(目の前にある扉を貴女は軽くノックしました)
どうぞ。
ドアは開いているよ。
こんにちは、僕は緑の守護聖マルセル。
君が僕のところに来てくれるのをとても楽しみにしてたんだ。
立ったままお話しするのも何だから、まずはそっちの椅子に座ってよ。
今、お茶を用意するからちょっとまってね。
すみません、誰か彼女と僕の分のお茶をお願いします。
改めて、ようこそ僕の執務室へ。
君が今日、僕のところへ来てくれるってディア様から聞いていたんだけど、とっても嬉しいよ。
ねえ、君の名前は?
ふ〜ん、 っていうんだ。
温かい日だまりのなかで風に揺れているお花のように優しい名前だね。
君にぴったり。
あ、そうだ。
僕の友達を紹介しておくね。
チュピ。
チュピ!
ねえ、こっちにおいでよ、チュピ。
どうしたの?
そんなところにいないで、こっちにおいでってば。
どうしちゃったんだろう。
こっちにきてくれないや。
あ、そうか。
君があんまり可愛いから、チュピってば、きっと照れてるんだね。
ふふ。
、君の照れた顔もとっても可愛いよ。
あの高い場所にいる蒼い小鳥、判る?
そうそう、あそこにいるのが僕の友達のチュピ。
いつも一緒にいてくれる優しい子なんだ。
もう少ししたら自分の方から寄ってくると思うから、その時に改めて紹介するね。
えっと、ディア様から君が聞きたいことには答えるように言われたんだけど・・・。
ねえ、 。
僕に聞きたいことって、何かある?
え?
ゼフェルの発明品をどう思うかだって?
う〜ん、ちょっと難しい質問だね。
さすが鋼の守護聖だけあって、ゼフェルはとっても器用だよ。
うん、それは認める。
それにとっても努力家だしね。
外界で新しい技術が開発されたって聞くと、すぐにそれを取り入れようとするんだ。
けどね、それを自分の目で確かめないと気が済まないらしくてね。
すぐに聖地を飛びだしちゃったりするんだよ。
そのせいもあるのかな。
しょっちゅうジュリアス様に怒られてるんだけど、本人には反省の色まったくなし。
困っちゃうよね。
そしてそのとばっちりが僕やランディにくるんだよね〜。
もう何だかな〜って感じだよ、うん。
あ、話が逸れちゃった。
ごめん、ごめん。
元に戻すね。
ゼフェルってば、よく僕に自分の発明した作品について解説してくれるんだ。
いつも専門用語ばっかりで、僕、よく判らないんだけどね。
でも、ゼフェルの発明品はとっても凄いって思うよ。
ここだけの話。
ゼフェルが発明したもので実用化されたものって結構あるんだよ?
残念ながら、それが世間で評価されるってこと、ないんだ。
まあ、ごく一部の人間はそうだってちゃんと知っていて、正当に評価してくれるけどね。
え?
どうしてそんなことになるのかって?
その理由はね、とっても簡単なんだ。
ゼフェルは「守護聖」だから。
どうして「守護聖」だとそうなってしまうのかって?
・・・・・・・・・・・・。
あのね、僕たちは自分の身を守るためにも世間に顔を見せちゃいけないんだよ。
僕たちは守護聖である間、守護聖である自分を守らなくちゃいけない義務があるんだ。
守護聖に万が一のことがあったら、宇宙は大変なことになっちゃうからね。
だから、僕たちは公式の場へは基本的に顔を見せないようにしてるんだ。
勿論、時と場合によっては守護聖であることを世間へ曝すこともあるけどね。
でもそれは例外的なことが多いんだ。
一般的に守護聖の顔を知っている人っていないんだよ。
僕たちのことを知っているってことは、とても重要な地位にあるってことになっちゃうくらい凄いことなんだよ。
だからね、 。
僕とこうしてお話している君もすごいってことになっちゃうんだけど・・・。
ふふ、驚いた?
あ、チュピ!
どうして僕が呼んだ時すぐに来なかったの?
こら、そんなにつついたらくすぐったいってば。
。
この子が友達のチュピだよ。
ふふ、綺麗な羽してるでしょ?
に初めましてはしないの?
こら!!
ごめんごめん。
ねえ、 。
痛くなかった?
傷とかになってないかな?
え?
大丈夫?
よかった。
ごめんね。
チュピったらちょっと緊張してたみたい。
本当にごめんね。
そのお詫びに・・・。
ねえ、 。
今度、僕と一緒にお茶を飲みに行かない?
お薦めのカフェテラスがあるんだけど。
そこのケーキ、とってもおいしいんだ。
一度は食べてみる価値ありってところかな。
ねえ、どう?
え、本当?
嬉しいな。
じゃあ、いつがいいかな?
なるべく君の都合にあうようにするから、遠慮なく言ってね。
君の笑顔を眺めながら食べるケーキって、きっととっても美味しいよね。
ねえ、 。
君がもしそこのカフェテラスを気に入ってくれたら・・・。
これからも一緒に行こうよ。 君と一緒にいると、僕、とっても嬉しいんだ。
じゃあ今度会える時まで、ちょっと寂しいけど、さよなら。
END