百人一首を書く
日本習字普及協会 編 定価 (本体2,500円+税)
A4判 112頁 ISBN978-4-8195-0153-8
伝統的美のシンボルとして唄われてきた小倉百人一首を、現代俊英
書家25名が、一般形式のかな書きにとらわれずに、漢字・詩文書・現
代書など多彩な新しい書表現も追及した連作集です。全紙・半切・懐
紙・色紙・扇面など形式も自由に書著されており、新しい百人一首の作
品範例として益々楽しめる好著です。
cover
〈本書の編集にあたって〉
「百人一首」は藤原定家の撰といわれ、一番の天智天皇から百番の順徳院まで、奈良
・平安・鎌倉期の代表的歌人の和歌を選別した秀歌集である。江戸時代中期以降、「百
人一首かるた」として一般にも普及し、今日も正月のかるた遊びなどを通じて広く愛唱さ
れている。
本書は「百人一首」を現代書道の様々のジャンルで活躍する25名の書家に1人4首を担当
してもらい、それぞれの持ち味で自由に揮毫していただいたいわば〈百人一首連作集〉で
ある。
25名の書家の選抜および4首ごとの割りふりは、すべて編集部の裁量で行なった。
作品の表記については変体仮名や万葉仮名の使用をふくめ各家の自由裁量とし、作品の
形式・サイズについても自由とした。また各家に4首の作品制作にあたっての所感を執筆し
ていただいた。
見出しの歌は、現在一般に流布している表記に従ったが、漢字表記は読み易さを考慮して
適宜改めた。
各歌には早川雅水・名古屋明徳短大教授による軽妙洒脱な〈歌意〉を付した。ご参考にし
ていただけたらと思う。
書作の題材として「百人一首」はこれまで仮名で書かれる形式がオーソドックスなものであ
ったが、本書では漢字・詩文書・現代書などからアプローチがいろいろと試されており、その
多彩な表現スタイルを鑑賞したいただくとともに、新しい「百人一首」の作品づくりのお手本
としても活用していただければと願っている。