PRECIOUS TIME
2002年9月9日
今日はSMAP11歳の誕生日だ
11年間、正直いろんなことがあった
逃げ出したくなる時も何度もあった
それでもここまでやってこれたのは
みんながいたからだ、と
SMAPのメンバーがいたからだ、と
それだけは胸を張って言える
*****
「
「
「
「
「おめでと〜!!!
」」
」」
」
部屋に明るい声が響き渡る。
ホテルの一室を貸しきって、5人だけのささやかなパーティー。
料理はそれぞれが持ち寄って来たものが並んでいる。
「木村くん、これ超うまいよ!
」
「うん、最高!!
」
「サンキュ!
」
本当に質素なパーティー。
それでも他のどんなパーティーよりもみんなの表情は明るかった。
そんなメンバーからふと目を離すと、輪からこっそり抜けていく後ろ姿を見つけた。
「おい、中居
」
中居は隣の部屋でこちらに背中を向けてベッドに腰掛けながら静かにシャンパンの入ったグラスを見つめていた。
「お〜、木村。…やっぱりシャンパンより焼酎がいいな
」
俺に気付いた中居は一瞬気まずそうにして俺を見上げると、手元のグラスに目を戻しそう言った。
「パーティーで普通焼酎飲むかよ」
「確かに飲まねぇな」
中居はそう言うとハハハと笑った。
「それより、何いきなりいなくなってんだよ」
俺は中居の隣に腰を下ろして問う。
「いや、ちょっと疲れてさ。大丈夫、すぐ戻るよ」
ちょっと座りたかっただけだから。
そう言った中居の目には確かに疲労の色が見えた。
「なぁ、最近ちゃんと寝てるか?」
「寝てるよ。俺、今そんなに忙しくないよ?」
「あのなぁ…」
週7日、毎日レギュラー番組抱えてる人間が言う言葉じゃないだろ。
「ん?」
「中居が忙しくない、なんて言うから、俺なんて『暇』だとか言われるんだぜ?」
「ハハ、わりぃ。でも、忙しくないのは本当だろ」
「そりゃ、中居に比べればな」
軽く睨むと中居は苦笑いしてみせた。
「…でもさぁ、デビューした頃はこんなに仕事もらえるなんて思ってもなかったよな」
「本当だな。もう11年も経つんだよな」
「正直、11年も一緒にやってこられると思ってなかった」
「色んなことあったな」
「…俺さぁ。リーダーなのにいつもみんなに助けられてばっかりだよな」
中居がしみじみと呟いて、俺が反論しようとしたその時だった。
「は?何言ってんの?助けてもらってるのはこっちでしょ」
と俺のセリフをそのまま横取りしたやつがいた。
「慎吾?!お前いつの間に入ってきたんだよ」
いつの間にか慎吾が俺と背中あわせに座っていた。
中居も全く気付いてなかったらしく、かなり驚いている。
「え?気付いてなかったの?」
慎吾が本当に心外だという顔をして言った。
「えっと、木村くんが座ったぐらいからかな」
「は?!そんな前からいたのか?」
「うん。中居くんの隣に木村くんが座ったからその後ろに座らせてもらったんだけど…
まさかとは思ってたけど本当に気付いてなかったの?」
「当たり前だろ。いるんなら一言ぐらい発しろよな!」
そんなたいした会話もしてないが、ずっと聞かれたとあってはさすがの中居も何も言わないものの隣でため息をついている。
「じゃあこれも気付いてないんだろうけど…」
「何だよ」
「いや、僕の足元につよぽんと吾郎ちゃんも座ってるんだけど」
「はぁ?!」
慌ててベッドの逆側に回りこむ。そこには確かにベッドに寄りかかる体勢で2人が座っていた。
「お前らも最初からいたのか?」
「うん」
「そうだけど?」
「だって中居くんも木村くんもいなくなったらパーティーにならないじゃん」
「それに、パーティー中に2人でラブシーン始められても困るしね」
「吾郎!てめ…」
ぜって〜、コイツは邪魔したかっただけだな…
俺が吾郎に文句を言おうと再び口を開いたその時、
「しょうがねぇな〜。やっぱリーダーの俺がいなきゃしょうがないもんな。ほら、パーティーの続きするべ」
中居が立ち上がってそう言い、伸びをしながら歩き出した。
「
「
「お〜!
」
」
」
下3人もそれに続く。
「おい、ちょっ、待てよ
」
出遅れた俺も慌てて後を追う。
あいつら、何なんだよ…
しかし、俺の顔に自然と浮かんだものは「笑み」だった。
不満だらけのはずなのに、俺は笑っていた。
結局俺もSMAPなんだな、なんて
そんなことをふと思った。
*****
2002年9月9日
SMAPは11歳になった
いや、正確に言えばデビューして11年
SMAP結成当時から数えるならば14歳8ヶ月というところか
そろそろ俺も人生の半分がSMAPということになる
そのことが単純に嬉しい
SMAPの中で、SMAPのメンバーとともに成長した俺を
今は素直に誇りに思える
親愛なるSMAPへ
これからもよろしくな
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SMAP11歳誕生日記念小説です。
今回もあんまり納得のいく出来ではありませんが、
デビュー11周年ということなので書いてみました。
一応、拓哉さん視点です。
なんとなく、私にとって中居さん視点って難しいので(笑)
(2002/09/09 HINATA)