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小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会
第4回総会・本田宏先生講演会記録

挨拶する守月会長●日 時:2009年6月13日(土)16:30-18:30

●会 場:TKP銀座ビジネスセンター4階4C
(東京都中央区銀座6-17-2ビルネット館2号館)
  
次 第

司会:高橋克典
会長挨拶 守月 理(会長) 16:30~
活動報告 藤塚 主夫(副会長)
会計報告 同上
今後の方針 九鬼 伸夫(事務局長)
弁護団より  岩崎 政孝弁護士/川人 博弁護士 17:15~
講演「医師の過重労働を軽減し医療崩壊を防ぐには」
            本田 宏先生  17:30~
原告挨拶 中原のり子

●報 道
総会の模様は、m3.comの2009年6月15日配信の医療ニュース(MR君:橋本佳子・m3.com編集長)で下記のように報道されました。
忠実な報告ですので、了解を得て全文を引用紹介します。

   「最高裁の扉が開くか、小児科医過労死裁判で5500人強の署名」

  小児科医だった故中原利郎氏(1999年当時44歳)がうつ病が原因で過労自殺し、病院に損害賠償を請求していた裁判で、東京高裁でも一審と同様に請求が棄却されたことは当サイトでも昨年10月に取り上げました(『<http://www.m3.com/iryoIshin/article/87234/> 「医師の過重労働の放置につながる判決」、小児科医の過労死裁判』)。11月4日に遺族は最高裁判所に上告受理の申立をしています。

  過酷な勤務環境にある医師および医療者のこの裁判に対する関心は高く、「小児科医師・中原利郎先生の過労死認定を支援する会」が活動を展開していますが、同会の第4回総会が6月13日開催され、その後の状況が報告されました。

  労災保険の適用については、2007年3月の東京地裁判決で認定されています。しかし、10月の東京高裁判決では、業務は過重であり、うつ病発症との因果関係は認められるとしながらも、使用者である病院の安全配慮義務違反等はないとしました。両判決の相違を問題視する声は少なくありません。

  現時点では、まだ上告受理の申立が認められるかどうかが分からない段階にあります。このため支援する会は、(1)上告受理申立を認めるよう求める署名活動、(2)判決に関する抗議の声を集める活動、(3)「いのちを守る」という特製ボールペンを作成し、医師の過重労働を広く知ってもらうための活動、の3つを展開しています。署名等は毎月最高裁に提出しており、その数は5月末時点で5562人分に上っています。

  「2月には裁判等の記録が、最高裁の第二小法廷に送られた。調査官が記録を調査し、場合によっては主任裁判官の検討まで進んでいるかもしれない。上告受理申立が受理されるかどうかは、早くて3カ月程度、場合によっては1年以上かかることもあり、どの程度かかるかは予測できない。今回の裁判は、マスコミのほか、国会でも取り上げられ、署名も集まっている。最高裁には、この裁判には非常に重要な問題が含まれているという認識の下に、審議を行ってもらいたい。結論が出るまでは、常識的に考えても高裁判決はおかしいという旨を弁護団として伝えていく。また署名等を届けることによって、最高裁の扉を開けたい」。代理人の一人、岩崎政孝氏は、こう語りました。

  同じく代理人で、労働問題に詳しい弁護士の川人博氏は、今後の争点を次のように説明しました。
  「恐らく、最高裁は次の2点を考えているのだろう。第一は、労災保険を支給すれば、それで十分かどうかという点。東京高裁の裁判官は、それで十分だと考えた。ここ1、2年、特に東京高裁を中心に、労災保険の適用だけでいいのではないか、使用者の責任までは問わなくていい、という動きが急速に強まっている。その象徴的な判決が今回の中原さんの東京高裁判決。このことについてわれわれは今、正面から最高裁に問いただしている。労災保険の適用は当然。さらに、経営のあり方が本件において適切だったのかどうかということを真剣に正面から考えていただきたい。この点まで考えに入れて検討するのか、あるいは高裁判決を追認する形で終わってしまうのか。

  第二は、この4月には、奈良で産婦人科医が提訴した裁判で、宿直時間全体を時間外勤務時間として認める画期的な判決が出たという点。
(『<http://www.m3.com/iryoIshin/article/95777/> 「宿直」扱いは違法、奈良地裁が時間外手当支払い求める』を参照)
医師にあまりに過重な労働を強いてきた反省から、様々な形で裁判所や厚生労働省に変化が出てきた。中原さんの裁判では、まさに宿直の過重性が問題になっている。こうした流れの中で、医療現場の労働環境改善のために、高裁判決を見直す必要があるかどうかを検討していただきたい」

  「労災関係で損害賠償請求を求めた裁判で、高裁判決の結論が最高裁で覆った一番近い例に、2000年の『電通過労自殺事件』の判決がある。今回はそれに続く結論を導きたい」(岩崎氏)。この裁判を担当したのが、川人氏です。

  「本会の会報は折に触れて出してきた。次は上告受理申立が認められるか却下かのタイミングになるだろう。受理されるよう、ぜひとも皆様の声を本会にお寄せいただきたい」(支援する会・事務局長の九鬼伸夫氏)。結論が分かりましたら、またご報告します。
  (m3.com 2009/6/15)

●講 演
 「医師の過重労働を軽減し医療崩壊を防ぐには」
 
本田 宏先生
(済生会栗橋病院副院長・医療制度研究会副理事長)
 
 
  講演には、次のような感想をいただいています。
 「初めて医療系の講演を聞き本田先生のお話は、軽快で聞きやすく素人にも解かり易かった」
 「中原利郎医師の死の背景に、日本の医療の構造的な問題があるということが理解できた」
 「非常に重いテーマを30秒に1回笑わせる勢いでお話されていまして、日本のお医者様が一人8役くらいの仕事をされている事実をきみまろ顔負けというほど面白おかしく説明されていて、3分でファンになりました」

 当日会場で配布した本田先生作成の講演要旨を、こちらからお読みいただけます→クリック

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