〜FINAL FANTASYシリーズ〜

【眩 惑】

 

愚かな、夢を、見た。

あいつらと、楽しそうに過ごしていた、あの日を。

 

あいつらの屈託のない笑顔。

オレは、今さらながらに思い出してしまった。

 

オレたちが、何の障害もなく、一緒に過ごしていた暖かい時間。

オレは、今さらながらに思い出してしまった。

 

長い微睡みのなかで見た、愚かな夢。

 

それを、再び見たいと訳もなく思った。

総てを一時停止させても、もう一度見たいと、思ってしまった。

 

でも、それは二度と振り返ってはいけない、眩惑の楽園。

手にすることの最早叶わない、自ら捨て去った穏やかな日々。

 

二度と振り返らないと自分で定めたがゆえに、心の片隅に何時までも残される優しい欠片。

 

本当に、愚かな夢を、見た。

 

あいつと最後の決着をつける刻が目前に迫っている。

そんな時だというのに・・・。

 

オレの心が生みだした、愚かしい未練。

 

愚かな、大切な、夢。

 

頬を伝い落ちる何かを、オレは感じていた。

 

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