知りません。文字通り躍動感のある句で、作者の気持ちも伝わってきます。(真帆さん)


○葉桜の影の舗道に鳩あそぶ 雅司

☆葉桜がいいですね。バランスの良さも感じます。(金剛さん)


○選定の指南うけをり苗木市 雅司

☆…(邦英さん)

☆…(十四子さん)