「木村くん、木村くん」
その日の仕事も終わって、帰ろうと楽屋に向かってたら、
後ろからドタバタという足音とともに声が追っかけてきた。
「何?」
何事かと、足を止めて振り返る。
「あのさ、明日空いてる?」
声の主、慎吾は俺に追いつくと満面の笑みを浮かべてそう言った。
「明日?って収録じゃん」
「そうじゃなくて、その後」
「その後?…あぁ、ダメダメ」
ちょっと考えて断ると慎吾は途端に肩を落とした。
「え〜…イヴじゃなくてクリスマスなのに?どうしてもダメ?」
「ダメだって。イヴの埋め合わせをクリスマスにすんだから」
「そっか…分かった」
「何か大事な用だったのか?」
慎吾のあまりの落ち込みように思わず聞く。
「いや、クリスマスパーティーをね、やろうかな、と」
「そっか、悪かったな」
「ううん、いいよ。しょうがないもん」
何だかちょっと後ろめたい思いを抱きつつ俺は慎吾の後姿を見送った。
実は、それは甘かったんだけど…
その夜、早めにドラマの収録が終わり、家へ向かう途中で中居から電話が入った。
時間あったらちょっと家に寄って欲しい、というものだった。
珍しい中居の誘いに浮き足立って俺は中居の元へと車を走らせた。
「悪かったな。せっかく仕事早く終わったのに」
顔を見て一番に中居がそう言った。
「いや、いいよ。中居も早かったんだな」
「まぁな。イヴだから気を使ってくれたみたいでさ」
「あぁ、こっちもそんなもん」
そう言いながらコートを脱いで中居と並んで座った。
「で、どうしたの?」
「いや、大したことじゃないんだけどさ…」
中居はそう言って言葉を濁した。
「いいから、言ってみな」
「うん…一応イヴのうちに会いたいかな、なんて」
「珍しく素直じゃん」
「まぁ、な。で、明日なんだけども…」
「うん」
「あのさ、慎吾がみんなで集まろうって」
「あぁ、聞いたよ。でも中居と約束あったし断ったよ」
その言葉に中居が一瞬顔を曇らせた。
そして尚、言いにくそうに言葉を紡ぐ。
「うん…でもさ、やっぱり行かないか?」
「え?」
意外な言葉に思わず聞き返す。
「いや、やっぱりさ、折角慎吾が計画してくれたわけだし…」
そう言いながら中居は視線を逸らした。
「何?慎吾に頼まれた?」
きっと、俺が中居に弱いの知ってて頼んだのだろう。
「いや、そういうわけじゃないんだけどもさ」
「ふ〜ん…」
俺は中居の顔を覗きこむようにしてそう言った。
「俺、けっこう楽しみにしてたんだけどな…」
「ごめん!だから今日のうちに2人で会いたいと思って」
突如、中居が手を合わせて謝ってきた。
そんな可愛い顔して謝られたら何も言えないって。
「中居…いいからこっち見て?」
中居の合わせた手を掴んでそう言った。
すると中居が恐る恐る目を開ける。
そうして中居の目が俺の目を捕えたことを確認して口を開いた。
「その代わり、今夜は思う存分一緒にいよう。な?明日、埋め合わせの必要がなくなるくらいに」
「ん…。ありがと、木村」
中居の口元に柔らかい笑みが浮かぶ。
その唇に、俺はそっと自分の唇を重ねた。
これから2人だけのクリスマスが始まる。
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また、微妙なとこで切ってしまいましたね;
本当はこの先ももうちょっと書きたかったんですが、
なにぶん、時間がなくてですね。。
って言い訳しても仕方ないんですけど。
出来ればこの続きを書き上げて、配布制にでもして送るか、
はたまたお年賀代わりに送るかアップするかしたいな、なんて思ってます。
これも実現出来る保証はどこにもございません(苦笑)
では、感想お待ちしておりますm(__)m
(2003/12/25 HINATA)