第3回バレンタイン俳句大会に投句いただいた全句の観賞です。
到着順にさせていただきました。(*まさじさん、○真帆のコメントです。)



石川 娘さん
手作りにビールを添えてバレンタイン
*お父さんにバレンタインの贈り物ですね。手作りのものに缶ビールも添えて…。
素直な俳句がお父さんにも、感謝の心が読み手にも伝わってきます。
○手作りチョコ(料理?)と日常的なビールの取りあわせがほのぼのとしていますね。相手もきっと喜ばれたでしょうね。

石川 父さん
一年の光陰巡りバレンタイン
*一年ぶりのバレンタイン。その速さを「光陰巡り」とあえて言いました。
娘さんからの贈り物に感激!本当にうれしいですね。
また、親子の新たな一年の始まりです。
○選評参照

まさじさん 
ねぐら田にバレンタインの日のひかり
〇バレンタインデーと小鳥は縁のあるとりあわせですが、「ねぐら田」にさす「日のひかり」は季節を先取りしたあたたかなものに感じられます。

大空へバレンタインの鶴鳴けり
〇鶴は生涯をかけて一夫一妻なのだと観察センターの方に伺ったのを思い出しました。妻恋のあるいは望郷の鳴き声を大空に放っていたのですね。

バレンタインの日鶴みて青い海を見て
〇この句の主体は作者ですね。前句の空に対して、こちらは海です。青いのですから好天で鶴も良くは動き鳴いていて、見に行った甲斐がありましたね。空へは崇高な印象を、海へは包容力を感じます。どちらもバレンタインデーの(恋愛の)一つの象徴ですね。

愛といふバレンタインの合言葉
〇すんなりとまとまった一句なのでは。合言葉ということは相思相愛なのでしょうか。それともバレンタインの何かについて「愛」という符号をつけたのでしょうか。ちょっと秘密めいていますね。

まさじさんの自句自解
◇同僚と出水・長島と一泊旅行。バレンタインの日でした。
@ツルの塒田に春のやわらかな日差し。バレンタインの日に親子鶴をみることができて幸せでした。
Aバレンタインの鶴の鳴き声です。北帰行が始まったツルの荒崎干拓地の大空でした。
Bツルばかりか、不知火海の青い海。夜は海の幸と焼酎がもてなしてくれました。
Cバレンタインは感謝の気持ちを伝えること。合言葉を愛と勝手に決め込みました。

みっきさん
まぶたにも笑顔がうかぶバレンタイン
*瞼にも笑顔が浮かぶと言っています。笑顔を思い出すと、こちらも幸せな笑顔になります。どんな方の笑顔なのでしょうか?
楽しいことを思う気持ちが大切です。
○人にプレゼントを準備するとき、相手の笑顔を思い浮かべることができたら、それだけでも幸せな気分になりますね。″面影が目に浮かぶ″という状態だと思います。字数の制限もありますが「まぶたにうかぶ」をひと工夫するといいのではないでしょうか。

美卯さん
デパ地下の華やぎ甘しバレンタイン
*デパートの地下は甘い匂いがただよっています。バレンタインの日のはなやかさをみての作品。
○デパ地下はもう一般的な語になりつつありますが、俳句に新語を使う時は慎重に…。「華やぎ」という視覚的なものを「甘し」と味覚のようにとらえたのが、バレンタインらしくていいですね。

ほろ苦さ甘さにくるみチョコ贈る
*ほろ苦さを甘さにくるみとうまいですね。チョコの味をよく知っての作品。
○選評参照

吾子眠るチョコもらうのはいつの日か
*親心です。寝顔をみて子どもに寄せる思いの作品です。
○息子さんがおられるのですね。親としてもワクワクしますね。もらってきたらきたで気をもみますが…。(保育園や幼稚園でも、もらって来る子がいて、あれは親の人望なのでしょうか?余談です)

みわさん
子供たち誰にあげるの親心
*こちらはチョコをだれにかあげるのかと思う親の心境でしょうか?
○お嬢さんたちが楽しげにバレンタインの準備をしています。そういう気持ちを大切にしてあげたいと思う半面、相手はどんな子だろうと、ちょっと気になるのが親心ですね。

手作りは自分の為にバレンタイン *自分のためと言っていますが、手作りは家族みんなでいただくわけですね。自分のためと言い切って俳句が生きました。
○選評参照

おかみさん
はにかんでもも色ほっぺバレンタイン
*だれにやるのでしょう。当然、ご主人様?。状況がよく出ています。
○あらためてみると、気恥しいこともありますね。純情可憐な少女のような気持ちなのが、「ほっぺ」という語でうまく表現されています。

夫婦でもチョコLOVEバレンタイン
*でもがラブにかかって素直な作品です。仲睦まじいようすが伝わります。
○一番身近で一番大切な人。少しずつ立場や相手への感情は形を変えていくかもしれませんが、愛は続いているのですね。普段はなかなか気持ちを伝えることもなくて、2人でいるのがあたり前になってしまっているからこそ、バレンタインは是非すてきな日を過ごしたいですね。

keeさん
逆チョコに想いを託すバレンタイン
*思いを託す逆チョコ。世情をおもわせるバレンタインです。本人の気持ちがよく出ています。
○選評参照

たくろーくん
バレンタインいろんなかたちがあるんだな
*チョコのかたちに目がとまりました。さて、どんな形のものがすきですか?
○チョコレート特設売場でつくった句です。包装も形もいろいろでしたね。チョコだけでなく愛にもたぶんいろいろなかたちがあるんだよ。

バレンタインもらえるチョコはいくつかな
*いくつもらえるかと希望をたくした俳句ですね。うまい!
○いくつもらったかな。そして、おめあての子からはもらえたのかな。「もらえる」と感謝の気持ちがあるのがいいね。

ゆうきくん
放課後のバレンタインや恋が咲く 
*お兄さんは年齢相応の見事なバレンタインの俳句です。恋が咲くはなかなか言えませんぞ。
○学生、生徒たちは放課後が勝負なんですね。「恋が咲く」は雰囲気はわかるけれど、よく聞く言い廻しなので再考を。

真帆
宝石のごときチョコ買うバレンタイン
*やはり、宝石のようなチョコになりました。好みのよい、相手にも伝わる作品ですね。

バレンタインの曲歌いをり電話口
*私もラジオでバレンタインの曲を聴きましたが、電話口で歌っているとは意外性ですね。

真帆の自句自解
@とてもきれいに包装されたチョコレートが宝石のように見えたのです。あるいは、自分の華やいだ気分がそのように感じられたのかもしれません。
Aいまどきはケータイ配信で音楽を贈る事もできるのですが、気持ちを伝えるのならやはり肉声で・・・。余りに不器用ですけれど。

またこのような機会を設けたいと思っております。是非多くの方のご参加をお待ちしております。有難うございました。