【執務室へ行こう!〜オリヴィエ編〜】

 

(目の前にある扉を貴女は軽くノックしました)

 

 開いてるわよ。

 遠慮しないで入ってきて頂戴。

 

 ようこそ。

 私は夢の守護聖オリヴィエ。

 お嬢さん、あんたのお名前は?

 

 ふ〜ん、 って言うんだ。

 

  、か。

 ふふ、とっても素敵な名前だわね。

 あんたにお似合いよ。

 

 今日、あんたがここに来るって、ディアから聞いてたけど・・・。

 こうしてあんたに会えたこと、とっても嬉しいわ。

 ほんっと、あんたに会えるのを楽しみにしてたんだから。

 みんなからあんたの話を聞く度にさ、どんな子なんだろうって思ってたの。

 

 でも・・・さ。

 実際あんたに会ってみて、正直、驚いたわ。

 

 え?

 何故かって?

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 な・い・しょ☆

 自分の胸に聞いてごらんよ。

 あんたが自分のことちゃあんと知ってるんだったら、きっと判るはずだからね。

 

 あ、お茶はこれがお薦め。

 美容と健康にとってもいいんだから。

 だまされたと思って飲んでごらん。

 

 で、私に何か聞きたいことあるんでしょう?

 遠慮せずに言ってごらんなさい。

 

 うん?

 どうしちゃったのかな〜?

 そんなにもじもじしちゃって・・・。

 そんなに聞きにくいことなのかな?

 

  ふふ、お化粧の仕方でも知りたい?

 綺麗になりたいっていうんだったら、私、幾らでも協力しちゃうからね〜。

 女の子だったら綺麗になりたいって思うの当たり前だし。

 綺麗になろうって努力している子を見るのって、私、とても好きだよ。

 

 え?違う?

 あんただったらもっと素敵になれるのに・・・。

 もったいないったら!

 私に任せて頂戴よ。

 最高に綺麗にしてあげるからさ。

 

 それは次の機会にだって?

 ふ〜ん。

 ま、いっか。

 

 じゃあさ、 、あんたが聞きたいことって何かな〜?

 

 ええ!?

 一体全体どうしてそんな質問を私にするのかな〜。

 ジュリアスのこともクラヴィスのことも、私よりずうっと詳しい奴がいるじゃないのさ。

 し〜か〜も〜、あの二人の仲についてなんて・・・。

 ほんっと面倒くさい質問だね。

 これ、答えないとだめかな?

 パスってあり?

 

 え?

 だめ?

 仕方ないね〜。

 

 え〜い、可愛いあんたのためだわ。

 これはもう腹をくくって答えるしかないわね☆

 

 ジュリアスとクラヴィスが仲が悪いってことは、勿論知ってるわよね?

 あの二人ってば、事ある毎に言い争いばっかしてる訳なんだけどさ。

 それをリュミちゃんとかオスカーが止めようなんて思って口を挟むから騒ぎが大きくなっちゃう。

 私に言わせりゃほっとけば?って感じなんだけどね〜。

 

 え?それはどうしてかって?

 あのね、あの二人の言い争いってばさ、結局のところ幼なじみってことが原因なんだよ。

 

 え?意味が判んないって?

 もう、仕方のないお嬢さんだこと。

 

 幼なじみってことはさ、誰よりもつきあいが長いってことでしょ。

 っていうことはさ、お互いのこと、よく知ってるってことじゃない。

 そのお陰でさ、あの二人ってばお互い話すとき、一切遠慮がなくなっちゃってるんだよね〜。

 まあ、多分に反りが合わないってのもあるとは思うんだけど・・・。

 

 う〜んと、歯に衣着せぬ物言いってやつ?

 

 特にジュリアスってば相手がクラヴィスだと言葉を飾るのすっかり忘れちゃうみたい。

 で、普段は無口なクラヴィスもつい余計な一言をさらりと、しかもずばり言っちゃう。

 だからさ、ついつい言い争いしてるみたいになっちゃうんだろうね。

 クラヴィスってばほんとジュリアスの神経逆なでできるツボを知り尽くしてるって感じだし。

 いっつも冷静な態度を崩さないはずのジュリアスも簡単に怒りだすし。

 本人たちはそのこと全然自覚していないってとこもポイントよね〜。

 仕方のない人たちだよ、ほんと。

 

 時々ああして二人遊んでるんじゃないかな〜なんて思っちゃったりするわけなんだけど。

 でも、もしそれが正解だったらさ、リュミちゃんとかオスカーにしてみたら、いい迷惑よね〜。

 でもさ、あの二人が言い争いしてくれてる間は楽でいいんだわ。

 だってさ、こっちにとばっちりこないじゃない。

 

 だからさ、ねえ、

 一種独特のコミュニケーションだと思って暖かく見守ってあげるってのはどうかな?

 

 あら〜?

 どうしたのさ、そんなに驚いた顔して。

 私がこんな風にあの二人を思ってたなんて驚いた?

 

 って、どうしてそこで素直に頷いちゃうんだろうね、この子ってば・・・。

 でもね、忘れちゃったなんて言わせないわよ。

 あんたが聞きたがったんだからね、私の本音ってやつをさ。

 

 慌ててそんな顔してもダメ。

 

 そんなに謝ってもダメよ。

 私の機嫌はそんなに簡単に直るもんじゃないわよ。

 

 何でもするから許してくれですって?

 いいのかな〜、簡単にそんなこと言っちゃって・・・。

 

 何されてもいいですって?

 どんな目にあっても大丈夫って・・・。

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 判ったわ。

 それじゃ、目を閉じて。

 これから私が何をしてもあんたは抵抗しちゃダメよ?

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 もう目を開けてもいいわよ。

 それがあんたにお似合いのルージュ。

 どう?気に入った? でも安心するのはまだ早いわよ。

 これでお仕置きは済んだ訳じゃないからね。

 本番はこれからなんだから。

 

 私の気が済むまで私の所へ通うこと。

 

 それがあんたへのお仕置きさ。

 あんたに似合いそうな服やらなにやら用意して待ってるからね。

 忘れたりしたら、あとが怖いわよ?

 

 それじゃあ、今度あんたに会えるのを楽しみにしてるわ。

 

 じゃあ、またねぇ〜。 

 

 END

 

退室

 

 

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