〜FINAL FANTASYシリーズ〜

【幽 遠】

 

穏やかな、夢を、見ました。

あの人と、あの子たちと、一緒に笑っていた、あの日を。

 

あの人の慈愛に満ちた微笑み。

あの子たちの無邪気な笑い顔。

今でも、私は思い出すことができます。

 

私たちが、過酷な運命を知らず、一緒に暮らしていた穏やかな時間。

それを、私は思い出すことができます。

 

ほんの僅かに支配から逃れ得た時間のなかで見た、穏やかな夢。

 

それを、私は取り戻したいと思っているのです。

自分という総てを犠牲にしても、それを取り戻したいと、強く思っているのです。

 

でも、それは恐らくこの手に戻ることのない、幽遠の時間。

取り戻すことの最早叶わない、喪われてしまった優しい日々。

 

運命という残酷な楔で切り裂かれてしまったからこそ、かけがえのない優しさを纏った大切な思い出。

 

本当に、穏やかな夢を見ました。

 

あの子たちと闘わなくてはならない。

そんな時だというのに・・・。

 

私の心がもたらした、消し去ることのできない悔恨。

 

穏やかな、大切な、夢。

 

頬を伝って滑り落ちる涙を、私は感じていました。

 

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