〜 ファイナルファンタジー9 〜

【優しい嘘】


 ねえ、ジタン。ジタンは『嘘』をついたことってある?



 『嘘』?そりゃあ、あるさ。



 『嘘』をつくときってどんな気持ち?



 どんな気持ちかって?そりゃあ・・・・・・・・・・・・。いやな気分さ。



 自分がいやな気分になるのに、ジタンは『嘘』をつくの?



 人には『嘘』をつかなきゃいけないときが、・・・・・・・・・・・・あるからな。



 『嘘』をつかなきゃいけないとき・・・・・・・・・・・・。



 『嘘』をつくことで、相手が安心してくれれば、自分がいやな気分になっても、少しは気が楽だろう?



 う、うん。・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだね。でも・・・・・・・・・・・・。



 うん?どうした、ビビ。



 ううん。なんでも・・・・・・ない。



 なんでもないって顔じゃないけどな〜。まあ、いいか。あ、ダガーだ!どこにいくんだろう?お〜い、ダガー、俺とデート・・・・・・・・・・・・。



 あ、いっちゃった。ジタン、本当にダガーのお姉ちゃんが好きなんだ。
 それにしても、自分がいやな気分になってまで、つかなきゃいけない『嘘』ってなんだろう?
 ぼくにはよくわからない。
 でも、ジタンはきっと、とても優しい『嘘』をつく気がする。
 だって、自分は傷ついても、相手は傷つけたくないって思って、『嘘』をつくんだろうから。
 相手のことを考えてつく、優しい、優しい『嘘』。
 でも、それは、ほんの少しだけ、寂しい気が・・・・・・する。
 だって、相手に干渉されたくないっていってる気が・・・・・・するから。自分のことなんか気にするなって言ってる気が・・・・・・するから。



 相手のことを精一杯思いやってつく優しい『嘘』。
 でも、それは、なんて残酷な『嘘』なんだろう。
 だからね、ジタン。ぼくには、そんな『嘘』、つかないで。お願いだから・・・・・・。
 たとえ、それで、ぼくが傷ついたとしても・・・・・・、お願いだから、ね。


END

 

FF9トップへ