にちじょう


「中居、手出して?」

今年のツアーも無事に終わり、俺の部屋で木村と2人まったりしていると、 唐突に木村がそう言った。

「ん?」

不思議に思いながらも俺が手を差し出すと、木村はその手に何かを握らせてきた。

「何、これ?」

「指輪」

「指輪は分かるけど」

ゆっくり開いた手のひらにあったのは確かに指輪だった。

ゴールドのリングに赤い石が5つ。

俺の手のひらの中でやけにキラキラ光っている。

「なんか…おもちゃみたいだな」

「だっておもちゃだもん」

「は?」

「実はさぁ…」

木村は言いかけて何かを思い出したように、フフと笑った。

「なんだよ、気持ちわりぃな」

「いや、ここ来る前にちょっとコンビニ寄ったら、そのコンビニの前に”ガチャガチャ”があってさ。なんか懐かしくなってやってみたらこれが出てきたんだよ」

「あきらかに、女の子向けの”ガチャガチャ”だな、それ」

「あぁ、そうかも。あんまり見ないで適当にやったから」

「お前なぁ…でも懐かしいな、”ガチャガチャ”」

「だろ?」

木村がやけに嬉しそうに言うので、俺までちょっと幸せな気持ちになって笑う。

「どうしたの?」

「何が?」

「なんか、すっげぇいい顔してる」

「そう?」

「そうだよ」

「そうかな」

もう一度そう言って笑う。

「なんだよ」

「いやいや。これ、俺にくれるの?」

「うん。左手出して、つけてやるよ。」

俺が左手を出すと、木村はその手を自分の左手で支え、空いている右手で俺の薬指に指輪をはめた。

「お、ぴったりじゃん。すげぇな」

「マジですげぇな。これって普通子供サイズに作られてるんじゃないのか?」

「な。中居ってやっぱり指細いんじゃねぇの?」

「そんなことねぇよ。たまたま大きめのやつだったんだって」

俺はちょっと手をあげて指輪を眺めてみた。

「綺麗だな…」

指輪は窓から差し込む光でいっそうキラキラと光っていた。

「うん」

「あっ、そうだ。木村、手出して」

俺はちょっと思い立って木村にそう催促した。

「ん?」

「左手。出して?」

「はい」



―――チュッ



木村が差し出した左手を軽く持ち上げ、薬指にそっと口づける。

「指輪のお返し」

そう言って木村に向かっていたずらっぽく笑う。

木村もちょっと驚いた顔をしたが、すぐにふんわりとした笑顔を浮かべた。

「なんか幸せだな…」

「だな」

そんなのんびりした昼下がり。

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昨日、某番組の観覧に行ったら、
中居さんが左手薬指にやけにおもちゃっぽい指輪をしていたので、
つい思いついて書いてみました。
これは個人的(強制的)に、
いつもお世話になっている森沢ゆうか様へプレゼントさせて頂きますm(__)m
ちなみに返品不可ですので(笑)
(2002/11/06 HINATA)