(目の前にある扉を貴女は軽くノックしましたが、返事はありません)
君!
ああ、ごめんごめん。
今、鍵を開けるから、ちょっと待っててくれないかな?
これでよしっと。
ようこそ、俺の執務室へ!
今日君が来てくれるってディアさまからちゃんと聞いていたんだけど・・・。
ちょっと時間に遅れちゃったね、ごめん。
ゼフェルの奴がまた妙なことをしでかしたんで、俺、それを止めてたんだ。
って、こんなの君を待たせちゃった理由にはならないよね。
本当にごめん。
あ、そっちにあるソファに座ってくれるかい?
今、お茶を持ってきてもらうから。
誰か彼女にお茶をお願いします。
お茶請けに何か希望あったら遠慮なくいってくれよ。
そうそう、自己紹介がまだだったね。
俺は風の守護聖ランディ。
君は?
ふ〜ん、 っていうのか。
羽のように軽やかな名前だね。
うん、君にとっても似合っているよ。
えっと、ディアさまから君の質問にはすべて答えるよう言われたんだけど・・・。
俺に何が聞きたいんだい?
え?
ゼフェルが何をしていたか知りたいって?
。
君って、好奇心旺盛なのかな?
えっと、ゼフェルが何をしていたかって話だったよね?
あいつさ、この間、マルセルが大切にしてた花壇、滅茶苦茶にしたことがあってさ。
勿論、その時にしっかりマルセルにきちんと謝らせたんだけど。
で、その時のこと、あいつなりに気にしてたらしいんだ。
だからそのお詫びの印にってことだと思うんだけど、妙なメカを拵えたんだよね。
まあ、そこまではよかったんだけどさ。
でも、あのゼフェルが作ったやつだろう?
最初はとっても調子よく花壇に花の苗を植えてたんだけど、突然暴走しちゃって・・・。
結局、俺が何とかメカを壊して止めたんだ。
折角ゼフェルが作ったものを目の前で壊すなんて、俺、やりたくなかった。
でも、あのままほおっておいたら、みんなにもっと迷惑をかけてたに違いないんだ。
ねえ、 。
君だったらこんな時、どうする?
勿論、俺は自分で最善な方法を選んだつもりだよ。
でも、君だったら俺とは違う方法を選べたんじゃないかな?
後学のために聞かせてくれないかい?
ふ〜ん。
そうか、君だったらそうするんだね。
なるほど!
あれ? 。
どうしたんだい?
あ、俺の話、もしかして面白く・・・ないのかな。
え?
そんなことないって?
はは、ありがとう。
やっぱり君ってば優しいんだね。
あ、お茶のお代わりいるかい?
そうそう、 。
君、俺に会いに来る前にジュリアスさまとクラヴィスさまのところに行かれたんだよね?
お二人について、君が感じたことを話してくれないかな?
え?
だめ?
どうしてだい?
ああ、そっか。
今日は君が俺に質問をするんだったよね。
う〜ん、失敗。
じゃあ、 。
次に君の聞きたいことって何?
オスカーさまとの剣の稽古はどうかって?
やっぱり君もオスカーさまのことが気になるのかい?
女の人ってみんなあの方が気になるみたいだし・・・。
え?
違う?
俺がどんな風に稽古しているか気になっただけだって?
ごめんごめん。
俺ってばすっかり早とちりしちゃって・・・。
、君を傷つけるつもりはなかったんだ。
俺、失礼なこと聞いちゃったね。
本当にごめん。
だから、そんな顔をしないでくれよ。
俺まで悲しくなっちゃうだろ?
君を傷つけたことはこのとおり謝るから・・・。
もう、機嫌を直してくれないかな?
今日のお詫びの印に、今度お茶でも一緒に飲みに行こうよ。
君の好きなもの、好きなだけ頼んでくれて構わないから。
そう、俺の奢りだよ。
え?
お茶に行くのはいつがいいかって?
俺はいつでもいいよ。
ただし、執務中はダメだよ。
俺がジュリアスさまに怒られちゃうからね。
あ、笑ったな?
本気で怒ったあの方はとても怖いんだよって・・・。
その目つき、全然信じてくれてないね。
まあ、それはさておき。
ねえ、 。
俺、君とお茶に行けるのを楽しみにしているよ。
君の都合がいい時に、君の気が済むまで何回でも。
俺、君と一緒にお茶に行くから、さ。
その時には、 。
俺にだけ微笑んでくれるかい?
今度君に会える日を楽しみにしているよ。
じゃ、また!
END