〜ファイナルファンタジー10 〜

 

【譲れない願い】

 

 真実を見せてやろう。

 

 ジェクトの息子よ。
 ブラスカの娘よ。

 おまえたち二人に真実を見せてやろう。

 

 この欺瞞と偽りに満ち溢れた世界の、真実の姿。
 この汚濁と虚飾に覆われた世界の、真実の姿。

 それをすべて、見せてやろう。

 

 すべてを見届けたうえで、おまえたちは決めなければならない。
 自分たちが進むべき道を。

 それは誰にも譲ることのできない、おまえたちに許された権利。
 それは誰にも譲ることのできない、おまえたちに認められた義務。
 そしてそれは、おまえたち二人に託された、友たちの切なる願い。

 いつか、おまえたちの目の前にすべてが晒された時。
 おまえたちは自分の歩む道を見つけるだろう。

 自分の思いのままに、その道を突き進むがいい。
 振り返ることなく、ただひたすらに。
 たとえどんな試練が待ち受けようとも。
 それはおまえたちの選んだ物語なのだから。

 俺はそれを見届けるため、此処に在る。

 

 ジェクトの息子よ、ブラスカの娘よ。

 やがてすべての真実は、おまえたちの目の前に晒されるだろう。
 その時おまえたちは一体どんな道を選ぶのだろうか。

 ジェクトが選んだ道、ブラスカが選んだ道。
 彼らと同じ道を選び取る日がいつか訪れるのだろうか。

 どんな結末を迎えようとも、俺はおまえたちと共に在る。
 最後まで、この物語が終わりを告げるその時まで。

 

 俺はおまえたちをあらゆる苦難から守っていてやろう。
 それが俺に残された唯一の望み、そして譲れない願いなのだから。

 

END

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