〜ファイナルファンタジー10 〜

 

【たったひとつの願い】

 

 ユウナはキマリが守る。
 それがキマリの存在理由。
 それがキマリの唯一の願い。

 初めてあったあの時、ユウナはキマリを怖がらなかった。
 キマリが告げるつらい言伝にも涙を流さなかった。

 あんなに小さかったのに。
 あんなに脆そうだったのに。

 ユウナは黙ってキマリの言うことを聞いていた。

 どうしてこんな小さな子供がこんなに気丈なのか。
 キマリにはそれが気がかりだった。

 だから、キマリはユウナを守りたいと思ったのだ。

 ユウナだけ、言ってくれた。
 キマリの折れた角が好きだと。
 折れた角の意味など知らないのに。
 無邪気に微笑んで、そう言ってくれた。

 ユウナは微笑んでくれる。
 ユウナは頼ってくれる。
 キマリのことを一切怖がらずに。

 ユウナはキマリに幸せをくれる。
 ユウナはキマリに生きる喜びを感じさせてくれる。
 惜しげもなく、ほんの些細なことを通して。

 いつかは壊れてしまうだろう優しい日々。
 キマリはそれを守りたいと思った。

 ユウナがそれを望むなら、キマリはいつまでもそれを守るだろう。

 ユウナの前はキマリが守る。

 誰にも譲らない、これがキマリのたったひとつの願い。

 

END

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