an easy problem


「どうすればいいと思う?」

1月も終わりに近づいた頃、剛から突然の電話。

そして唐突な言葉。

「何だよ、突然」

全く見当もつかない中居は答えた。

「いきなり電話してきて、それじゃ意味分かんねぇべ?」

「そうだよね、ごめんね」

「そうだよ。珍しく電話してきたと思えば」

中居は思わず苦笑した。

「ごめんごめん。あのさ、明日、慎吾の誕生日でしょ?」

剛もつられて笑いながら切り出した。

「あぁ、そうだな」

「それで、何すればいいかと思って…」

「何すればって…今まではどうしてたんだよ?」

「今までは…何となく一緒にいたかな」

剛の声が心なしか小さくなる。

「なら、それでいいじゃん。別に特別なことしなくてもさ」

「あ、ごめん。また説明不足」

「何だよ、何かあったのか?」

「いや、今年は2人共忙しくてスマスマの時ぐらいじゃないと会えないんだよね」

今までは毎年どうにか2人で会えてはいたのだが、今年はそうもいかない。ということらしい。

「そっかそっか。忙しいもんな、お前らも」

「うん。で、中居くんに相談」

「そこで何で俺なの?」

訝しげな声を出して中居が聞き返す。

「だって、中居くんと木村くんも忙しいわけじゃない。どうしてるのかな、と思ってさ」

「あぁ、そういうことか…でもわりぃな、意外と会えてるんだよね、これが」

「そうなの?…そっか。」

「お前の時は?」

少し元気のなくなった剛の声に中居が思いついて尋ねる。

「え?あぁ、俺の誕生日ね」

「あぁ。会えたのか?」

「いや…プレゼントとカードが郵送で来たよ」

「郵送か…でも明日、だもんなぁ」

「そうなんだよねぇ。ギリギリになって悩む俺も悪いんだけどさ」

「ならさ、剛」

「ん?」

剛は調子が変わった中居の声に耳を傾ける。

「こうすればいいよ…」

中居は剛にとっておきだぞ、と言ってある方法を教えた。

「それって、中居くんやったことあるの?」

「さぁ、どうかな。でも、俺が教えたことは誰にも言うなよ」

「うん、分かった。ありがとね、中居くん」

「あぁ、じゃあな。頑張れよ」

「うん、またね」

電話を切った剛は一瞬何かを考えるように宙を見つめ、それからニコッと笑った。

そして「よっし」と気合を入れると時計を確認して電話の前に座りこんだ。



そして、時計の針が0時0分を差した時、慎吾の携帯が鳴った。

「もしもし」

「あ、もしもし、慎吾?俺、剛」

「つよぽん?なんか、つよぽんから掛けてくるの久し振りだね」

慎吾の声が弾んでいるのが受話器を通して分かり、剛も嬉しくなる。

「そう?あ、慎吾。誕生日、おめでとう」

「うん、ありがとう。つよぽんが一番乗りだよ」

「だって、時計見てスタンバってたもん」

「本当に?やったね、想われてるぜ、俺」

なんてね、と慎吾が笑った。

剛はまぁね、と返して続けた。

「あのさ、慎吾。俺、プレゼント用意したんだ」

「プレゼント?何くれるの?」

「慎吾が今一番して欲しいこと。何だと思う?」

「えぇ、なんだろう。俺の一番して欲しいこと?」

「うん。慎吾が一番して欲しいこと、というかしたいことというか…とにかく慎吾が望むことだよ」

その言葉に慎吾はちょっとの間目を閉じて考えた。

「う〜ん…俺の今一番したいことは、つよぽんとゆっくり1日デート、かな。難しいけど」

「じゃあ、それに決定」

「え?」

「あのね、慎吾が一番望むことをしてあげたい、と思って。それがプレゼント」

そう、それが中居が剛に教えた秘密の方法。

"そうすれば慎吾が望むことをしてあげられるだろ"と。

「…」

「あれ?慎吾?」

急に黙ってしまった慎吾に不安になった剛が声をかける。

「…ありがと。なんか、嬉しすぎて一瞬言葉が出なかった」

「そんなに嬉しかった?」

「うん。もうね、感激だよ。好きな人にそんなプレゼントしてもらえるなんて」

「よかった。喜んでもらえて。でも、なかなか予定合わないし、随分先になるかもしれないけど」

剛は心の中で中居にそっと感謝した。

「それでもいいよ。もうね、その気持ちに感動」

「じゃあ、時間出来たらゆっくり会おうよ」

「うん、ありがとね」

「また、電話するよ。ちゃんと俺からも」

「うん、待ってる」

「あ、慎吾」

「ん?」

「あのさ…」

「何?」

「…大好きだよ」

これは教えたついでに中居が剛につけた条件。

ちゃんと気持ちを伝えること。絶対喜ぶから。

そう言った中居の言葉を思い出したのだ。

「どうしたの、今日は?あぁ、マジで幸せ。うん、俺も大好き」

「じゃあ…」

照れくさくなったのか、剛の声が少し小さくなる。

「うん、またね。おやすみなさい」

「おやすみ」



数日後。

その日は全員集まる収録日だった。

剛を見つけると、中居はすぐに近づいてきた。

「はよ〜、剛」

「あ、おはよう、中居くん」

「で、どうだったよ?」

「あ、うん。ありがとね。うまくいったよ」

「だろ?で、条件もクリアしたか?」

中居が笑って言った。

「うん、まぁ、ね。でも、かなり恥ずかしかったよ〜」

「あはは。だろうね。俺には出来ないもん」

「え〜?自分に出来ないことやらせたの?ひどいよ、中居くん」

さらっと言ってのけた中居に剛は抗議の言葉をあげた。

「でも、喜んだだろ?」

「うん…喜んでたけどさ」

「じゃ、いいじゃんか」

その言い方に、そんなの開き直りだよ、と剛が頬をふくらませる。

「あ、中居くんもやった方がいいんじゃない?喜ぶよ〜、木村くん」

何を言っても変わらない中居の態度に剛が反撃する。

「いいの、俺はそんなことしなくても」

「なんだよ、それ〜」

また頬をふくらませる剛に笑うと、中居はそのまま歩いて行ってしまった。

その先には木村の姿。

「いいんじゃない、それで。あの2人はさ」

後ろから急に声が降ってきて、驚いて剛が振り返る。

「ゴロちゃん。おはよ」

「おはよう。慎吾はまだ来てないの?」

「うん。今日は遅い入りみたいだよ」

「そうなんだ。実は木村くんも遅いはずだったんだけどね」

「そうなの?」

「おそらく、無理矢理予定合わせて一緒に来たんでしょ、あの2人」

「へぇ…」

剛は改めて2人に視線を戻した。

「だから、いいんじゃないかな、わざわざ電話しなくても」

「あ、そういうことか。…ってなんでそのこと知ってるの、ゴロちゃん…ってあれ?」

既に数メートル先を歩いている吾郎の姿に剛は一瞬呆然として、そして笑った。

「ゴロちゃんらしいな、本当に」

呟いてもう一度笑うと、剛も吾郎のあとを追って楽屋へ向かった。

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なんだか、またダラダラ長いだけの文章に(滝汗)
え〜、1時間弱で仕上げました。
いかがでしょうか?
シンツヨ、あんまり書かないので苦労しました。。
ツヨ語りは難しいので、第三者口調にしてみました。
一応オールメンバー出演。
っても、拓哉さんは何も話してませんが;
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(2004/1/31 HINATA)