〜DISSIDIA FINAL FANTASY〜

【払 暁】

   

ふと。
彼は、己がただ一人、暗闇の只中に佇んでいることに気がついた。

何時から此処でこうしているのか。
思い返してみても何も思い出せない。

それは見事なまでの意識の断絶。

普通であれば、それは恐怖を誘うであろう事象だったが、彼はそれをそうとは捉えなかった。

何かに呼ばれたのだ。
自分は確かに、何かに此処に呼ばれたのだ。

それは確信。
覆し難い真実。

抗い難い力によりこの地に招かれた彼は、これより果たすべき役割を与えられるだろう。

彼は、ゆっくりと両の目を閉じる。
身の内より湧きいづる声に耳を傾けるために。

彼がこの闇から抜け出して戦いに身を投ずるまでの僅かな間。
束の間の安息に身を委ねるために。

彼の胸元で。
獅子を模したペンダントが、揺れた。

END

 

 

 

 

 

 

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