いわしの丸干し さっと焼き
丸ごと口に 放り込む
茶碗で酒を 流し込み
旨い旨いと 笑ってた
一番星が 出るたびに
いつも瞼が 熱くなり
ポロリ ポロポロ 泣けてくる
いつもの肴で 安い酒
贅沢しない 人だった
冷酒あおり 肩落とし
居ない倅と 独り言
世間の人の 噂聞き
こらえきれずに 上を向く
横に流れる 涙雨
マグロの刺身が 好きなのに
我慢をきっと してたんだ
飛び出た倅 心配で
死ぬに死ねずに 涙酒
残した金(あい)が 胸を刺す
泣いて今さら 仏壇に
酒とマグロを あげるのか
おやじ御免な 勘弁な
ポロリ ポロポロ 泣けてくる
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