山下雅司さんの俳句入門「ジュニアの俳句教室」です。2023年度の後半になります。
今までの入門講座は入門のページのリンクからどうぞ。
10月:鷹(タカ)の渡り
渡り鳥のシーズンです。タカの渡りを金御岳(都城市)まで観察に出かけました。俳句を作る目的です。
季語は「鷹渡る」。タカのうち刺羽(サシバ)が南へ帰ることです。夏鳥として3月中頃から日本で繁殖します。秋の渡りは関東から九州太平洋沿岸ルートと新潟からの別ルートなどあるようです。飛び立つと次の中継地まで5時間ほどかかると聞きます。越冬地は南西諸島から遠くは東南アジアまで広がっています。
【今月の例句】
鷹一つみつけてうれし伊良湖崎 松尾芭蕉
(たかひとつみつけてうれしいらこざき まつおばしょう)
【季語の分類】
季語集から10月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
10月
運動会、秋の空、にしき木、鷹渡る、秋の声、秋思、小鳥来る、初紅葉、そてつの実、菊人形、黄落、刈田、案山子、紫式部
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語181:ふゆじたく(冬仕度)生活・秋
冬に備えて衣類や暖房器具、雪対策をすること。
冬仕度鴎もとほる村の空 大峯あきら ・・・鴎は、標準字体(へんの区の内側が品)
季語182:あきしぐれ(秋時雨)天文・秋
晩秋に降る時雨のこと。
海のいろ変へては若狭秋しぐれ 遠藤若狭男
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
蓑虫の蓑あまりにもありあはせ 飯島晴子
(みのむしのみのあまりにもありあわせ いいじまはるこ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
11月:俳句の力
俳句はどんな時も自分を励ましてくれます。自分に向き合い自分の言葉で俳句を作りましょう。
次の作品は親子で墓参りした時のふるさとでの俳句です。
民宿に吾子とふたりの秋惜しむ
耳澄ますほどの波の音暮の秋
吾子と来て納骨堂に鵙猛る
この3句を読み返すとあの日が浮かんできます。俳句に残さなかったら記憶は薄れていくかもしれませんね。
【今月の例句】
浮雲は空のとび石神の留守 中尾杏子
(うきぐもはそらのとびいしかみのるす なかおきょうこ)
【季語の分類】
季語集から11月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
11月
初冬、芭蕉忌、石蕗の花、冬耕、冬麗、鷹、切干、落葉、大根引、立冬、冬紅葉、時雨、神在祭、柿落葉
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語183:しちごさん(七五三)生活・冬
11月15日男子は数え三歳と五歳、女子は三歳と七歳を祝う。
振袖の丈より長し千歳飴 石塚友二
季語184:こはる(小春)時候・冬
立冬を過ぎてからの春のような陽気です。
父を恋ふ心小春の日に似たる 高浜虚子
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
着こなしはふだん着にこそ石蕗の花 鷹羽狩行
(きこなしはふだんぎにこそつはのはな たかはしゅぎょう)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
12月:青の俳句大会
俳人福永耕二の業績を讃え句碑建立の年から開催の大会です。
二十五回を迎えて63263人から115622句が寄せられました。四季折々の風景や日常生活を日本語の持つ美しさやリズムで表現する機会です。児童、生徒の豊かな感性に心あらわれる思いです。
福永耕二賞は小学四年生の〈八段を踏み切り夏の風に乗る〉が選ばれました。「踏み切り」という言葉で切れて「夏の風」に続くみごとな動きがあります。四年生の力強い作品に感動しました。さらに大きく羽ばたいてほしいと思います。
【今月の例句】
馬の尾に折られ折られて枯尾花 正岡子規
(うまのおにおられおられてかれをばな まさおかしき)
【季語の分類】
季語集から12月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
12月
冬もや、鶴、冬木立、蒲団、炭火、水鳥、冬ひばり、冬の山、里神楽、初雪、トシドン、焚火、炬燵、十二月、枯芙蓉
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語185:いきしろし(息白し)生活・冬
冬は気温が低く空気が冷たいので吐く息が白く見える。
戦あるかと幼な言葉の息白し 佐藤鬼房
季語186:ふゆざれ(冬ざれ)時候・冬
荒涼とした万物の感じで寂しいさま。
冬ざれや溜桶に水底つくも 石川桂カ
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
笹鳴のたどたどしさよ切通し 長谷川浪々子
(ささなきのたどたどしさよきりとおし? ? はせがわろうろうし)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
〇トシドンの俳句、新年の俳句募集
鹿児島県薩摩川内市下甑町の大晦日の行事「トシドン」の俳句と新年の俳句を募集します
。
作品の締切は1月3日、投句はトシドンの俳句と新年の俳句を合わせて一人3作品までとします。よろしくお願いします。
(募集は終了しました。)
1月:トシドン・新春の俳句
少子化でトシドン役もいなくなり 金剛
トシドンの翼広げて大空へ 星子
トシドンにだかれて眠る夢を見た 星子
トシドンはおいらの胸の中にいる 星子
としどんの子らを訪ぬる家のかず イムさん
としどんや今もかわらぬ年来たる イムさん
としどんを詠まざる年をいかにせん イムさん
トシドンの俳句最後の葉書受く まさじ
トシドンの俳句児童の顔うかぶ まさじ
トシドンの俳句感謝の筆を措く まさじ
トシドンや三つ子の魂今もなほ 真帆
トシドンのかつて越え来し山河かな 真帆
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トシドンの一句鑑賞
トシドンに乞ふ息災と平和の世 真帆
「息災と平和」を願う気持ちが一句になりました。この地球上で戦争は今も続いています。子どもの命が戦いにさらされています。トシドンは幼児の健やかな成長を願う行事です。安寧をトシドンに乞う作者です。(まさじ)
【今月の例句】
初句会亡き師のこゑの聞こえさう 大元祐子
(はつくかいなきしのこえのきこえそう おおもとゆうこ)
【季語の分類】
季語集から1月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
1月
初日の出、お飾、初便、年賀状、初景色、松納、十日戎、寒椿、雪晴、寒卵、去年今年、水仙、寒菊、万両
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語187:はつあかり(初明り)天文・冬
元日にほのぼのとさしてくる光は清らかです。
いのちまた燃ゆる色なり初明り 神蔵 器
季語188:はまや(破魔矢)行事・冬
初詣の神社で子の厄除けとして授与される白羽の矢。
尾根わたる破魔矢の鈴の響きけり 大塚友治
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
初春や青空に立つ池の竜 小浜十四子
(はつはるやあをぞらにたついけのりゅう こはまとよこ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
2月:トシドンの俳句鑑賞
トシドンの俳句にはこれまでたくさんの作品が寄せられました。母校の児童の皆さんが毎年送ってくれました。
残念ながら閉校で児童の皆さんからの作品は終わりました。
「あすなろ俳句教室」に掲載できなかったトシドンの俳句も児童の皆さんの想い出となっていることでしょう。
ユネスコの文化遺産に登録から始めて15回目のトシドンの俳句より一句鑑賞します。
トシドンにだかれて眠る夢を見た 星子
トシドンは幼児のための下甑島の伝統行事です。いまのように車での移動はなかった時代です。となりの集落に行くにも歩きです。集落から出かけることはほとんどありません。子どもの成長を願う親心。掲句は「トシドンにだかれて眠る」とあります。トシドンはお父さんかもしれません。お父さんの蒲団にもぐり込んで良い夢を見たに違いありません。(まさじ)
【今月の例句】
雪虫のとぶころとなる山の色 山下雅司
(ゆきむしのとぶころとなるやまのいろ やましたまさじ)
【季語の分類】
季語集から2月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
2月
立春、春一番、寒明け、梅、梅見、冴返る、バレンタインデー、余寒、猫柳、春、春祭、豆撒、春めく
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語189:はるしぐれ(春時雨)天文・春
春になって降る通り雨です。
いつ濡れし松の根方ぞ春しぐれ 久保田万太郎
季語190:はるのかぜ(春の風邪)生活・春
春になってかかる風邪です。
蒲団着て手紙書くなり春の風邪 正岡子規
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
在りし日の陵月さんと梅見かな 山下雅司
(ありしひのりょうげつさんとうめみかな やましたまさじ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
○次回はバレンタインの俳句を掲載します。3句以内でお寄せください。
こちらのフォームからどうぞ。
3月:バレンタインの俳句
2月14日はバレンタイン。皆さんはどんな日になったでしょうか。あたたかい心配りのチョコをいただき本当に嬉しい日。何歳になっても感謝感激です。
高み星追うて離れずバレンタイン 星子
逝きたるにバレンタインデーひとり守る イムさん
申告の資料あづかるバレンタインデー まさじ
定年の夫に山ほどバレンタインチョコ 真帆
【今月の例句】
鶴引きしみ空の軽くなりにけり 鷹羽狩行
(つるひきしみそらのかるくなりにけり たかはしゅぎょう)
【季語の分類】
季語集から3月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
3月
蜆汁、耕し、摘草、すいば、椿、野遊び、雛祭、草の芽、春の野、浅利、蓬、みもざ(ミモザ)山焼、若布、鳥帰る、彼岸
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語191:あたたか(暖か)時候・春
春の陽気の暖かさを言います。
あたゝかな雨が降るなり枯葎 正岡子規
季語192:しゅんでい(春泥)地理・春
春になってかかる風邪です。
蒲団着て手紙書くなり春の風邪 正岡子規
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
天丼の大きな海老や春休み 草間時彦
(てんどんのおおきなえびやはるやすみ くさまときひこ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。