〜ファイナルファンタジー10 〜
ねえ、私の声、聞こえる?
ねえ、私の心、届いてる?
君がいなくなってから、もう二年になるんだね。
私、少しは水に潜っていられるようになったんだ。
それとね、指笛だって、誰にも負けないくらい上手になった・・・と思う。
ねえ、あんな風に突然いなくなっちゃうなんて、反則だよ?
あんまり突然だったから・・・。
私、きちんとお別れも言えなかった。
私、ちゃんとお礼も言えなかった。
私のこと、いっぱいいっぱい助けてくれてありがとうって。
私のこと、いつもいつも見守っていてくれてありがとうって。
そして、私のこと、一生懸命励ましてくれてありがとうって。
私は言いたかった。
君に言いたかった。
・・・・・・・・・・・・。
あれからね、スピラは平和な世界になったんだよ。
『永遠のナギ節』。
私たちみんなが心から望んでいた世界。
私たちみんなでつかみ取った平和な世界。
これからはみんなが安心して暮らしていける。
素敵・・・だよね?
でも、君はここにはいない。
そう、君だけがいてくれない。
君は今、どこにいるのかな?
ねえ、君は今、何をしているのかな?
・・・・・・・・・・・・。
最近、私はよく考えるんだ。
私はこのままここに居ていいのかなって。
私にできること、何かないのかなって。
あれからね、いろんな人が私に会いにきてくれるようになったんだよ。
悩み事を相談に来る人。
私の、私たちの旅の話を聞きに来る人。
そして、私を利用しようと思う人。
本当に様々な人が会いに来るけど・・・。
私が会いたいと思うのは・・・・・・。
今、私が本当に会いたいって思っているのは・・・・・・。
だからね、私は旅に出ようと思う。
会いたい人に会いにゆくために、自分から旅に出ようと思う。
これは私の物語。
誰にも譲れない、誰にも指図されることのない、私の物語。
私は私のために、今度こそ自分自身のための旅に出る。
そう、これは私だけの物語なんだ。
君にいつか巡り会うために。
何処に居るとも判らない君に会うために。
君に私の想いを伝えるために。
私は、これから旅に出る。
あのね、いつか何処かで再び会えた時、私、お願いがあるんだ。
あの時のように私のこと、抱きしめて。
あの時のように私のこと、優しく包みこんで。
あの時のように私に君のこと、感じさせて。
これからみんなと、君を探しにいくから。
君のこと絶対に見つけてみせるから。
君はそのままそこにいてね。
私たちが会いにゆくまで、そこにいてね。
ねえ、私の声、聞こえる?
ねえ、私の心、届いてる?
END