山下雅司さんの俳句入門「ジュニアの俳句教室」です。2021年度後半となります。
今までの入門講座は入門のページのリンクからどうぞ。



ジュニアの俳句教室〜俳句と親しむ四季〜(24)
10月:季語の話 (稲雀/動物)

稲が実るころに群れとなってくるスズメです。おいはらってもまた戻ってきます。空をかけまわりまた降りてきます。

稲雀降りんとするや大うねり 村上鬼城
稲雀散つてかたまる海の上 森 澄雄

二作品は稲雀のうごきを捉えたものですね。「大うねり」という言葉の強さ、「散ってかたまる海の上」と稲雀の動きを表現しています。広々とした景観の中のひとかたまりです。


【今月の例句】
散り散りの光引き寄せ鯊を釣る  緑川美世子
(ちりぢりのひかりひきよせはぜをつる みどりかわみせこ)

 
【十月の季語】
@時候 じゅうがつ(十月)ばんしゅう(晩秋)あきのくれ(秋の暮)
A天文 あきばれ(秋晴)あきのひ(秋の日)あきのそら(秋の空)あきのくも(秋の雲)
B生活 しんまい(新米)しんしゅ(新酒)かがし(案山子)
C地理 あきのやま(秋の山)あきのかわ(秋の川)かりた(刈田)
D植物 はつもみぢ(初紅葉)いね(稲)かき(柿)りんご(林檎)きく(菊)つばきのみ(椿の実)つた(蔦)もみぢ(紅葉)
E動物 わたりどり(渡り鳥)ことりくる(小鳥来る)もず(鵙)
F行事 あかいはね(赤い羽根)


ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

 草の絮地球いかほど老いたるや  鍵和田ゆう子(ゆうは禾編に由)
 (くさのわたちきゅういかほどおいたるや  かぎわだゆうこ)


【俳句歳時記】

季語133:こうらく(黄落)植物・秋
いちょうの葉などが黄色なって落ちること。

 黄落や掛時計鳴る古本屋 岩崎正子

季語134:かりた(刈田)地理・秋
稲を刈りとったあとの田のこと。

 吹き晴れて刈田に開く仔牛市 小林俊彦


【お知らせとお願い】

○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。

○ジュニアの俳句教室で紙上作品集を企画します。作品を多くの方に見ていただき鑑賞してもらえたら幸いです。皆様のご意見をお寄せください。




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ジュニアの俳句教室〜俳句と親しむ四季〜(25)
11月:季語の話 (小春日/時候)

陰暦十月の別称。ほぼ十一月にあたります。立冬を過ぎてからの暖かな日です。小春、小春日和、小六月と言います。

 父を恋ふ心小春の日に似たる 高浜虚子

小春日とはこのような心境にさせられます。作品は「父を恋ふ心」です。

 牛連れて子の嫁ぎゆく小春かな  田島早苗

親を思う気持ち、子どもを思う気持ち、俳句はさまざまな思いを伝えます。


【今月の例句】
小春日や父におくれて母が来し 山下雅司
(こはるびやちちにおくれてははがきし やましたまさじ)

 
【季語の分類】 季語集から11月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。

初冬、芭蕉忌、石蕗の花、冬耕、冬麗、鷹、切干、落葉、大根引、立冬、


【俳句歳時記】

季語135:ふゆもみぢ(冬紅葉)植物・冬
冬になっても散らずに残っている紅葉です。

 ちぎれては雲の数ふゆ冬紅葉 大岳水一路

季語136:しぐれ(時雨)時候・冬
初冬に降ってはすぐあがる雨です。

 しぐるるや駅に西口東口 安住 敦


ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

 語り部は米寿なりけり冬紅葉 山下雅司
 (かたりべはべいじゅなりけりふゆもみぢ やましたまさじ)


【お知らせとお願い】

※新コーナーについて
今回から一部入れ替えて模様替えをしました。月別季語集から当月の季語の分類を加えています。解答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確認してください。

○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。






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ジュニアの俳句教室〜俳句と親しむ四季〜(26)
12月:季語の話 (隙間風/天文)

隙間風(すきまかぜ)とは、戸や障子、ふすまや壁などから吹き込む風のことです。

  隙間風戦時の記憶祖父語る
(第23回南九州市かわなべ青の俳句大会 高校3年生作品)

高校生のこの作品は祖父から戦時の記憶を聴いたのです。季語の「隙間風」は戦時の記憶を語る祖父の体験から正に冬のきびしさも伝わるかのようです。


【今月の例句】
マスクして隠さうべしや身の疲れ 林 翔
(ますくしてかくさうべしやみのつかれ はやし しょう)

 
【季語の分類】 季語集から12月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。

冬もや、鶴(つる)、冬木立(ふゆこだち)、蒲団(ふとん)、炭火(すみび)、水鳥(みずどり)、冬ひばり、冬の山、里神楽(さとかぐら)、初雪(はつゆき)、トシドン


【俳句歳時記】

季語137:たきび(焚火)生活・冬
暖をとるために野外で枯木や、枯葉を焚くこと。

 ふりむけば父の来てゐる焚火かな 伊藤伊那男

季語138:こたつ(炬燵)生活・冬
炬燵は暖房器具です。置炬燵は布団をかけて使います。

 横顔を炬燵にのせて日本の女 中村草田男


ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

 鉄筆をしびれて放す冬の暮 能村登四郎
 (てっぴつをしびれてはなすふゆのくれ のむらとしろう)


【お知らせとお願い】

○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。

○トシドンの俳句と新年の俳句を募集します。
作品の締切は1月3日、投句はトシドンの俳句と新年の俳句を合わせて一人3作品までとします。よろしくお願いします。
窓口を開設します。 ・・・募集は終了しました。




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ジュニアの俳句教室〜俳句と親しむ四季〜(27)
1月:トシドンと新春俳句

あけましておめでとうございます

さて、今回はトシドンの俳句と新春の俳句を含めて3句までとして作品をよせていただきました。さっそく発表です。本年も「ジュニアの俳句教室」をどうぞよろしくお願い致します。

【トシドンの俳句】

コロナ禍で年どん様もマスクして  金剛
トシドンの島の声かも風騒ぐ    イムさん
トシドンの声はかの人なりしかな  まさじ
トシドンに吾子たぢろがず真正面  まさじ
トシドン餅貰ひし長子なる誇り   まさじ
暗きよりトシドンの声ははの声   真帆

【新春の俳句】

売れ残る餅の輝く湾の底      イムさん
Gパンを晴れ着にせんと洗いつぐ  イムさん 
ふるさとの山に始まる新暦     久美子
家康に縁(ゆか)る切つ先竹飾    久美子
初髪や若き名古屋の武将隊     久美子
鳥居越し拝む初日や自粛の世    真帆
胸の奥腹の底から初笑ひ      真帆


【季語の分類】

季語集から1月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。

初日の出、お飾、初便、年賀状、初景色、松納、十日戎、寒椿、雪晴、寒卵、


【俳句歳時記】

季語139:こぞことし(去年今年)時候・冬
一夜明けると昨日は去年。今日は今年です。

 月光に山野凍れり去年今年 相馬遷子

季語140:すいせん(水仙)植物・冬
暖地の海岸に群生して香りがよい花です。

 野水仙海荒るる日は濃く匂ふ 高橋悦男


ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

幼な児の写真添へたる賀状かな 津田美代子
(おさなごのしゃしんそへたるがじょうかな つだみよこ)


【お知らせとお願い】

○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。

○バレンタインの俳句募集
今年もバレンタインの俳句を募集します。ご投稿をよろしくお願いします! 季語:バレンタイン(バレンタインデー) 投句:一人3作品まで 締切:令和4年2月16日(水) 発表:令和4年3月中旬 ※投句はペンネームも可。
窓口を開設します。 こちらのフォームからどうぞ。




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ジュニアの俳句教室〜俳句と親しむ四季〜(28)
2月:トシドンと新春の一句鑑賞

コロナ渦で年どん様もマスクして  金剛
世の移り変わりと進化する年どん様、実景実感が読み込まれて楽しく感じました。これからも年どん様と生きる生活を大切にされ貴重に詠まれて行かれることを念じます。 (イムさん)

胸の奥腹の底から初笑ひ 真帆
世界中がコロナの感染に怯え、恐れと祈りの中で新年を迎えました。恐ろしげな年神様に果敢に相対した子供達。村の願いを一身に受けたトシドン。それを見守る人々。全ての人が胸の奥、腹の底から笑える日が一日も早く来ます様に。 ( 久美子)

トシドンの島の声かも風騒ぐ イムさん
年末は今年も海が荒れた。作品は「風騒ぐ」大晦日の模様を捉えた。トシドンの来る晩である下甑島に思いを馳せたのだ。「島の声かも」という声にすべてが言い尽くされている感じである。風の騒ぎからトシドンの一句が誕生した。 (まさじ)

ふるさとの山に始まる新暦  久美子
新たなる年の幕開けを、こころの拠り所であるふるさとの山に真向かうことで実感されたのであろうか。新暦は、カレンダーそのものかもしれないし作者の気持の上での時間の流れの象徴的なひと区切りなのかもしれない。  (真帆)


【今月の例句】
観音のかんばせゆるむ初音かな 瀬戸清子
(かんのんのかんばせゆるむはつねかな せとせいこ)

【季語の分類】

季語集から2月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。

立春、春一番、寒明け、梅、梅見、冴返る、バレンタインデー、余寒、猫柳、春、春祭、


ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


【俳句歳時記】

季語141:まめまき(豆撒)行事・春
神社仏閣の追儺の行事だ。節分の夜に家庭でも行う。

 あたたかく炒られて嬉し年の豆 高浜虚子

季語142:はるめく(春めく)時候・春
万象ことごとく春らしくなってくること。

 春めくや浮雲あそぶ水の上 松井草一路


【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

鶴の脚水面に映る余寒かな 山下雅司
(つるのあしみなもにうつるよかんかな やましたまさじ)


【お知らせとお願い】

○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。

○バレンタインの俳句募集
今年もバレンタインの俳句を募集します。ご投稿をよろしくお願いします! 季語:バレンタイン(バレンタインデー) 投句:一人3作品まで 締切:令和4年2月16日(水) 発表:令和4年3月中旬 ※投句はペンネームも可。
窓口を開設します(今年度は締め切りました)。




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ジュニアの俳句教室〜俳句と親しむ四季〜(29)
3月:バレンタインの俳句発表

チョコを買ふバレンタインの日を明日に 久美子
余所は余所とは言へバレンタインの日 久美子
バレンタインチョコ育メンの子に贈る 久美子
和やかな君がこころのバレンタインデー 星子
一句なり残さんバレンタインデー 冬児
バレンタインのチョコの焦げ色隠すし得ず イムさん
バレンタインのチョコの焦げ色送りつぐ イムさん
バレンタインの宛てなき愛を焦がしつぐ イムさん
愛の日の一口チョコと珈琲と まさじ
バレンタイン電波時計の止まりけり まさじ
我ここに地球のひとりバレンタインデー まさじ
丁重に拒む義理チョコバレンタインデー  真帆
バレンタインチョコを謎解く如く噛む  真帆
七色のバレンタインのチョコを選る  真帆



【今月の例句】
夕雲のふちのきんいろ雛納め  鍵和田ゆう子(ゆうは、禾に由)
(ゆうぐものふちのきんいろひなおさめ  かぎわだゆうこ)

【季語の分類】

季語集から3月の季語を転載しました。どの分類 (@時候 A天文 B生活 C地理 D植物 E動物 F行事) になるでしょうか。季語に番号を付けてみましょう。答は[おやこの歳時記]【俳句歳時記】で確かめてください。

蜆汁、耕し、摘草、すいば、椿、野遊び


ではここで、今月の季語を使って一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


【俳句歳時記】

季語143:よもぎ(蓬)植物・春
野に自生する。草餅の材料にもされる若葉は香りが良い。

 母老いぬ蓬と見れば摘みたがり 須佐薫子

季語144:みもざ(ミモザ)植物・春
黄色の小花を穂状に咲く。オーストラリア原産の常緑樹。

 神の国近しミモザの咲ける丘 稲畑汀子


【俳句鑑賞】
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

春昼の気泡沈めるヤマト糊  緑川美世子
(しゅんちゅうのきほうしずめるやまとのり  みどりかわみせこ)


【お知らせとお願い】

○「ジュニアの俳句教室」は児童、生徒の皆さんの作品を待っています。






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