In The White
「…」
「え?」
廊下を歩いていた中居は、ふと誰かに呼ばれた気がしてあたりを見回した。
「中居、こっち」
「木村?」
そばにあったドアから顔を覗かせて手招きしていたのは木村だった。
「何やってんの?そんなとこで」
「いいもの見つけたんだ。ちょっと来て」
木村に誘われるがままにその部屋に入る。
衣裳部屋らしいその部屋には様々な衣装が所狭しと並んでいた。
「中居、これ」
木村が差し出したのは1着の真っ白なワンピースだった。
それも袖の部分が大きく広がっていて、俗に言う「お姫様」が着るような。
「…それが何?」
「着てv」
「はぁ?!」
「だから、着てvv」
「ぜって〜、ヤだ!何で俺がそんな…」
女装みたいなことを仕事以外でしなきゃなんないんだ、と文句を言いかけて、思わず言葉を飲み込んだ。
目の前で俺の目をじっと覗き込んでいる木村の目があまりに寂しそうで、今にも泣き出そうにも見えたから。
「ちょ、木村?」
「…」
「……着ればいいんだな?」
「えっ!マジで着てくれるの?」
目を輝かせる木村の手から俺は無言でワンピースを取り奥にある更衣室へと向かった。
−−−仕事に差し支えたら困るしな。。
木村に甘い自分を認めたくなくて、一応理由をつけてみたりして。
**********
「かわい〜!中居、マジでやばいよ、それ」
「…」
「あっ、このケープかけてみて」
木村が後ろにまわって、ワンピースと同じ白いケープを俺の肩にかける。
「あと、これ履いてみて」
「さすがにそれはちょっと…」
「いいから、いいから」
いつのまにか俺は木村にされるがままの着せ替え人形のようになっていた。
白いハイソックスに同じく白いブーツ。
王冠を模ったトップがついたネックレス。
白い大きなリボンがついたカチューシャ。
そして、頬にはチークが入れられていた。
「かんっっぺき!」
「…」
「もう、マジでかわいい」
「…木村、こんなことして何が楽しいんだよ。変態か、お前は」
「照れてる中居見るのが楽しいv」
「ばっ、おまっ、なっ」
「何?図星?」
慌てすぎてうまくしゃべれなくなった俺の顔を楽しそうに木村が覗きこむ。
「うっさい、バカタク!」
「どうせ、バカですよー。でも、ただのバカじゃなくて俺は中居バカだからね」
「…」
「って、中居!何脱ごうとしてんだよ」
「うっさい。もういいだろ?」
「だめだって。ほらこっち向いて、気をつけ!」
カシャッ
「え?えっ?」
思わず素直に木村の言葉に従ってしまった俺は、突然の眩しい光に一瞬訳が分からなくなる。
カシャッ
カメラを持ったままの木村が俺の方を抱き、再び自分たちに向けてシャッターを切った。
「何、撮ってんだよ!」
我に返って、慌てて反撃してみたが遅かった。
「いいじゃん。中居もカメラ目線だったし」
「それは、いつもの癖で…」
一種の職業病だろ、そんなの。
「まあまあ。あっ、もう着替えた方がいいんじゃない?そろそろスタッフが探しにくるかも」
「誰がやらせたんだよ…」
反論しかけたが、スタッフにこの姿を見られるわけにもいかずに慌てて着替えた。
*****数日後*****
「中居〜」
「あ?」
「ジャーン」
「あっ…」
「現像しちゃいました」
「って何処で!」
「大丈夫、俺の知り合いに頼んでやってもらったから。それに、中居だってバレなかったよ?」
「とにかく写真とネガ渡せ」
「あ、やっぱり俺とのツーショット写真欲しい?」
「ちっげぇよ!処分すんだよ、ネガも写真も」
「何で?」
「何でって、他のメンバーが見たら…」
「あ、俺そろそろ撮りあっから行くわ」
「えっ、おい、木村!」
「んじゃ、後ほど」
この後数週間に亘って、中居のなんとかしてネガを奪おうという苦悩の日々が続いた…が、
「なんか中居君、最近おかしくない?」
「やっぱりあの写真のせいかなぁ」
「写真って?」
「え、見てないの?慎吾」
「うん。なんの写真?」
「はい、これでしょ?」
「吾郎ちゃん、何で持ってるの?」
「いや、木村君が自慢ついでにくれた」
「へぇ…」
「うわ、何これ!中居くん?!」
「そう。なかなか可愛いよね」
どうやら中居の苦悩の日々は無駄に終わりそうである。
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えっと、友人Lからのリクで書きました。
ってか、ネタが浮かばなかったから提供してもらっただけだけどね(^^;
Lは本物のロリータさんのコで、
この中居さんの着せられる衣装も
全てそのコが決めました(笑)
ちょっと賛否分かれそうですが…どうでしょう。。
(2002/10/10 HINATA)