召命祈願日
神に応える「1つの形」
今、修道生活を志す人々
復活節第4主日は召命祈願日(ことしは5月2日)。司祭・修道者への召命が少ない中、複数の女子修道会が合同で志願者、修練者の養成を続けている。今、修道者になろうとする人はどのような思いから修道生活を志し、養成を受けているのだろうか。4月14日、東京・千代田区のシャルトル聖パウロ修道女会で行われた「合同修練」で、参加者たちに聞いた。 |
今年度前期の関東地域の合同修練には、16の修道会から、志願者、修練者25人が参加している。合同修練では月に1度、その人たちが修道会の枠を超えて共に神学や聖書学などを学び、一緒に昼食をとる。各期に1度は合宿を行い、自分自身を知るための心理学的なプログラムも実習するという。
「私の会では修練者が自分1人なので、ここで毎月、同じような人たちに会って話し合ったり、一緒に成長していけるのは恵みだと思います」と話すのは聖マリア修道女会修練者の小田切千惠子さん(42)。小田切さんは小学校の教諭を務めた後、同会に入会した。
福音史家聖ヨハネ布教修道女会志願者の柳沢しのぶさん(46)も、22年間、知的障がい者のための施設で働いた後、修道生活を志した。「職場は温かくて、そのまま仕事を続けるのも素晴らしい生き方だと思っていましたし、年老いた両親のことも考えました。でも本当に神様だけを中心にする生き方がしたいという気持ちがどんどん膨らんで…」。両親は信者ではないが、「今の私の幸せそうな姿を見て安心してくれています」。
聖心の布教姉妹会修練者の菅原貴子さん(29)は「昔はシスターたちを見て、『真っ黒い服を着て、何が楽しくて生きてるんだろう』と思ってました。まさか自分がなるとは…」と笑顔で語る。「結婚しようと思ってたんです。でもある時、自分みたいな者でも神様がギュッと抱き締めてくださっていることを感じたら、もうそれに応えて生きるしかないって思ってしまって…」
ベトナム人のグェン・チュウさん(33)はキリスト・イエズスの宣教会志願者。母国で日本の衣料メーカーの縫製の仕事をしていたが、研修で日本に来た時、病気になり、「その時、シスターたちにとても親切にしていただいた」ことが志願するきっかけになった。
勤務先の印刷所へ行く途中に教会があったことからキリスト教と出合い、召命黙想会に参加して「こういう生き方もあるんだ」と感じたと話すのは聖ウルスラ修道会修練者の佐藤かおりさん(28)。一人っ子だが、「父は『自分の選んだ道ならば』と言ってくれました」。
修道者の高齢化と減少傾向に不安を感じたことはないか聞いてみると、「シスターになること自体が目的なわけじゃないから…。神様が望んでいらっしゃることをしたいだけで」という返事が、援助修道会修練者の須賀久美子さん(35)から返ってきた。須賀さんは「(修道生活は)1つの形。自分がほかの人より信仰が深いわけじゃないし、信徒の中で立派な人は山ほどいる。むしろいつも自分の弱さを受け入れるのが大変…。そういう日常の中で神様に話し掛けながら、今、信仰の根っこを太くしている感じ」と話す。聞いていた皆がうなずいた。
「神様とつながっているひもを切ってしまうのはいつも自分の方。それを何度も結び直す。結ぶとひもは短くなって神様との距離が縮まる。回心の繰り返しです」と小田切さん。
「そんな自分でも愛してくださる、神様の限りない愛にただ応えたいだけ。神様との出会いがすべてです」と、黒川智恵子さん(26/聖心侍女修道会志願者)が続けた。