〜ファイナルファンタジー10 〜

 

【切ない願い】

 

 ねえ、覚えてる?
 私と貴女が初めて会った日のことを。
 貴女はちょっと恥ずかしそうに、キマリの後ろから私のこと、見つめていたわ。

 私を一生懸命見つめるその瞳に宿る、好奇心と不安、そして意志の強さ。
 そんな光を湛えた眼差しで、私のこと、見つめていたわね。

 あの時、私は決めたの。
 貴女のこと、ずっと見守っているって。
 時には『姉』のように、時には『母』のように。
 貴女のこと、ずうっと見ているって決めたのよ。

 ふふふ、『母』のように、なんて、可笑しいわよね。
 私、貴女とそれほど年がはなれてるわけでもないのに。

 でも、それが私の本音、そして真実。

 貴女のことを包んであげたいって、思ったの。
 貴女のこと、いつも守っていてあげたいって、思ったの。

 貴女が『召喚士』になるって決めたとき、私は貴女の覚悟を聞いたわよね。
 本気かって、途中でくじけたりしないかって。

 あの時、貴女は笑ってくれた。
 一生懸命微笑もうとしてくれた。

 それだけで貴女の覚悟が、痛いほど私に伝わってきたわ。

 だから私も覚悟を決めたの。

 貴女が歩もうとしている決して容易ではない試練の道。
 それを共に歩もうって。
 貴女の負担が少しでも軽くなるように。
 私にできることを精一杯してあげたいって思った。

 これからも貴女は色々なことを体験し、そして覚悟しなければならないでしょう。
 それが、貴女の選んだ道。
 私はそんな貴女のすべてを見守っていてあげるわ。

 どんなにつらくても、どんなにきつくても、私は貴女の傍らに在り続けるでしょう。
 それが、私の選んだ道。
 私は最後まで貴女の歩み続ける道を共に歩き、そして貴女を守り続けてあげる。
 それが、私の覚悟。

 ・・・・・・・・・・・・。

 ねえ、これだけは覚えておいてね。
 私が貴女のことを愛しているってこと。
 みんなが貴女を大好きなんだってこと。

 そして、誰もが貴女を守りたいって思っていること。
 これは貴女の選んだ道だけど、貴女とともに歩んでいく仲間がいるってことを。

 ねえ、ユウナ。
 私の言ったこと、決して忘れないで。

 どんな時・・・も。

 

END

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