ジェラシー 〜私だけのあなた〜


 ある晴れた日の曜日。
「ゼフェル様と女王陛下って恋人同士なんですか?」
「ブッ! ゲホッ。ゲホッ。」
 空色の瞳を輝かせて興味津々に尋ねる女王候補アンジェリークの言葉に鋼の守護聖ゼフェルは飲みかけのお茶を思いっきり気管に詰まらせた。
「あ…あの……。大丈夫ですか?」
「ちょ…ちょっと待て。どこをどうやったらそんな質問が出て来るんだ?」
「だって……。あのぉー。守護聖様達って私達をよくデートに誘って下さいますでしょ?」
「ああ。」
 アンジェリークの言葉にゼフェルは頷いた。
「ゼフェル様のお誘いをOKすると次の日必ず聖殿の廊下で女王陛下にお会いして……。その……………。」
「女王に会って……?」
「私の事。酷く哀しそうな顔で見ているんです。」
「はぁあ〜? おめーの事を?」
 アンジェリークの言葉にゼフェルは気が抜けたような声を出して聞き返した。
「はい……。」
「おめーの気のせいじゃねーのか?」
「いいえ。これが私一人だったら気のせいだと思いますけどレイチェルもそうだって言ってたし……。それにゼフェル様以外の守護聖様とデートをした次の日にお会いしても陛下はにこやかに笑ってらっしゃるんですよ。だからもしかしたら? ってレイチェルとこの間、話してたんです。」
「話してたって………。はぁ〜。」
 アンジェリークの言葉にゼフェルは溜息を漏らした。
「……ゼフェル様? どうなんですか? 本当は? 私達の想像通り恋人同士なんですか? だったら…素敵ですよねぇ〜。女王陛下と守護聖様の恋なんて………。」
「……………さぁな。おめーの聞きてー事ってのはそれだったのか? そんなくだんねー話だったら俺はもう帰るぜ。じゃあな。」
「あっ! ゼフェル様。」
 ゼフェルは短く挨拶すると立ち上がり、憮然とした様子でアンジェリークの部屋を出ていった。


「ゼっフェル様っ! 湖に散歩に行きませんかぁ?」
「おっ。レイチェル。おめーかよ。……そうだな。まっ。行ってやってもいいぜ。」
「じゃあ。行きましょうっ!」
 次の日の曜日。
 もう一人の女王候補レイチェルの言葉にゼフェルは先週のアンジェリークの言葉を思い出して一瞬躊躇したものの結局誘われるまま湖へと出かけていった。
「やっぱり此処って気持ちいいですよねぇ。」
「そうだな。」
 湖に着いたレイチェルはそう言って大きく伸びをした。
 そんなレイチェルにつられゼフェルも背筋を伸ばした。
「あっれー?」
「どうした?」
 しばらくしてレイチェルが驚いたような声を出した。
「あそこにいるの…陛下じゃないかなぁ?」
「へっ?」
 レイチェルの言葉に驚いたようにゼフェルが彼女の指さす方向に視線をやると、そこに確かに女王の姿があった。
「何やってんだ? あの莫迦……。あっ!」
 呆れたように自分の姿を見つめるゼフェルに気がついたのか、女王は慌てて森の奥へと姿を消した。
「………レイチェル! 悪りぃ。次の機会があったらそん時にはちゃんと付き合ってやっからよ………。」
「あ…はい。」
 ゼフェルは慌ててそう言うと女王の後を追うように森の奥へと入っていった。
「……………!」
 一人その場に取り残されたレイチェルは我に返ると慌てて公園に向かって走っていった。


「………と言う訳なんですよ。やっぱり私…ゼフェル様を怒らせちゃったと思います?」
「せやなぁ。鋼の守護聖はんはあれで意外とシャイな所があるさかいなぁ。ホンマは周りがあまりつっつかん方がええと思うんやけどなぁ。」
「アンジェリーク〜!」
「レイチェル?」
 日の曜日ごとに公園で店を広げる商人と話をしていたアンジェリークの元にレイチェルが駆け足でやってきた。
「どうしたの? レイチェル。」
「は…早く! 陛下とゼフェル様が………。」
「えっ? 一緒にいるの?」
「多分……。ゼフェル様とワタシ。一緒だったんだけど陛下が森の奥に行っちゃって……。ゼフェル様それを追っかけて行ったの。」
「行くっ! 案内してよ。レイチェル。」
「もちろんよっ!」
「あっ! ちょー待ってや。俺も行くでー。」
 走り出した二人の少女の後を商人が追いかけてきた。
「……商人さん。さっき私にあまりつつかない方がいいって言いませんでした? それにお店の方は良いんですか?」
「それとこれとは話が別や。店の方は気にせんとこ。」
「ほら! あそこよっ!」
 レイチェルが指さす先に大木を挟んで立つゼフェルと女王の姿があった。


「よぉ。何ヘソ曲げてんだよ。」
「そんな事ありませんっ!」
 呆れたようにゼフェルが言うと太い大木の反対側から女王の声が返ってきた。
「だったら姿を見せたらどうなんだよ。」
「いやっ!」
 業を煮やしたゼフェルが動くと女王は捕まらないようにと素早く反対側に回り込んだ。
「………いい加減にしろよな。アンジェリーク!」
「……………。」
 ゼフェルに怒鳴られてもアンジェリークは口を尖らせて黙ったままでいた。
「……! ……………きゃっ!?」
「やっと捕まえたぜ。」
 右側からゼフェルの手が伸びてきたので慌てて左へ回り込んだアンジェリークがゼフェルの腕の中に飛び込んだ。
「ゼフェル様? ……あっ! ずるい……。」
 信じられないと言った顔を見せたアンジェリークは長い木の枝の先につけられたゼフェルの手袋を見て呟いた。
「何がずるいだよ。おめー。何でそんなに怒ってんだ?」
「怒ってなんかいません。……きゃっ。」
「この顔のどこが怒ってねーってんだよ。」
 口を尖らせて横を向いたアンジェリークの両頬をゼフェルは軽く摘んだ。
「えっ? どうなんだよ。この顔のどこが怒ってない顔だって言うんだ?」
「い…痛い。……止めて下さい。ゼフェル様。」
 ゼフェルの手を払ったアンジェリークが拗ねたように上目遣いでゼフェルを見た。
「………? 何だよ?」
「私なんかに構ってないで……。早くレイチェルの所に戻ったらどうなんですか?」
「何だよ。そりゃ………。」
「だって…ゼフェル様。デートしてたじゃないですか。レイチェルと。鼻の下伸ばして……………。」
「俺がいつ鼻の下伸ばしてたよっ!」
「いつも伸ばしてるじゃないですか。アンジェリークといる時もレイチェルといる時も……………。」
 言いながらアンジェリークが涙目になる。
「………おめー。なに涙まで浮かべてんだよ。」
 カァーッ。
 呆れたようなゼフェルの言葉にアンジェリークが真っ赤になる。
「……よぉ。なに泣く事があるんだよ?」
「し…知りません! ……ゼフェル様の莫迦っ!」
「あっ! おい。アンジェリーク。」
「……アンジェリークじゃありません! 女王です!」
ゼフェルの手を振りきり聖殿へと走って戻る女王の姿をゼフェルは呆然と見送った。


「……やっぱり恋人同士なんだね。」
「そうだね。それも女王陛下の方がゼフェル様を…って感じじゃない?」
「ええなぁ。羨まし。俺もあないに想うてくれる娘が欲しなぁ。痛っ!」
 ポツリと呟いた商人がアンジェリークにつねられて小さく悲鳴を上げた。
「私がいるのに……?」
「あー。せやったな。けどなぁ。鋼の守護聖はんもニブいお人やなぁ。」
「そうですよね。何で判らないんだろう。見てるだけでこっちは判ったのに………。」
「これからどうなるんだろうね?」
「まぁ。なるようにしかならんやろなぁ。」
 茂みの中に身を潜め事の成り行きをたたずを飲んで見つめていた三人は、とぼとぼと聖殿に向かっていくゼフェルの背を見送りながら呟いていた。


「ゼフェル様! 陛下に何をなさったのですか?」
「へっ………?」
「………ロザリア様?」
 湖の奥での出来事があったその翌日。
 アンジェリークに育成を頼まれていたゼフェルの元に女王補佐官ロザリアが怒った様子でやってきた。
「何…って? あいつがどうかしたのか?」
「どうしたもこうしたもありませんわ。お部屋に鍵をかけてしまわれて……。どんなに声をかけても返事をしてくださらないんです!」
「………嘘だろ?」
「……ゼフェル様。私が冗談でこんな事を言うと本気で思ってらっしゃるんですの? それに! 外をご覧になって下さいませ。」
「……………げっ!」
 ロザリアに言われて外を見たゼフェルがギョッとする。
 いつも青空だった聖地の空に真っ黒な雲がどんよりと立ち込め今にも雨が降りそうな気配であった。
「わぁー。聖地でこんな天気なんて私…初めてです。」
 ゼフェルと並んで外を見ていたアンジェリークが感心したように呟いた。
「お分かりになりまして? ゼフェル様。……以前と同じような事態を招くおつもりですの?」
「………ロザリア様? この天気とゼフェル様が何か関係あるんですか? それに以前って……?」
 ロザリアの言葉にアンジェリークは首を捻って不思議そうに尋ねた。
「……アンジェリーク。そうね。あなたは知らないのですものね。この聖地ではね。陛下の御機嫌で天気が左右される事があるのですよ。以前、陛下とゼフェル様が些細な事で仲違いをされた事があったの。その時、聖地では二ヶ月近く雨が降り続いたのですよ。」
「に…二ヶ月ですか?」
「ええ。ゼフェル様が折れて陛下に謝りにいって何とか治まったの。………ゼフェル様? 陛下の御機嫌の悪くなる原因はあなた様以外にありませんのよ? 一体今度は何をなさったのですか。」
「……何もしてねーよ。」
「ゼフェル様っ!」
「ホントだって! 昨日、レイチェルの奴に誘われて湖に行って……。何だか怒ってるみたいで話をしてる最中にヘソ曲げて行っちまったんだよ。」
「……………。とにかく。何とかして下さいませ。」
「何とかったって………。仕方ねーな。とにかくあいつンとこ行ってみっからよ。」
 深い溜息を漏らすロザリアと共にゼフェルは女王の私室へと歩いていった。


「よぉ。女王! ここ開けろってばよ。話があんだよ。」
 女王の部屋の前まで来たゼフェルは何度となく扉を叩き中にいる女王に声をかけた。
 しかし中からは一切返事が返ってこなかった。
「…ったく。しょーがねー奴だな。」
 いくら呼びかけても物音一つしない室内の様子にゼフェルは頭をかいた。
「ゼフェル。今、王立研究院の方へ行ってきたが二人の女王候補の育てている新しい宇宙の安定度がこちらの宇宙の影響でどんどん下がっているそうだ。このままでは折角誕生した星々もいずれ壊滅してしまう。そうなる前にこの事態を何とかせねばならぬぞ。」
「ンな事、俺に言われたってなぁ……。」
 光の守護聖ジュリアスの言葉にゼフェルは渋い顔をして見せた。
「それでは済まされぬ事態なのだぞ。ゼフェル。陛下の御機嫌を損ねたのがそなたならこの事態を解決できるのもそなたなのだからな。」
「判ってるよ。その位………。」


「ねぇ。ゼフェル様。原因判ってると思う?」
「ううん。絶対! 判ってない。」
 レイチェルとアンジェリークの二人は遠巻きに女王の部屋の前にいるゼフェルとジュリアスの会話を聞いていた。
「教えてあげた方が良いよね。」
「そうね。折角生まれた星が壊れたら大変だものね。」
 二人は互いの顔を見合わせて頷くとゼフェルに近づいていった。


「……! レイチェル! アンジェリーク! 何をしているのだそなた達。部屋に戻るように言った筈だが?」
「すぐに戻りまーす。ゼフェル様に一言だけ伝えたい事があるんです。」
「俺に?」
「はい。」
 二人の女王候補の姿を見つけたジュリアスが眉を吊り上げたが、そんなジュリアスを気にする様子もなく二人はゼフェルに近づくとそっと耳打ちをした。
「女王陛下は羨ましかったんですよ。私達がゼフェル様と一緒にいるから………。」
「ゼフェル様。陛下とお会いする時、女王と守護聖としてしか会ってらっしゃらないでしょう。いくら両想いでもたまには愛してるって口に出してあげないと。」
「不安なんですよ。女の子って……。」
「女王試験が始まってからそう言う事ずっと疎かにしてませんでした?」
「そんなんじゃどんな女の子だって怒りますよ。」
「……………。」
 そんな言葉に絶句しているゼフェルを余所に二人の女王候補はにっこりと笑顔を見せた。
「それじゃあ! ゼフェル様。期待してますから頑張って下さいね。」
「私達が育ててる新しい宇宙のためにもしっかり陛下の御機嫌直して下さいね。」
 二人はそんな言葉を残して寮へと帰っていった。


「……………。」
「……ゼフェル?」
「ゼフェル様?」
 押し黙ったままのゼフェルにジュリアスとロザリアが怪訝そうに声をかけた。
「……ジュリアス。ロザリア。」
「な…何だ?」
「おめーら二人。あっち行ってろ。俺かあいつが部屋から出てくるまで誰も近づくな。いいな! 絶対だぞ。」
「な…何を言って……………。」
「………分かりました。ここはゼフェル様にお任せ致します。たとえ中で陛下が助けを呼ばれても誰も近づかないように致しますわ。ですからゼフェル様。陛下の事…お願い致しますね。」
「ロ…ロザリアっ!?」
「良いんですのよ。ジュリアス様。」
 にっこりと笑顔を作ったロザリアは未だ渋るジュリアスを促して女王の部屋から離れていった。
「さて…と。」
 ゼフェルはポケットの中から携帯用の工具セットを取り出すと扉に手を掛けた。


「………ゼフェル様の莫迦。どうせ私は女王ですよ。気軽に守護聖様達に会っちゃいけない存在ですよーだ。でも…だからって何も新しく来た女王候補の娘達とベタベタしなくたって………。」
「俺がいつベタベタしてたってんだよ。…ったく。」
「ゼ…ゼフェル様? どうやって……?」
「莫〜迦。俺に開けられない扉があると思ってんのか?」
 いつの間にか自分の部屋の中にいたゼフェルの姿に女王が驚いたように目を丸くした。
「な……。で…出てって下さい! 人を呼びますよ。」
「呼ぶんなら呼べよ。どーせ誰も来ねーからよ。」
 そう言ってゼフェルが一歩前に踏み出すと女王は一歩後ずさった。
「………アンジェリーク。何で逃げるんだよ?」
「だって…ゼフェル様が近づくから……。……ゼフェル様は女王候補の娘達の所にでも行けば良いじゃないですか。………嫌い。ゼフェル様なんか大き……………!」
 叫びかけたアンジェリークは素早く自分に近づき唇を塞ぐゼフェルにきつく目を閉じた。
「ん……う…ん……。」
 息も止まるほどの激しい口付けにアンジェリークの身体から力が抜けた。
「………アンジェリーク。おめーが好きだ。」
 ゆっくりと唇を離したゼフェルがアンジェリークの頬にかかる金色の巻き毛を撫でながら耳元で囁いた。
「う…嘘……。」
「何で嘘だと思うんだよ?」
「だって…ゼフェル様………。」
 ゼフェルの肩に頭を乗せたままアンジェリークが言いよどんだ。
「言って見ろよ。何で俺がおめーを好きだってのが嘘なんだよ。」
「だって……。ゼフェル様…レイチェルやアンジェリークと……………。」
 言いかけて瞳に涙を浮かべるアンジェリークにゼフェルは深い溜息をついた。
「……………。俺はおめー以外の奴に好きだなんて言った事ねーぞ。それによ。女王候補と仲良くしろっつったのはおめーだろ? 仕方ねーからあいつらに付き合ってやってんのに。何だよ。その言いぐさは……。えっ?」
「で…でも。ゼフェル様…とっても楽しそうで……。だから…私の事なんか……………。」
 耐えきれず涙を零すアンジェリークの瞳にゼフェルが優しくキスをした。
 瞼に優しく触れるだけのキスをするゼフェルにアンジェリークの身体がピクンと震えた。
「おめーが好きだ。アンジェリーク。おめーだけを……。ホントだったらこのままさらってって俺の家に閉じ込めておきてぇ……。俺以外の奴等の目の届かない所に閉まって俺だけのモンに……。でもよ。そんな事…出来る訳ねーだろ。おめーは女王なんだからよ。おめーにも俺にもまだまだ残っているこのクソ忌々しいサクリアがある限りよ。」
「……サクリアがある間は一緒にいる事は出来ないの?」
 抱きしめるゼフェルの背に自らの手を回したアンジェリークが小さな声で尋ねた。
「………やっぱマズイんだろうよ。女王と守護聖でくっついちまうのはよ。」
 そう言ってゼフェルは苦笑した。
「白状するとよ。おめーが女王に就任する前日の晩。俺…おめーをさらっていこうと思ってたんだ。だけどオスカーやらランディやら……。マルセルやルヴァまで俺の事を一晩中監視してやがってよ。……他の奴等にはバレバレだったんだよ。俺がおめーに惚れてるって。……必死で隠してたつもりだったんだけどな。判ったか? アンジェリーク。おめーはよ。レイチェルやアンジェリークにやきもちなんてやく必要ねーんだよ。機嫌直せよ。なっ。」
 自分の頭を撫でながら笑顔を見せるゼフェルにアンジェリークはコクリと頷いた。
「よし。だったら…俺はもう行くからな。外でロザリアが心配してっぞ。……………ん?」
 名残惜しそうにアンジェリークから離れ扉へ向かおうとしたゼフェルのマントをアンジェリークが掴んだ。
「……あの…あのね。………行かないでほしいの。今日は…今日一日位、私の所にいてほしいの。」
「………おめー。自分で言ってて判ってんのか? 我慢してた分、歯止めが利かねーぜ。」
「いいの! どうなっても。……ゼフェル…大好きっ!」
「アンジェリーク……………。」
 抱きついてきたアンジェリークをゼフェルはきつく抱きしめた。


「ん……。うん………。」
「よっ。目、覚めたか?」
「ゼフェル様!? あ……………。」
 翌朝ベッドの中で目覚めたアンジェリークは目の前にいるゼフェルの顔を見た途端、顔を真っ赤にして布団の中に潜り込んだ。
「莫〜迦。今更なに恥ずかしがってんだよ。」
 そんなアンジェリークをゼフェルは抱き寄せた。
「だって……。」
「………あのよ。夕べはすげぇ可愛いかったぜ。アンジェリーク。……………あ…愛してる。」
「えっ? んっ……。」
 小さな呟きに驚いたようにゼフェルを見たアンジェリークは唇を塞がれて静かに瞳を閉じた。
「………アンジェリーク。よく覚えておけよ。俺が……。あ…愛してるなんて言葉使うのも……。こうしたいって思うのも……。皆おめー一人だけなんだからな。」
 長い口付けの後でゼフェルは顔を真っ赤にさせてアンジェリークに囁いていた。


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