Be My Valentine!


ヴァレンタイン・デー。

聖ヴァレンティヌスの命日である。

転じて、現代の日本では恋人、または好きな人にチョコレートを送る日。

ということになっているらしい。

まぁ、実際のところ、お菓子会社の陰謀であることは間違いないだろう。

おかげで毎年悩まされる人が大勢いることも考えてほしい。

世の中、浮かれてられるヤツらばかりじゃないってことも。

俺もその中の1人。

でも、そう言ったら

「中居くんだって浮かれてる1人に入るはずの人じゃないの」

と言われた。

全く。どうして俺の気持ちを分かってくれないんだろう。

確かに俺には恋人と呼べる人がいる。

おそらくあげるべき相手でもあるのだろう。

しかし、正直言って俺はそういう行事がこの上なく苦手だ。

いっそ、「忘れてた」ということにしてしまいたい、ってのが本音だ。

さて、どうしたものか…



「中居?どうした?顔色悪いぞ」

「うわっ、木村!お前いつの間に来たんだよ」

「いつって、今だけど。チャイム聞こえなかった?」

「え?チャイム鳴らした?ごめん考え事してて…」

「考え事?」

「まぁ、大したことじゃないから気にしないで」

「なら、いいけど。悩んでることあるんだったら相談しろよ?」

「うん。大丈夫。サンキュ」



ヴァレンタイン・デー。

聖ヴァレンティヌスの命日。

転じて、現代の日本では愛する人にチョコレートを贈る日。

ということになっているらしい。

実際は、お菓子会社の陰謀というのが本当のところらしいけど。

ちなみに俺には幸い恋人と呼べる人がいる。

正直、その人が「ヴァレンタイン」なんてものを覚えているかどうか怪しいものだけど。

それはそれで寂しいものである。

そんなことをブツブツ言ってたら、

「なら、自分があげればいいじゃない」

なんて言われた。

それもそうだ、と思っていそいそとブラウニーなんか作ってみた。

あとは、あいつの家でいつものように料理するフリして、

生クリーム泡立てて、

お皿に綺麗に飾って…

そんなこと考えてたら、自然とにやけてきた。

さて、あいつはどんな顔するだろう。



「ところでさ、中居」

「ん?」

「これ、食べてみてよ」

「何これ?飯作ってたんじゃなかったの?」

「いいからいいから。今日はヴァレンタインなんだし」

「…」

「何?どうしたの?」

「いや、なんでもない。いただきます」

「どうぞ」

「…うまい」

「だろ?なにせ、俺の愛が籠ってますからね」

「はいはい」



悩む人多き、ヴァレンタイン・デー。

あなたは誰かにあげますか?

あげるなら、一つアドバイス。

案ずるより産むが易し。

悩んでる暇があるなら、さっさと実行にうつしましょう。

そうしないと、きっと後悔しますよ?

ヴァレンタインは恋に悩める人に与えられた絶好のチャンス。

誰かに、時には相手に、先を越される前に愛を勇気に変えて。

チョコレートのような気持ちが溶けてしまう前に。



「木村」

「ん?」

「ありがと」

「どうしたしまして」

「…あの、さ」

「どうしたの?中居」

「その…」

「うん」

「俺、木村のこと好きだから」

「うん」

「ちゃんと、好きだから」

「ありがと。俺もちゃんと好きだよ」

「そのことを、きちんと伝えたかった」

「そっか」

「うん」

「何?もしかしてそのことで悩んでたの?」

「…」

「なんだ。そんなこと、俺とっくに分かってたよ」

「え?」

「いつも、愛されてる、って実感してる」

「しょってるな」

「まぁな」



―でも―

きっと、あなたの気持ちは言葉にしなくても、

あなたが思っている以上に相手に伝わってるものです。

だからそう、勇気を出して。

そうすれば、あなたもきっと…。

愛を込めて―HAPPY VALENTINE!!
           

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HAPPY VALENTINE!でございます。
なんだか偉そうなこと書きましたが、
正直、私自身、ヴァレンタインに告白した経験なんて一度もございません。
恋愛経験の少ない私が恋愛もの書いてるだけでも奇跡です(笑)
ちなみに今年もヴァレンタインの予定はありません(苦笑)
そんな私に「HAPPY VARENTINE」。
ではでは。
(2004/2/14 HINATA)