リン除去装置付き家庭用浄化槽を日本で初めて開発

フジクリーン工業(株)(本社 名古屋、社長 渡辺嘉一)は、リン除去装置を組み込んだ家庭用浄化槽を三洋電機(株)と共同で開発しました(特許出願中)。この装置を組み込んだ高性能家庭用浄化槽CRX型(BODだけでなく窒素、リンも除去できます)は、建設大臣型式認定を既に取得し、補助金対象浄化槽としての商品化に向けて実証実験中です。


[1]家庭用リン除去装置について
 (1) 開発の背景
排水中のリンは、東京湾や琵琶湖などの閉鎖性水域を富栄養化させ、赤潮や水の華を引き起こすなど、水域環境を著しく悪化させます。このリンは、工場排水よりもむしろ、家庭からの生活排水から多く排出されているといわれ、その適切な処理が強く望まれています。しかしながら、従来のリン除去システムには大型廃水処理施設に適したものが多く、生活排水を処理する家庭用浄化槽に適した、小型でメンテナンスが容易なものはありませんでした。
そこで、三洋電機(株)が開発した鉄電解法を応用した家庭浄化槽用のリン除去装置の開発に成功しました。この装置を組み込んだ高性能小型合併浄化槽CRX型は、排水中のリンを80%以上除去することが可能です。
 (2)
鉄電極を用いたリン除去のメカニズム
水に浸した2枚の鉄板に直流電流を流すと、プラス側の電極(陽極)から2価の鉄イオン(Fe2+)が溶け出します。この2価の鉄イオンは、水中の溶存酸素(02)により酸化されて、3価の鉄イオン(Fe3+)に変わります。さらに、水中のリン酸イオン(PO43−)と反応して、不溶性のリン酸鉄(FePO4)となり沈殿します。この沈殿物を取り除くことで、排水中のリンを除去することが可能となりました。
リン除去メカニズムの模式図
〈リン除去メカニズムの模式図〉
 (3) リン除去装置の概要
リン除去装置は鉄電極と制御ボックス、および中継ボックスで構成されています。
鉄電極は、浄化槽の担体流動生物濾過槽内に浸漬されています。
制御ボックスは、鉄電極に一定の直流電流を流す他、鉄電極表面に酸化膜が発生するのを防止するため、極性変換を1日1回行います。
中継ボックスは、鉄電極と制御ボックスをつなぎます。
リン除去除去装置構成図
〈リン除去除去装置構成図〉


[2]リン除去装置を組み込んだ高性能合併処理浄化槽(CRX型)の概要
 (1) 処理能力
放流水のBOD 10mg/リットル以下
放流水のSS 10mg/リットル以下
放流水のT-N 10mg/リットル以下
放流水のT-P 1mg/リットル以下
 (2) 処理方式
流量調整型嫌気濾床・担体流動生物濾過循環方式にリン除去装置を加えた方式
 (3) 処理対象人員
5人、7人、10人
フローシート図
〈フローシート図〉

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