山下雅司さんの俳句入門「ジュニアの俳句教室」です。4月より2023年度が始まりました。
今までの入門講座は入門のページのリンクからどうぞ。
4月:吟行(ぎんこう)で一句
2023年4月8日 (晴れ)
いちき串木野市観音ヶ池
今年の桜は開花が早く、すでに花は散っていました。池の周辺を歩いて行くとカエルの声です。
すいれんの池の中で「コロコロコロコロ」とカエルが鳴いています。声ばかりで、すがたは見えません。「コロコロコロコロ」というカエルの声がサイコロの音に思えました。
遠くの友人にも同じ感動を届けたい。さっそくスマホで動画にしてFacebookに投稿しました。すぐ「いいね」と、、、。その時の一句です。
賽子(さいころ)のやうな声出す蛙(かはづ)かな 雅司
今年は春のミニ吟行を行います。久しぶりのミニ吟行です。
【今月の例句】
遠蛙ひとりで生くる齢なる 中村草田男
(とほかはづひとりでいくるよはひなる なかむらくさたお)
【季語の分類】
季語集から4月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
4月
山笑ふ(う)、桜、風光る、百千鳥、燕の巣、石齢玉、花、春の海、木蓮、竹の秋、
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語169:はるひがさ(春日傘)生活・春
春の日差しが強い時にさす傘。
くたびれて来てたたみたる春日傘 久保田万太郎
季語170:やへざくら(八重桜)植物・春
桜のうちで咲くのが最も遅い。
ひと揺れのあとの大揺れ八重桜 布川直幸
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
春愁やひとり乗り込む島のバス 山下雅司
(しゅんしゅうやひとりのりこむしまのばす やましたまさじ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
〇春のミニ吟行
※4月29日は「春のミニ吟行」です。今回は午後1時30分から春の木市会場周辺で行います。
5月:季語クイズ(植物)
春の木市で草木、花をメモしました。春に花を咲かせ夏、秋には実をつけるものがほとんどです。
ではここで問題です。次の中に果実が冬の季語になっているものが1つあります。それはどれでしょうか。
@ウメAクリBイチヂクCアケビDユズEレモンFキンカンGミカンHイチゴIサクランボ
(ヒント***6月は3つ、10月は6つ、12月の1つは?答えは末尾です)
その他、木市会場でメモしたものです。みなさんの好きな花や木はある?
コデマリ、オオデマリ、カボス、ブルーベリー、ジャスミン、マサキ、ミント、ナンテン、アオキ、ナンコウバイ、タンザワクリ、バラ、ツツジ、アカシア、アジサイ、
「ミッキーマウスノキ」という名前もありました。まだまだ知らない植物がいっぱいです。
【今月の例句】
睡るとはやさしきしぐさ萩若葉 後藤夜半
(ねむるとはやさしきしぐさはぎわかば ごとうやはん)
【季語の分類】
季語集から5月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
5月
更衣、母の日、新茶、葉桜、若葉、草笛、茶摘、新樹、初鰹、薔薇、麦笛、捩花
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語171:ごがつ(五月)時候・夏
新緑の気持ちよい季節です。
五月来る仕立て直しの風に乗り 和田洋文
季語172:めじろ(眼白)動物・夏
目の周りが白い環がある小鳥。ウグイスに似ている。
目白鳴く日向に妻と坐りたり 臼田亜浪
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
ペン差す胸にはかに薄し五月来る 淵脇 護
(ぺんさすむねにはかにうすしごがつくる ふちわきまもる)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
〇季語クイズの答
Gミカン
6月:推敲(すいこう)
俳句で大切なことは内容です。よみたいことは何かです。俳句は17音ですから季語が5音ほど入ると多くのことばを取り込むことはできません。季語+内容で一句が完成します。
吟行の句会で投句した原句と推敲作品を挙げてみます。
原句<若葉冷えジャージー牛のはにかみぬ>
季語は若葉冷え。この俳句は直感的に表現しました。「どうした、こうした」とつい言いたくなりますね。珍しいジャージー牛がいたことだけで良かったのでは?それだけで読み手に想像してもらえるのではないか。そう考えて推敲しました。
推敲<若葉寒ジャージー牛もその中に>
鳴之尾牧場でジャージー牛が近寄ってきた感動がよみがえります。
【今月の例句】
水よりも草の匂へり蛍狩 川上良子
(みづよりもくさのにほへりほたるがり かわかみよしこ)
【季語の分類】
季語集から6月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
6月
風薫る、かたつむり、代田、蓮の浮葉、蟹、桑の実、螢狩、父の日、小判草、形代、黒南風、南瓜の花、夏木立、郭公
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語173:なつごろも(夏衣)生活・夏
夏の時期に着る着物の総称。
風入れて肩かるくする夏衣 林 翔
季語174:やまもも(楊梅)植物・夏
梅雨の頃丸い実が紅紫色に熟す。甘酸っぱい。
農繁期楊梅に子らよぢのぼる 阿波野青畝
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
栗の花潜水艦の湾に浮き 大川畑光詳
(くりのはなせんすいかんの湾にうき おおかわばたみつひろ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
7月:季語の分類(地理、生活)
七月の季語に「滝」「泉」「清水」「滴り」があります。
滝(たき)は河の瀬の急斜面を流れ落ちる水。泉(いずみ)は地下からこんこんとわき出る水。清水(しみづ)は岩やがけからわき出す水。滴(したた)りは山や森の岩から滴り落ちる水。4つの季語は地理に分類されます。
作品を少し挙げてみます。
滝壺の音とは別の瀧の音 後藤比奈夫
泉飲む死火山麓にひざまづき 青柳志解樹
絶壁に眉つけて飲む清水かな 松根東洋城
滴りに苔凛々と重なれり 服部嵐翠
七月の季語で噴水(ふんすい)、打水(うちみず)、行水(ぎょうすい)、シャワーは生活の分類です。ほかにも生活の季語はたくさんあります。夏休みの作品を持っています。青の俳句大会作品募集中です。
【今月の例句】
放課後の話し足りない大西日 緑川美世子
(ほうかごのはなしたりないおおにしび みどりかわみせこ)
【季語の分類】
季語集から7月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
7月
梅雨明け、水遊び、百合、夏の山、山開き、夏の星、夏の風邪、むぐら、アイスクリーム、胡瓜もみ、青田、夾竹桃、バナナ、夏料理
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語175:ふんすい(噴水)生活・夏
公園や庭園などの池に設置の水を噴き上げる仕掛け。
噴水のいただきに水弾ねてをり 落合水尾
季語176:なつしお(夏潮)地理・夏
夏の太陽にきらめく潮のこと。
夏潮の碧をたたみて寄せる白 稲畑汀子
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
重心を前に傾け山帽子 弥生円兎
(じゅうしんをまえにかたむけなつぼうし やよいまると)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
○第25回南九州市かわなべ青の俳句大会が開催されます。みなさんの作品をお願いします。詳細は同市ホームページをご覧ください!
8月:盆帰省
帰省は夏の季語です。
盆帰省とは8月のお盆に帰省すること。夏休みの帰省はお盆にあわせて田舎へ行くことが多いですね。以下、13日14日に作ったふるさと俳句です。
海食堂は順番待ちの盆帰省
ふるさとへ漢ひとりの盆帰省
墓守と一言かはす墓参かな
汗だくや家の周りの草払ひ
盆帰省一夜泊まりの寂しさよ
秋蜻蛉飛び交ふ網戸よりの空
山の端は雲に覆はれ盆帰省
皆さんはどんなお盆だったでしょうか。盆帰省もあったかもしれません。盆帰省の一句を!
【今月の例句】
大いなる海に雲わく盆の島 山下雅司
(おおいなるうみにくもわくぼんのしま やましたまさじ)
【季語の分類】
季語集から8月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
8月
残暑、星月夜、白粉花、盆踊、新涼、木槿、墓参、初嵐、カンナ、稲の花、盆支度、蜩、流星、西瓜
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語177:あさがお(朝顔)植物・秋
鉢植えが多く朝に花を咲かせ昼にはしぼむ。
雑巾堅く絞る朝顔紺と白 鈴木鷹夫
季語178:あきめく(秋めく)時候・秋
立秋を過ぎて日差し、風などが急に秋らしくなった気配です。
秋めくと思ふ貝煮る音の中 岡本 眸
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
原爆忌みな年老いてをりにけり 青野迦葉
(げんばくひみなとしおいてをりにけり あおのかよう)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
○第25回南九州市かわなべ青の俳句大会が開催されます。みなさんの作品をお願いします。詳細は同市ホームページをご覧ください!
9月:句集を味わう
句集を読むと俳句のヒントがいっぱい詰まっています。一度だけでなく時間の許す限り句集を味わってみたいものです。
六月に発行の瀬戸清子著 句集『白毫』 より
火山灰吹いて譲る木椅子や昼の虫 瀬戸清子
火山灰(よな)、木椅子、虫という取り合わせです。俳句には具象が大事。作品は季語に昼の虫を据えています。時間帯もその場所も想像できます。なんと言っても鹿児島という風土に根ざした作品です。
【今月の例句】
こぼれ萩地にまだ風の息づかひ 瀬戸清子
(こぼれはぎちにまだかぜのいきづかひ せとせいこ)
【季語の分類】
季語集から9月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
9月
秋潮、虫、爽やか、コスモス、葛の花、さんま、白露、秋の七草、いわし、キリギリス、秋の海、秋簾、敬老の日、雨月
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語179:なし(梨)植物・秋
梨の実。ありのみともいう。
梨剥くと皮垂れ届く妻の膝 田川飛旅子
季語180:みずすむ(水澄む)地理・秋
水底までも透きとおってみえる。
水澄みて四方に関ある甲斐の国 飯田龍太
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
風に佇ちはや秋を聴く蕉水忌 村川雅代
(かぜにたちはやあきをきくしょうすいき むらかわまさよ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。