(目の前にある扉を貴女は軽くノックしました)
どうぞお入りください。
ドアは開いてますからね〜。
初めまして、私は地の守護聖ルヴァといいます。
貴女のお名前は?
はあ、 と言うんですか。
何と言えばいいんですかね。
とても心に優しく響く温かい名前だと、私には感じられます。
貴女のご両親はとても良い名前を貴女にくださったようですね。
大切にしてくださいね。
ああ、立ち話も何ですね。
どうぞそちらへおかけください。
飲み物は緑茶でいいですか?
あ〜、緑茶というのはですね。
ある惑星でのみ生産されているお茶の一種でしてね。
貴女もよく口にしているとは思いますが、紅茶などと同じ系統の飲み物なんですよ〜。
それでですね、この緑茶というものは古来「薬」として珍重されてきたんです。
その効能はというと・・・。
・・・・・・・・・・・・。
あ、すみません。
ついいつものクセで余計なことを言ってしまいました。
こんな話、貴女には退屈な限りですよね。
え?そうでもなかったですか?
ああ、良かった。
、貴女はとても優しい人なんですね。
あのですね、 。
今日貴女が私のもとへいらっしゃることはディアから聞いていましたけど・・・。
私自身、こうして貴女にお目にかかるのをとても楽しみにしてたんですよ。
みんなが貴女に会ってよかったって言ってましてね。
そう、ジュリアスやクラヴィスでさえそう言うものですから。
貴女がどんな方か知りたくて知りたくて仕方なかったんですよ〜。
、実際こうして貴女にお会いしてみてその理由が判った気がします。
え?その理由を知りたいんですか?
う〜ん、ちょっと困りましたね。
こういったことを説明するのって私は不向きなんですよ。
オリヴィエあたりだったらとても上手に教えてくれると思うんですが・・・。
すみません。
それで 。
貴女は私にどんなことをお聞きになりたいんですか?
はあ、守護聖についてですか。
う〜ん、漠然としすぎた質問ですね〜。
私たち守護聖が司る9つの力は宇宙を構成する要素です。
そしてそれと同時に世界を存続させていくのに必要不可欠なものでして・・・。
あ〜、このようなことは貴女はご存じですよね〜。
あのですね、貴女がお聞きになりたがっていることはもっと別のことだと、私は思うのですが・・・。
あの〜、もう少し具体的にお願いできますか?
はあ、私が守護聖というものをどう思っているのか。
それをお話すればいいんですか?
そうですね〜。
幼い頃、私にとって守護聖という存在は遠い国の出来事、想像もつかない世界の住人、まさに神話のなかの存在でした。
子供心にも彼らの神聖は冒しがたいものだと思っていましたよ。
そう、自分とはその心の有り様からして全く異なる人たちという認識が強かったですかね。
こういった表現が適切かどうか判りませんが、守護聖は「神人」という言葉に相応しい存在だと思っていました。
それが気がつけば自分がその一員になっているんですから・・・。
人生というものは本当に先が読めないものですよね。
ですがね、実際自分が守護聖としてこの地に召還されてみてよく判りましたよ。
守護聖といえどもただの人間だということが。
いくら人々の命運をその手に握っていようと、決して特別な、人間以上の存在ではないということが。
よおく判りました。
神の如く人々に崇められていようとも所詮は神に在らざる身。
そのことがよく判りましたよ。
私たちにも「心」があります。
貴女と何一つ変わらない「心」が・・・。
私たちは時に喜びに心震わせ、怒りに心荒れ狂い、悲しみに心閉ざし、楽しさに心躍らせるのです。
貴女と全く同じ。
一人の人間なのです。
ねえ、 。
貴女は今まで守護聖たちと言葉を交わしてきた訳ですが・・・。
貴女のその澄んだ瞳には私たち守護聖はどのように映ったのでしょうか?
ああ、無理に答えようとしなくてもいいんですよ。
貴女が素直に心に感じた何か、すなわちそれが私たち守護聖という存在なのですから・・・。
何だか話が逸れてしまった気がするのですが・・・。
こんな感じでよろしいですか?
ああ、 。
貴女の微笑みは春の穏やかな日差しのように優しく感じられます。
私にはちょっと眩しいかもしれませんね。
え?
春の日差しを眩しく感じてしまうのは、暗いところで本の読み過ぎ・・・ですか?
これはまた、何とも大胆な発想ですね〜。
でも、それも一理あるかもしれませんね。
・・・・・・・・・・・・。
あ〜、 。
貴女にお願いがあるのですが、よろしいですかね?
いえいえ、それほど難しいことではありません。
今度、貴女がお暇な時にでもカフェテラスへ一緒に行ってくれませんか?
勿論、お天気が良い日に。
それとですね、もう一つお願いがあります。
お茶が済んだらそのまま穏やかな日差しのなかで散歩につきあってください。
ありがとう、 。
貴女でしたらきっと私の願いを聞いてくださると思ってました。
精一杯の勇気をだして口にした介がありました。
きっと貴女と一緒なら楽しく過ごせることでしょうね。
う〜ん、いつがいいですかね〜。
貴女の都合に合わせるのにこしたことはありませんが・・・。
できれば、できれば、なるべく早い時期にお会いしたいものですね。
ああ、もうこんな時間なんですね。
貴女とのお話に夢中になってしまって、時が経つのを忘れてしまいました。
もう少し貴女とお話していたかったのですが・・・。
とても残念です。
。
貴女とこうして言葉を交わすことが私にとってどんなに楽しいことか。
今度お会いしたときにでもゆっくり説明することにしましょう。
ですからその時まで、私のことを忘れないでくださいね。
それでは今度会える日を楽しみにしてますよ。
END