古城にて 


                      雪の足跡 踏みしめて
                      古城に早き 春静か
                      木立の中の 道しるべ
                      名も無き兵士 何想う


                      空堀深く 山鳥の
                      啼く声谷を 渡る風
                      儚きものは 若武者の
                      夢に契りし 恋何処


                      石垣さえも 残らずに
                      昔に還る 山の道
                      無念を埋め 歳月を
                      肩にひとひら 雪の花


                      二人で巡る 城山に
                      化粧櫓の 華の跡
                      やがて来る春 誰が知る
                      密かに咲くは 山桜





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