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高血圧治療 理解深めよう


 ◆「降圧薬飲まないと脳卒中」医師の言葉にも疑問も

 高血圧症の人は3000万人と言われ、血圧に一喜一憂する人は多い。脳卒中や心筋梗塞(こうそく)にならないためというのが高血圧治療の目的だが、「薬を飲まないと脳卒中になる」と医師の言葉を受け止めるとすれば、それは正しくはない。データを基に高血圧の治療について理解を深めたい。

写真
高血圧治療の論文の読み方を研修医に指導する名郷直樹さん(左から2人目。横須賀市立うわまち病院で)

 神奈川県横須賀市の市立うわまち病院研修センター長の名郷直樹さん(42)の医師人生は、自治医大を卒業後に赴任したへき地診療所でのとまどいから始まった。

 患者には高齢者が多い。72歳の男性は最高血圧が170と高かった。両親ともに脳卒中で寝たきりになったので、自分も心配だという。そんな患者に積極的に降圧薬を出していた。数年を経てわかったのは、薬を飲んでいて脳卒中になる人もいれば、血圧が高くて薬を飲まずに元気な人もいるということ。

 「高血圧治療にはどんな意味があるのだろう」と確信が持てなくなってきた。大学に戻ったり、愛知県のへき地診療所で患者と付き合ったりしながら、国内外の研究報告を読み、診療の意味を考えてきた。

 日本での高血圧治療の指標となる、「高血圧治療ガイドライン2000年版」に使われているのが、別表の数字だ。降圧薬を飲んでいる人は脳卒中のリスクが38%減り、心筋梗塞など虚血性心疾患のリスクは16%減るとある。こうしたデータが治療の根拠になる。

 「しかし」と名郷さんは考えた。「患者さんは一般論ではなく、この薬を飲むことで、自分の脳卒中が予防できるかどうかが知りたい。ところがそれはわからないんです」と医師としての悩みを明かす。

 治療の根拠となる数字も別の見方ができる。100人の高血圧患者が治療をしないでいると、5年間に3・5人が脳卒中になる。薬を飲んでいても、2・2人はやはり脳卒中になる。その差は100人で1人。「治療をしようとしまいと、ほとんどは脳卒中にはならない」と名郷さん。だから、「薬を飲まないと、脳卒中になる」という脅かすような言い方は、正しくはない。

 5年間で100人に1人が薬で救われる。日本の高血圧症患者3000万人を母数にすると、30万人が脳卒中になるかどうかを左右する計算になる。国を挙げて、降圧治療を勧めることには十分な理由がある。一方で、自分にとって、治療が意味を持つのかどうかはわからない。

 名郷さんは「血圧を下げるほど脳卒中が起こりにくいのは確か。かといって、血圧に過剰に神経質になる必要もありません。数字の意味を冷静に受け止め、糖尿病、肥満、喫煙など他の危険因子についても気を配って下さい」と話している。(渡辺 勝敏)

 【高血圧について統計的に言えること(名郷直樹医師監修)】

 ■降圧薬治療を受けないと5年間に、最高血圧160以上の人の3%、140以下の人の1.5%が脳卒中になる。

 ■最高血圧160以上の人が降圧薬を飲むと、脳卒中になるのは5年間に2%と、放置した場合よりも100人当たり1人減る。

 ■最高血圧180以上の重症高血圧症の人が降圧薬を飲まないと5年間に10%、飲んだ場合も7%は脳卒中になる。

 ■1錠約10円の薬(利尿薬)と約100円の薬(カルシウム拮抗(きっこう)薬など)で、脳卒中や虚血性心疾患の予防効果に大きな違いはない。

 ■脳卒中になった人の実数は、高血圧の人よりも、正常血圧から発症する人の方が多い。

 
降圧治療による脳卒中、虚血性心疾患に対するリスクの低下
(海外の17の臨床試験から)
  薬あり(対象23,487人) 偽薬(23,806人) リスクの低下
脳卒中 525人(2.2%) 835人(3.5%) 38%
虚血性心疾患 934人(4.0%) 1104人(4.6%) 16%
(「高血圧治療ガイドライン2000年版」より)

 降圧薬を飲んだグループと、薬効のない偽薬を使ったグループ(患者数はいずれも2万3千人余)を、約5年間経過観察した結果を整理した。偽薬では835人が脳卒中になったのに対し、降圧薬を飲んでいるグループでは525人だった。危険率という言葉を使うと「薬を飲むと危険率が38%下がる」という表現になり、治療に大きな効果があるという印象を受ける。脳卒中よりも虚血性心疾患が多いのは欧米人の特徴。

 (2003年9月24日 読売新聞 無断転載禁止)


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