山下雅司さんの俳句入門「ジュニアの俳句教室」です。4月より2022年度が始まりました。
今までの入門講座は入門のページのリンクからどうぞ。

4月:バレンタインの俳句選評
作者ごとの一句に寸評を頂きました。読み手からのメッセージは作り手の励みになります。
( )は選者です。ありがとうございました。
○チョコを買ふバレンタインの日を明日に 久美子
・「バレンタインの日を明日に」と作者の思いがあふれています。チョコをいくつ買ったのでしょうか。(まさじ)
○余所は余所とは言へバレンタインの日 久美子
・特に求愛の宛てもないけれど、何となくときめきの思いが伝わってきます。(イムさん)
○バレンタインチョコ育メンの子に贈る 久美子
・人物関係が読み手によって変わるでしょうか。私は育メン中の息子さんへのエールと読みました。今風の用語が作句の挑戦ですね。(真帆)
○和やかな君がこころのバレンタインデー 星子
・おふざけや義理ではない正当なバレンタインデーの様子が窺えます。「和やか」は君にもこころにも係る言葉でしょうか。ハッピー・バレンタイン!!(久美子)
・愛もいろいろな形がありますけれど、和やかな愛につつまれてのバレンタインデー。うらやましいですね。(イムさん)
・バレンタインデーに作者はある人を思う。「和やかな君」と言われたら贈り物以上に嬉しいでしょう。(まさじ)
・「が」で切って読むなら「こころのバレンタインデー」。特別なアクションがなくても思いが通じる感じでしょうか。「君がこころ」(君のこころ)ならば「和やかな」が全部にかかる形容詞に。(真帆)
○一句なり残さんバレンタインデー 冬児
・同感です。せっかく俳句に出合ったからには「一句なり残さん」は願いです。俳句を続ける励みです。心も身体もそのために元気でいないといけません。(久美子)
・一句に残す。すばらしいバレンタインデーですね。(イムさん)
・バレンタインデーに一句と思いながらもなかなか出来ない。それでも一句をなにがなんでも作ろうとする作者。(まさじ)
・バレンタインデーという季語、本当に難しいです。毎年、四苦八苦しているのは私だけではなかったのですね。(真帆)
○バレンタインのチョコの焦げ色隠し得ず イムさん
・今年も焦がしてしまいましたが思いが強すぎるのかもしれません。思いは隠さずはっきり伝えてください。結果には責任取れません、悪しからず。(久美子)
・「焦げ色」の象徴する隠せないほどの気持ちが、切なく、いじらしいです。応援したくなります。(真帆)
○バレンタインの宛てなき愛を焦がしつぐ イムさん
・「宛てなき愛」とはどんな愛でしょうか。全ての人に宛てた愛かもと勝手に想像しています。焦燥感も晴れるのです。(まさじ)
○愛の日の一口チョコと珈琲と まさじ
・チョコレートと珈琲はお互いくどくてどうかなと思いきや考え事をしている時など最高です。一口チョコがいいですね。口に放り込めばしばらく舌で転がしていられます。(久美子)
○我ここに地球のひとりバレンタインデー まさじ
・バレンタインデーの日、愛されるべき我一人の存在が地球上にあるのですね。(イムさん)
・バレンタインデーの謂れにも思いを馳せました。人を愛する第一条件は個としての自分を愛すること、ですね。(真帆)
○丁重に拒む義理チョコバレンタインデー 真帆
・あからさまに義理と解るチョコレートは随分と減ってきました。今は自分への「褒美チョコ」や「友チョコ」の時代です。どうぞお気遣いなく。(久美子)
○バレンタインチョコを謎解く如く噛む 真帆
・愛の形もいろいろで、どう受け取っていいのか迷いつつ噛みしめている愛もまたいいですね。(イムさん)
・「謎解く」と「噛む」に引かれました。発想のすばらしさですね。バレンタインチョコには不思議な力がありそう。(まさじ)
【今月の例句】
花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ 杉田久女
(はなごろもぬぐやまつはるひもいろいろ すぎたひさじょ)
【季語の分類】
季語集から4月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
4月
山笑ふ(う)、桜、風光る、百千鳥、燕の巣、石齢玉、花、春の海、木蓮、竹の秋、風船、桃の花、
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語145:すもものはな(李の花)植物・春
中国原産で白色五弁花。
多摩の瀬の見ゆれば光り李咲く 山口青邨
季語146:さくらもち(桜餅)生活・春
塩漬の桜の葉で包んだ生菓子。
三つ食へば葉三片や桜餅 高浜虚子
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
ふるさとを想ひ出させる桜かな 北 桃子
(ふるさとをおもひださせるさくらかな ほく とうし)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
〜春のミニ吟行〜
4月29日に春のミニ吟行を開催します。令和最初のミニ吟行です。一人三句を投句、5月のジュニアの俳句教室で掲載します。
日時…令和4年4月29日(金)昭和の日 10時30分〜11時30分
場所…甲突川左岸緑地一帯 春の木市
(大久保利通像前に集合)
5月:春のミニ吟行作品
検温をして記入して苗木市
入場のワッペン付けて苗木市
雲速し春の木市に回る旗
令和なるミニ吟行や昭和の日
藤の花仰ぎて一つ雨後の空
濁流は音なく今朝の苗木市
若葉風左岸にマスク外しけり
若葉冷え雲の速さを河畔より
甲突川若葉浮かべる早さかな
囀りの中ここちよき左岸かな
楠若葉匂ふ木市に雨こやみ
苗木市あとふり返る駐車場
日時…令和4年4月29日(金)昭和の日 10時30分〜11時30分
場所…甲突川左岸緑地一帯 春の木市
☆令和になって初めてのミニ吟行です。上記作品より一句選を宜しくお願い致します。
【今月の例句】
青々と山河健やか更衣 大岳水一路
(あをあをとさんがすこやかころもがへ おおたけすいいちろ)
【季語の分類】
季語集から5月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
5月
更衣、母の日、新茶、葉桜、若葉、草笛、茶摘、新樹、初鰹、薔薇
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語147:むぎぶえ(麦笛)生活・夏
青麦の茎を短く切り吹く笛です。
麦笛や嘆きの息が音に出でて 大石悦子
季語148:ねぢばな(捩花)植物・夏
桃色の小さな花を螺旋状に咲かせます。
捩花のまことねぢれてゐたるかな 草間時彦
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
古き物捨つるためらひ夏立てり 大岳麗子
(ふるきものすつるためらひなつたてり おおたけれいこ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
6月:季語で作品が決まります
春のミニ吟行作品より選んでいただきました。木市は春と秋にありますが「苗木市」は春の季語となっています。
〇検温をして記入して苗木市
〇入場のワッペン付けて苗木市
春の木市はコロナ感染防止のため、名前、連絡先等を記入、検温をしました。確認済みのワッペンをつけてもらい入場、途中で会場から出たのですが、再入場もスムーズにできました。俳句は具体的にすなおな作り方が読む人に伝わりますね。
〇濁流は音なく今朝の苗木市
前日の大雨で甲突川はにごり、水かさは増していました。平らな川の流れにごう音はありませんでした。春の木市会場で三年ぶりのミニ吟行は無事終りました。
〇若葉冷え雲の速さを河畔より
苗木市の吟行だったので、尚更若葉冷えを感じられたのかもしれませんね。雲の流れに沿って、お天気も二転三転したことでしょう。
【今月の例句】
嫁ぎてもあまへに来る娘ゆすらうめ 松尾いはほ
(とつぎてもあまへにくるこゆすらうめ まつおいはほ)
【季語の分類】
季語集から6月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
6月
風薫る、かたつむり、代田、蓮の浮葉、蟹、桑の実、螢狩、父の日、小判草、形代、黒南風、南瓜の花、
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語149:なつこだち(夏木立)植物・夏
夏の木立です。
磨かれし馬匂ふなり夏木立 福田甲子雄
季語150:かっこう(郭公)動物・夏
カッコーカッコーと鳴く。閑古鳥(かんこどり)
かつこうや何処までゆかば人に逢はむ 臼田亜浪
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
河鹿笛声失ひし人と聴く 中村苑子
(かじかぶえこゑうしなひしひとときく なかむらそのこ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
7月:夏休みの俳句教室(1)
もうすぐ夏休みです。一年生ははじめての夏休みですね。けがや病気をしないように楽しく過ごしましょう。7月と8月は夏休みの俳句教室とします。
俳句は5+7+5でなりたっています。17音の短いものです。
ゆびで数えながら作ってみましょう。
ふうりんがたくさんつられなっている ももこ
どうでしょうか?ふうりんの音がきこえてきます。「たくさんつられ」という7音が中7に入っています。
「ふうりんが、、、、、、、なっている」。
この作品で約束ごとの季語は? 答→「ふうりん」ですね。
17音は俳句の形、季語は季節のことばです。5+7+5のリズムと四季の草花をおぼえましょう。その花がきっかけで俳句が生まれるかもしれません。
さくら→ライラック→くさのはな→なでしこ→こうばい→いちごのはな→なつぎく→グラジオラス→すすき→キャベツ→つきみそう→うのはな→なのはな
花のしりとりでした。みなさんも紙に書き出してみてください。次回はその季語について勉強します。
【今月の例句】
扇風機大き翼をやすめたり 山口誓子
(せんぷうきおおきつばさをやすめたり やまぐちせいし)
【季語の分類】
季語集から7月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
7月
梅雨明け、水遊び、百合、夏の山、山開き、夏の星、夏の風邪、むぐら、アイスクリーム、胡瓜もみ、青田、夾竹桃
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語151:ばなな(バナナ)植物・夏
バナナは熟すと甘い香りがあります。
バナナ熟れ礁の月は夜々青し 神尾季羊
季語152:なつりょうり(夏料理)生活・夏
夏の料理の総称です。
運ばるる氷の音の夏料理 長谷川 櫂
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
風鈴のひとつが売れて残る音 M田彰典
(ふうりんのひとつがうれてのこるおと はまだあきのり)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
○第24回南九州市かわなべ青の俳句大会が開催されます。みなさんの作品をお願いします。詳細は同市ホームページをご覧ください!
8月:夏休みの俳句教室(2)
俳句は17音と季語。5+7+5で作り季語が入っていれば完成です??季語はたくさんあります。皆さんが使っている言葉です。春夏秋冬の季節がすぐわかります。「アイスクリーム」は夏の季語です。一年中、お店にはありますが夏の季語です。「暑さ」も季語です。ふだん生活のなかで使っている言葉ですね。
「なつぼうし」「なつのくも」「なつのよる」「なつのつき」「なつのひ」「なつのほし」「なつのむし」「なつのやま」
取りあげた季語は夏という言葉がついています。なぜ?たとえば月とだけ言えば秋の季語ですから。
「夏シャツ」「ゆかた」「たき」「にじ」「しゃわー」「ばなな」「めろん」「すいか」「きゅうり」「きんぎょ」「みずあそび」「ひるね」「せみ」「ぷーる」「およぐ」「なつやすみ」「ひまわり」、、、。
だれもが知っている言葉ばかりです。知っている言葉を使って、その季語でハイクの半分はできあがりです。あとの半分にみなさんの気持ちを入れてみましょう。
1999年に始まった「かわなべ青の俳句大会」入選作品です。完成した俳句のお手本です。どこがよいところでしょうか。参考にしてください。
秋の空ひこうき雲のすべり台(小学4年生)
はなびみたままのおめめがはなびいろ(小学1年生)
さかあがり見てくれていたあきの空(小学2年生)
かぜたべてそらに一かくこいのぼり (小学1年生)
ウミガメがなみだをながしいのちうむ (小学2年生)
【今月の例句】
いくらでも水吸う墓に参りけり 岩田由美
(いくらでもみずすうはかにまいりけり いわたゆみ)
【季語の分類】
季語集から8月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
8月
残暑、星月夜、白粉花、盆踊、新涼、木槿、墓参、初嵐、カンナ、稲の花、盆支度、蜩
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語153:りゅうせい(流星)天文・秋
秋は流れ星がよく観察できます。
流星や潮来間近かに水匂ふ 吉川秀子
季語154:すいか(西瓜)植物・秋
深緑色の縞模様の球形の果物です。
西瓜赤き三角童女の胸隠る 野澤節子
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
帰郷せしあの日も残暑理髪店 山下雅司
(ききょうせしあのひもざんしょりはつてん やましたまさじ)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。
○第24回南九州市かわなべ青の俳句大会が開催されます。みなさんの作品をお願いします。詳細は同市ホームページをご覧ください!
9月:言葉と想像力
俳句は一人一人で作る文芸です。言葉と想像力がきめてです。その前にどこで何をどう作るか、なやむところです。机の前では何時間考えても一句が出来ません。
机の前からはなれてみましょう。そのとたん何かが目に入ります。家の中でも外でもいいのです。動くことで脳のはたらきが始まります。
「青の俳句」作品鑑賞(1)より
秋の空ひこうき雲のすべり台(小学4年)
(第1回少年少女かわなべ青の俳句大会・鹿児島県俳人協会賞受賞作)
秋の空はすみわたり、くっきりとした視界が広がっています。空を見上げると飛行機が南へと飛んで行くのです。飛行機のあとに生まれる白い雲、ひこうき雲です。思わず「すべり台」がひらめいたのでしょう。発想の豊さにおどいた作品です。
【今月の例句】
有の実やおとなになりて解ること 緑川美世子
(ありのみやおとなになりてわかること みどりかわみせこ)
【季語の分類】
季語集から9月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。
8月
秋潮、虫、爽やか、コスモス、葛の花、さんま、白露、秋の七草、いわし、キリギリス、秋の海、秋簾
ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
作品「 」
作者( )
【俳句歳時記】
季語155:けいろうのひ(敬老の日)行事・秋
2002年までは9月15日だった。今は9月の第三月曜日。老人を敬愛し長寿を祝う。
同じこと言ふに耳かす敬老日 黒坂紫陽子
季語156:うげつ(雨月)天文・秋
雨のため名月を見ることが出来ないこと。
庭草のしげるがままの雨月かな 中村吉右衛門
【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。
整列の間もざわざわと鰯雲 古崎 真帆
(せいれつのまもざわざわといわしぐも)
【お知らせとお願い】
○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。